恐るべき蝕王覇蛇の能力?楊善の最期!?
二郎神君の前に現れた楊善は?
その口から衝撃な言葉が発せられた。
私は法子。
話は遡るわ!
二郎神君さんと喰殖覇蛇と戦っている時、楊善さんも蝕王覇蛇を相手に単独で相手にしていたの。
楊善さんは私が知る限り負けるなんて有り得ない。
蓬莱国でも、氷蛇にさえ勝ちどきをあげたのだから!
しかし蝕王覇蛇はどんな能力を持っているの?
蝕王覇蛇は全身をマントで覆い姿がはっきりしない不気味な奴だったの。
楊善さんは懐から取り出す宝貝に神気を籠めると、火竜鏢が蝕王覇蛇に向かって煙を噴き出しながら幾つも飛んでいく。
「さて、お前はどんな能力を持っているのですかね?先ずはお手並みを拝見させて貰うよ!」
四方八方から襲いかかる火竜鏢に蝕王覇蛇は全く身動きを取らないまま命中したの。
火竜鏢は神光を発して爆発する。
「!!」
しかし蝕王覇蛇は何事もなかったかのように立ち尽くしたままだった。
そして掌を向けると蛇気を籠めた弾丸が放たれたの。
その全てを身を翻しながら華麗に躱す楊善さん。
「不気味ですねぇ」
楊善さんは蝕王覇蛇の潜在能力を探っていたの。
目の前の蝕王覇蛇からは確かに強い力を感じる。
けれど以前倒した氷蛇と比べても同等?いや?それ以下のようにも思われたの。
「力を隠しているのか?それとも力以上に特殊な能力を持っているのか?油断は出来ませんね・・・」
楊善さんは不気味な蝕王覇蛇を相手に至近距離の戦いを避けて遠距離攻撃を仕掛ける事にする。
「先ずは相手の手の内を見させて貰いますか」
楊善さんは新たな宝貝を六つに神気を籠めて上空へと投げると、落下しながら大きくなって人型へと変わって着地する。
「行きなさい!黄巾力士達よ!」
それは蓬莱国から手に入れた宝貝・黄巾力士。
力もスピードもずば抜けた戦闘人形なの。
「更に少し手を加えさせて貰いました」
黄巾力士達は楊善さんの姿へと変わっていく。
「その黄巾力士はただの分身とは違い強靭な肉体と私の思考を持って自由に動かせるのです。つまり私含めて七人相手にするようなものですよ!」
と言っても宝貝を持っているのは本体のみだから、黄巾力士達は肉弾戦や剣術のみで戦うのだけど。
それでも楊善さんの剣術は天界でも最高位の上級レベルなの。だから戦力的には申し分ない。
それに黄巾力士に敢えて肉弾戦をさせる事で蝕王覇蛇の能力を見極めるつもりなの。
六体の楊善さんは剣を振るいながら攻撃を仕掛ける。
対して蝕王覇蛇は躱す事なく全身を斬られるだけ?
けれど直ぐに再生して立ち上がる。
「あの不死にも近い再生力が能力?ならば氷蛇と同じく強力な結界に封じるのが得策ですかね」
その一瞬だったの!!
「えっ?」
楊善さんの正面に蝕王覇蛇が立って「ニャ〜」と笑みを見せて立っていたの。
一瞬混乱する楊善さんは後方へと飛び上がり退く。
「そんな馬鹿な!!」
楊善さんは決して油断はしていなかった。
しかも六体の黄巾力士達も蝕王覇蛇を見失ってしまい混乱していたの。
一体何が起きたのか理解出来なく、それでも迷っている余裕はなかったの。
腕を振り上げ指示をすると黄巾力士達は再び蝕王覇蛇を囲み攻撃を仕掛ける。
次は二度と目を離さない!
意識を集中させる。
けれど悪寒と同時に背後を取られていたの。
確かに前方で黄巾力士達が相手にしていたはずなのに?
いつの間に消えたの?
