輝皇覇蛇の能力の秘密?禁断の融合!
白龍王は玉龍に龍神界で起きた龍と蛇の戦争の話を語っていた。
覇王と応龍の一騎打ちの最中、
輝皇覇蛇は何かを手に入れる目的のために龍神城へと入り込んでいた。
そこに逃げ遅れた龍神の子供達に危険が及んだ時、寸前で白龍王が立ち塞がった。
「龍王の生き残りか?どうやら最後の砦と言ったところか?」
その言葉の意味は信じがたい事だが何を意味しているか分かってしまった。
共に戦い戦死した黒龍王だけでなく英雄と呼ばれた青龍王、それに赤龍王も戦死したと言うのか?
しかし真意は分からずとも、今、この状況で自分が出来る事は限られていた。
目の前の敵を倒し、そして逃げ遅れた子供達を守り逃がす事。それが龍王として龍神界を任されている責務であり誇りであったから。
「例えこの命が尽きようと、お前を道連れにしてやるぞ!」
白龍王の意地に対し輝皇覇蛇は余裕を見せていた。
「死に急ぐな。お前と取り引きがしたい」
それは輝皇覇蛇からの提案だった。
「何だと?ふざけるな!」
当然、怒りを見せる白龍王。
「聞くだけなら損はないだろ?条件を飲めば俺はお前や残りの龍の民に一切手を出さぬと誓おう」
「信じられると思うか?」
「どちらでも構わん。俺はただ効率を考えたまでだ。それに俺は龍神族に対し何の怨みもない。何せ俺の中には蛇神だけでなく龍の血も混ざっているのだからな」
それは嘘でないと直感的に分かった。
「聞くだけ聞こう。お前の目的は何だ?話はそれからだ!」
すると輝皇覇蛇は自分の背後の結界を指差して言った。
「俺の目的は龍神族が永きに渡り守って来た三種の神器が望みだ!」
「!!」
龍神族の三種の神器。
それは最高の防御力を持つ蛟の盾。
そして龍の勾玉と呼ばれる物。
しかしその二つは白龍王の姉である乙姫が現在所持している事は白龍王も知っていた。
「残念だったな?此処に三種の神器はない!」
その言葉に輝皇覇蛇は首を振る。
「有るはずだ!俺の血がそう告げている。この結界の中に封じ込められている黄龍の剣がな!」
黄龍の剣。
かつて龍神族を率いて天界へと進軍した龍神族の真の王・黄龍王が手にしていた宝具の剣。
真の王にしか扱う事も出来ず、当時の黄龍王はまだ覚醒しきっていなかったために扱いきれずに身を滅ぼしてしまった。
「黄龍王は剣を扱うには時期早々だった。しかし俺は黄龍の血を持ち、更に覇蛇の血を持つ。分かるだろ?この俺の潜在能力が?どうだ?その剣を持つに相応しいとは思わんか?」
その言葉に白龍王は戸惑う。
この輝皇覇蛇から微かに感じた抵抗出来ない高貴な感覚は黄龍王の血が流れているからなのだと理解した。そしてもしかしたら、この結界の封じられている黄龍の剣を手にし扱えるのではないかとも。
しかし、それは危険!
この輝皇覇蛇は信用出来ないと直感する。
しかし子供達を守りながら戦える相手ではない。
「俺は・・・」
本来なら自分だけの命なら惜しむ必要なく戦士として戦う。
しかしまだ戦う事も知らない幼い子供達を道連れにして本当に良いのか?
その時、脅えて震えていた子供達は静かに白龍王を見つめていたのだ。
「!!」
その目は、覚悟を決めた目だった。
例え幼くとも戦えぬとも龍神としての誇りを持っていたのである。
二人の会話から意味を理解し、白龍王に戦って欲しいと訴えていたのだ。
「そうか、お前達の覚悟は分かった。私もこの命をかけて最後まで戦おう」
その決断を聞いていた輝皇覇蛇は、
「愚かな虫ケラよ!良かろう。お前達を始末した後にこの煩わしい結界を力づくで破壊してやろう」
その殺意の波動が白龍王に迫る。
「例え敵わぬとも諦めずに戦う者を私は知っている。逃げずに誇りを持ち戦った者を私は知っている。その者は龍神ではない男だった。それでも戦う意思で不可能を可能にしてきた」
それは孫悟空の事であった。
白龍王は孫悟空と戦い敗北した。
しかも青龍王とも戦い、幾度とズタボロにされても逃げずに挑み、勝てずとも引き分けに持ち越し青龍王を認めさせた。さらに鈎蛇王との戦いでは蛇神の血によって敵として現れた玄武と戦い、その意地を貫き再び自分の中に取り戻したのを目の当たりにしたのだから。
「参る!」
白龍王は輝皇覇蛇に向かって攻撃を仕掛ける。
その掌には気流を回転させて絶対防御と攻撃を兼ね備えていた。
「陳腐な攻撃だ、相手にならん!」
輝皇覇蛇から発する桁違いの蛇気を纏い光の如き速さで繰り出される攻撃を白龍王は手刀で受け流し、紙一重で躱して凌ぐ。
「いつまで耐えられるか?」
集中力と受け流す力が僅かにも足りないと白龍王は全身に致命的な衝撃を受けてしまう。
それでも退かずに普段冷静な白龍王が猛る!