けれど蝕王覇蛇は確実に楊善さんの背後にいる。
今は気配で分かる。
黄巾力士達も蝕王覇蛇を見失っていた。
「背後を取るのは得意でも、取られたのは初めてですよ。皆が嫌がる気持ちがちょっと分かりましたね〜アハハ」
蝕王覇蛇が手刀を突き出すより先に楊善さんは振り向きざまに神気を放ったの。
お互いの攻撃が交差し楊善さんのピアスが外れて床に転がる。
楊善さんの神気は誰もいない方向へと放たれ、蝕王覇蛇はその場から消えて黄巾力士のいる場所へと突然現れると、目の前にいた一体の黄巾力士を破壊したの。
そしてニヤニヤ笑いながら口を開く。
今のは危なかった。
もう少し攻撃が遅れていたら楊善さんは顔面を貫かれていたかもしれなかったの。
「冷静を保っているようだが内心は混乱しているのが痛いほど伝わってくるぞ?」
「わざわざ口に出さなくても正解ですよ。もう少しで綺麗な私の顔が見られなくなる所でしたから」
「私の力を探っているようですが、私は覇蛇の中でも一番力がありません。それどころか蝕蛇六尾達にも劣っているでしょう。何せ私は臆病ですから。けれど私は覇蛇なのです。何故だか分かりますか?」
何を言ってるか意味が分からないわ。
楊善さんも蝕王覇蛇の能力に畏怖を感じる。
楊善さんは蝕王覇蛇の能力がただの瞬間移動だけじゃないと気付いていたから。
確実に楊善さんを殺すチャンスは何度かあった。
それでも手を出さなかったのは楊善さんの実力を完全に見縊っているから?
それとも他に何か目的が?
「どうやら本気を出さないと倒すどころか奴の能力の秘密を知る事すら出来そうにないですね?仕方ありません」
すると手にした宝貝を上空へと投げると、宝貝は炸裂して煙が広がっていき楊善さんと蝕王覇蛇を覆ったの。これは結界?
「自分事結界に封じて私を逃さないつもりか?残念だが私には結界そのものは意味がない」
すると楊善さんは笑みを見せて答える。
「この結界は別にお前を封印をする事が目的ではない。この私の姿を外界から隠すためさ!」
「なんと?」
すると楊善さんは神気を高めると深紅の鎧を解き放ち、印を結び直したの。
「華鷹駄伽変化唯我独尊!」
楊善さんの姿が変わっていく?
全身に羽毛が覆われ、半人半鳥の姿へと。
「この姿はあまり見せたくないのでね。ほら?毛深くなっちゃうでしょ?」
その姿になった途端、凄まじい覇気を放っていたの。
蝕王覇蛇を震わすくらいに!
「お前のその姿は!?そうか、その姿がお前の真の姿なのだな?お前、神族ではなく聖獣族か!」
えっ?
楊善さんが聖獣?
聖獣と言えば孫悟空の朱雀や白虎、それに玄武もそうだし、龍神族は聖獣族の最高位なのよね。
「かなりの力を感じるぞ?ゾクゾクするぞ!」
「そのゾクゾクを悪寒にして見せますよ!」
楊善さんは蝕王覇蛇の間合いに入ると剣を突き出す。
しかし蝕王覇蛇はやはり剣が触れるより先に消えて倒れている黄巾力士の近くへ移動していたの。
「黄巾力士!取り押さえよ!」
黄巾力士達が接近するよりも速く蝕王覇蛇は至る場所に移動しては現れ全ての攻撃を躱す。
それは本体の楊善さんのパワーアップした動きよりも速く消える。
「さて、先ずはお前の能力を解明させて貰いますよ。飛び散れ、羽根乱舞!」
楊善さんを中心に無数の羽根が渦を巻きながら蝕王覇蛇の周りを囲み閉じ込めたの。
そして蝕王覇蛇を囲む黄巾力士達が剣を同時に突き出す。
「無駄だ!」
囲まれた蝕王覇蛇の姿は消え去り、楊善さんの背後を取って手刀を突き出して来たの。
「!!」
突き出された手刀を楊善さんは振り向く事なく紙一重で躱す。
まるで蝕王覇蛇の攻撃が見えていたかのように?
そして振り上げた剣が初めて蝕王覇蛇を斬ったの。
「ぐはぁ!」
楊善さんは蝕王覇蛇を見下ろして説明する。
「この宙に舞う羽根は私の眼みたいなものでしてね?全ての羽根を通してお前の動きを捉えている。そして分かったぞ?お前のカラクリがな!」
すると蝕王覇蛇の姿が露わになる。
その姿は全身が光に覆われていたの。
「お前の正体は光そのもの!光の反射を使って移動していたのだな?つまり!」
楊善さんは身につけていたピアスや指輪にネックレスといった貴金属を全て取り払い目の前に投げたの?