「ウォおおおお!」
徐々に手数が増ましていく。
そして輝皇覇蛇の拳を弾きながら突き出した手刀が輝皇覇蛇の頬に擦り一瞬怯ませた所に、身を翻しながら懐に入り込み放つ。
「白龍・無旋引触!」
※ムセンインショク
一瞬、時が止まったかのような間があく。
が、直後全身を気流が絡みつき身動き出来なくなった所を爆撃が全身を襲い吹き飛ばしたのだ。
「うがあぁああ!」
油断もあったが、その攻撃は輝皇覇蛇を確実に捉えた。
「ふぅー!」
それは白龍王にとっても快挙。
青龍王も苦戦した輝皇覇蛇に一太刀浴びせたのだ。
「!?」
しかし突然、攻撃を仕掛けた方の白龍王の力が抜け始める?
「なぁ?私の身体に何が?」
徐々に力が入らなくなり、ついには膝をつき息を切らせて胸を押さえる。
そこに輝皇覇蛇が傷付きながら立ち上がってくる。
しかも負わされたばかりの傷が再生していき塞いでいく。
「腐っても龍王か、この俺に傷を負わせるとは思ってもみなかった。しかし、それもこれまで。お前はもう俺に触れる事は勿論、立ち上がる事も出来ないだろうな」
輝皇覇蛇の目は間違いなく誇りを傷つけられ怒りに満ちていた。次の攻撃で殺るつもりだった。
「こ、殺してやるぞー!その首、斬り落とし、俺自ら踏み潰してやる!」
その手に光り輝く蛇気が剣へと変わっていく。
輝皇覇蛇の攻撃に白龍王の腕から血を垂らす。
「!!」
その直後、白龍王の血が床に垂れたその時、結界が揺れる?
「結界が反応しただと?なるほどな」
輝皇覇蛇は気付く。
この結界を破壊する唯一の手段を。
恐らくこの結界は応龍が張ったに違いない血界であると。
血界とは結界を張った者の血でなくては解けない特殊な結界の事。
そして白龍王は応龍の血筋なのだと気付いたのだ。
「お前を殺す事がこの血界を破壊する手段だったもはな。なら好都合だ!」
輝皇覇蛇の斬撃が激しく振り払われ白龍王が傷だらけになりながらも寸前で躱す。
「終わりだぁー!」
「!!」
白龍王は覚悟した。
が、輝皇覇蛇の振り払う剣の前に炎の業火が壁を作って邪魔をしたのである。
「白龍王、立派な戦いだった。俺はお前を誇りに思うぞ?だが、これから先は俺が戦う!良いな?」
「赤龍王!」
「間にあったようだな」
それは炎灼六尾によって殺されたかに思われていた赤龍王であった。
しかしその肩は焼き焦げていた?
邪魔をした者の姿を見て輝皇覇蛇は更に怒りが込み上げる。
「次々と虫けらが何度も何度も現れやがって!良かろう。二度と甦事なく消滅させてやる!」
「俺もそのつもりだ!輝皇覇蛇!」
赤龍王は思い出す。
それは輝皇覇蛇に倒されて身動き出来ない状態の赤龍王の前に現れた炎灼六尾の事だった。
炎灼六尾は倒れている赤龍王に向かって業火を籠めた手刀を振り下ろしたのだ。それは赤龍王の肩だった。
焼き焦げる衝撃を受ける赤龍王。
「ぐわぁああああ!」
もう駄目かと思った。
しかし炎灼六尾の攻撃は死には至らず止められたのだ?
「どういうつもりだ?」
自分を殺さなかった炎灼六尾の顔を見上げる。
「お前の呪いを解いてやっただけだ」
「呪いだと?」
意味は分からなかった。
「赤龍王、俺はお前を許してはいない。もう一度お前と戦って今度こそ倒してやるつもりだった。ソレを邪魔しやがった輝皇覇蛇だけは絶対に許さ、グハァ」
炎灼六尾は吐血して苦しそうにする。
当然だ。背後から現れた輝皇覇蛇に背中から心臓を貫かれて潰されたのだから。
それても立って目の前にいるのは蛇神の再生力?不死のためなのか?
「驚異だな?蛇神とは」
「そこまで万能じゃない。俺はもう直死ぬ」
「どういう意味だ?なら何故?」
「言ったろ?俺とお前の再戦を邪魔した輝皇覇蛇の奴が許せねぇだけだ!だからよ、奴の目的も邪魔してやろうと思ってな」
「目的だと?」
そこで輝皇覇蛇が黄龍の宝剣が狙いだと知る。
「時間がねぇ。俺の炎喰の力はこんな事も出来るんだぜ?赤龍王!俺とお前の再戦はあの世でな!」
炎灼六尾の身体から炎が抜け出して赤龍王に流れ込む。
炎灼六尾の姿が目の前から消え、代わりに赤龍王の傷付いた身体が再生し力が漲っていく。
「これは?炎灼六尾、お前?」
ソレは炎灼六尾と赤龍王との融合であった。
しかしそれは、一時凌ぎ。
「なるほど。こんな便利な芸当も期間限定サービスってわけか」
ソレは炎灼六尾の魂が告げた。
龍神と蛇神が融合は反動が激しく肉体が耐えられないのだ。
それを可能にしているのは共に炎属性として相性が合ったから。
でも限界がくるのは早い。
「礼を言う。お前との再戦は早くになりそうだ」
そして赤龍王は再び戦場に間に合った。
己の寿命限界に間に合わせたのだ。
赤龍王は白龍王に向けて命じる。
「その逃げ遅れた者たちを頼む」
「しかし!」
共に戦いたかった。
しかし身体が言う事を効かなかった。
「何故、突然?私の身体はどうなってしまったと言うのだ?」
焦る白龍王に赤龍王は答える。
「それは血の呪いだ!」
「呪い?いつの間に?」
赤龍王は炎灼六尾の魂より知り得た事を説明する。
輝皇覇蛇の能力。
ソレは輝皇覇蛇の身体を流れる血に秘密があった。
その血に触れた者は蛇神、龍神に問わず全ての者の力が抜けてしまうと言うのだ。
赤龍王は最初のコンタクトで肩を捕まれた時、青龍王は激闘の中で血を浴びてしまい、そして白龍王は自分の手刀が輝皇覇蛇の頬をかすめ血を流させた時。
「そう言うカラクリでしたか。ならば血に触れずに倒さないといけないのですね」
「そう言う事だ!だからこの先の戦いは俺に任せて欲しい。だからお前には龍神界の行く先を任せたい。頼めるか?」
その言葉の意味を白龍王は理解すると、
「御武運を!」
そう言って子供達を連れて戦場を後にする。
「虫ケラを一匹足りとも逃がすものか!」
輝皇覇蛇が白龍王に狙いを定めると、
「お前の相手は俺だ!この場からお前を逃しはせんぞ!」
「逃げるだと?ほざくな!順番が変わったが、お前を始末した後、全ての龍神族を根絶やしにしてやるぞぉー!」
部屋中が赤龍王の高熱に温度が急上昇する。
赤龍王から広がる業火が部屋中を覆いながら輝皇覇蛇の周りを囲んでいく。
「お前は罪を犯した!
一つ、お前の仲間だった炎灼六尾を手にかけた事!
一つ、俺の目指す青龍王を汚い手で殺めた事!
三つ、お前がこの世界で息している事だ!」
赤龍王から限界を越える炎が噴き出す。
「逆鱗・百花」
それは逆鱗の解放を限界を無視し、
自らを自爆して敵を倒す禁忌の秘奥義だった。
龍神界は結界の間を中心に業火の中に消えた。
それが経緯。
全ての話を玉龍は生き延びた白龍王から聞かされて絶望に涙を流していた。
自分の故郷がもうないなんて。
「それでも生き延びた民は寸前で移送されたよ」
「えっ!?」
白龍王は告げた。
龍神の民は戦闘が始まる前に避難していたのだ。
「それでは龍の民は?」
「滅びてはいないよ」
けれど生き延びたのは非戦闘民の二割程度。
それでも龍の血は途絶えていなかったのだ。
涙する玉龍に白龍王は笑みを見せる。
しかしその時、異変が起きていた。
大地が揺れ動き、離れた場所に見える赤龍王が作り上げた結界が弾け飛んだのだ!
「おーのぉーれぇーー!!」
それは全身を火傷で爛れた輝皇覇蛇の姿だった。
次回予告
玉龍と傷付いた白龍王の前に輝皇覇蛇が再び!