「うがぁ!?」
すると引き寄せられるかのように蝕王覇蛇の身体が楊善さんの貴金属の場所へと一瞬で移動したの。
「カラクリが分かれば他愛もない!お前は光が映る物に瞬間移動する能力。お前は私の持つ光り物へと移動していたのだね?しかも自分の意識とは関係ない場所へ移動しているから当然移動先が読めない」
それに気付いたのは踏み潰されたピアス。
今まで移動していた場所は全て楊善さんか黄巾力士の至近距離だった。けれど一度だけ違う場所に移動したの。それが戦闘中に落下したピアスの上だったの。それがどうしても不自然だった。
「手品も種がわかれば後は楽なもんさ!」
楊善さんは手にした宝貝に神気を籠める。
「鉄嘴神鷹」
その宝貝は紅瓢箪の形をしていたの。
その蓋を開けると黒い煙が噴き出してその煙が結解を覆っていく。
その黒い煙は光を遮断するためだった。
更に黒い煙から神鷹が飛び出して来て嘴を突き出す!
「うぎゃああ!」
蝕王覇蛇の身体に風穴が開き血が噴き出す。
けれど蝕王覇蛇は笑っていた。
「ククク。聖獣族であろうと関係ない。お前の力は実に魅力的だ!この私の器に相応しい。それにこの器はもう使い物にならんようだからな!」
「そろそろ終わらせて貰います!」
楊善さんがトドメを刺そうとした時、蝕王覇蛇は無謀にも特攻してきたの。
「諦めたのか?」
蝕王覇蛇に向けて翼を振るうと羽根が手裏剣のように放たれ全身を貫く。
予測通りに瞬間移動は出来ないみたいだった。
全身が切り刻まれ、腕が落ちても、顔面が半分吹っ飛んでも構わずに前進して来る。
徐々に蛇気が小さくなっていく。
もう少しで命が尽きようとしているのは分かる。
それでも前進を止めない。
「なんて執念だ!」
楊善さんは蝕王覇蛇に向けて剣を上段に構えたの。
「ならば跡形も残さずに消滅させるよ」
それは楊善さんの秘奥義。
背中の紅色の翼が剣を覆って輝かせる。
「八十八勁鷹桜斬!」
その一刀は蝕王覇蛇を一刀両断にした。
「うごぉおおおおお!」
全身を高熱に焼かれて悲鳴をあげながら全身が蒸発していく蝕王覇蛇。
これで勝敗がついて直ぐにでも二郎神君さんの救援に向かいたいと思ったその時、
「うがはひはははは!」
「!!」
肉が爛れ骨が見え半身状態の蝕王覇蛇が飛び掛かって来たの!
「クッ!まだ生きていたのか?しぶとい!」
楊善さんが真横に刀を振るう。
蝕王覇蛇の上半身が飛び、下半身は消滅する。
その上半身が残った片腕を伸ばすけれどそのまずり落ちるように地面に落ちる。
もう動く事も出来なかった。
「蛇神とはかくに恐ろしい生命力だな」
楊善さんは剣を蝕王覇蛇の頭に向けて突き刺したの。
これで完全決着がついた・・・はず?
「ふ、ふ…私を殺したな・・・」
「!!」
その直後、消滅していく蝕王覇蛇の身体から光が飛び出して楊善さんに吸収されたの!!
「な、何がぁ!?」
状況が分からなかった。
しかし脳に直接声が聞こえてきたの?
「この身体は私が頂いた。実に見事な器!溢れんばかりに力が漲ってくるようだぞ!今より私が楊善だ!いや、楊染覇蛇と名乗るとしよう」
楊善さんの意識が闇に覆われていく。
「まさか・・・蝕王覇蛇の真の能力は!?」
それに気付いた時には後の祭りだった。
蝕王覇蛇の真の能力、それは自らを殺した相手の身体を奪う能力。
蝕王覇蛇は自らを殺すほどの強者の身体を幾度と移り変わる能力だったの。
薄れゆく意識の中で楊善さんが最期に口にしたのは、
「ごめん、し、真君・・・」
そこで楊善さんは尽きたの。
「さて、愚弟の方がまだ手こずっているようだから手を貸してやるとするか。この私の新たな器に早く慣れるためにももう片方の武神も都合良さそうな相手だったしな」
そして喰殖覇蛇と戦っていた二郎神君さんの前に、蝕王覇蛇、いえ!楊染覇蛇が現れたの。
一体全体どうなってしまうの?
そんなこんな。
次回予告
楊善が倒され、二郎神君は悲しむ暇もなく
二体の覇蛇を同時に相手にせねばならなかった。




