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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生覇王蛇神編!
250/713

約束と鎮魂


六蛇氷蛇を倒した楊善の活躍。


しかし彼らの存在は蛇神達に知らされてしまった。


私は法子。

私達は今、廃墟と化した妖怪の国に身を潜んでいたの。

それは楊善さんの疲労回復のためだった。

そこで私は二郎神君とナタクに蓬莱国で起きた出来事を説明したの。

あ、竜吉公主さんや金托さんの事は上手く抜かしてね?

何か二人と血縁関係だとかで、ややこしくなりそうだから。

楊善さんも私に彼らには何か理由があるから話を伏せるように言われてたし。

「どうりで二人の居場所が何処を探しても見付からなかったわけだ。そのような結界の中に閉じ込められていたのなら納得も出来る。二人ともよく無事で何よりだ」

「大変だったのよ〜本当に!」

二人は私達を探し回っていたの。

けれど蛇神族に居場所を探られないように神気を抑え、並の人間レベルにまで落としていた。

当然、空中に浮遊も出来ないから直接足で移動しないといけない。

そして私達の気をずっと探ってた時に離れた場所から楊善さんの神気を感じたの。

しかも強力な蛇神の力をも感じ取ったので危機を感じて仕方なく力を解放して飛んで来たんだって。



私達と合流し助けてくれた後も、私達の発した気を追尾されて蛇神達が何匹も襲って来たのを返り討ちにして来たの。けれど流石にあとが絶たないので、この場所に身を潜めているのよ。

「おそらく蛇神達に滅ぼされた国だろうな。ところどころに蛇神と妖怪達が争った形跡が残っている」

二郎神君さんが辺りを偵察して来て私達に説明してくれたの。

「都合良いことに妖怪達の妖気がいまだに残留しているから俺達の気が紛れて気付く事はないだろう」

それは楊善さんの治癒の事を言っての。

本来なら神気を高めて治癒力を促進させれば直ぐにでも傷は塞がるのだけど、急激に体力は消耗する。

当然、神気もダダ漏れになるから蛇神が集まって来てしまう。正直、私達は蜂蜜みたいなモノ。

対して蛇神は匂いを嗅いで寄って集まって来る蟻と同じ。

僅かな気配で群がって来るのよ。


それも蛇神の高位種の覇蛇の称号を持つ化け物が何者かに倒され、その後釜に着こうと躍起になっているらしい。そのために覇蛇を倒した者か相当の強さを持つ者の首取り合戦しているんだって。


だから私達は無駄な戦闘を避けるべく術札を使い自然治癒のみの回復を余儀なくされているの。

「大分楽になりました。傷口も塞がった事だし先を急ぎましょ?」

楊善さんはそう言うけれど二郎神君さんは楊善さんの消耗を察して直ぐに動こうとしなかった。


(あの楊善をここまで消耗させるとは蛇神もやはり侮れん)


それにしても・・・

私は自分のいる滅ぼされた妖怪の国を見て胸が痛む。孫悟空達と旅をするようになり、妖怪の中にも善なる者もいれば悪い連中もいる。人間と大差なかったの。そしてこの国には生活があったのが分かる。親がいて、子供がいて、争いを好まずに平和な暮らしをしていたのが残留思念となって私に伝わってきたの。

そこに突然の蛇神の襲撃。

戦える者は弱い者達を守るべく武器を手に耐え忍んでいたけれど、並の妖怪では下級の蛇神にすら手も足も出なかった。まるで洪水に襲われたかのようにこの国は跡形もなく滅ぼされたの。

本来ならお教を詠んで弔ってあげたかったのだけれど、今はそれも許されなかった。

「口惜しわ!」

そんな時、私は微かに感じたの?


「まさか!?」


それは何かの気配だった。

蛇神の気配とは違う?

この国の住民がまだ僅かに残っているの?

私は壁に寄りかかるようにして瞼を綴る。

すると霊体が肉体から抜け出して宙に浮いたの。

私の霊体術なら敵に感知されないはずだわ!

そして肉体を残して霊体を飛ばしたの。


私は空から様子を見る。

どこもかしこも崩壊した建物に殺された妖怪達の亡骸が転がっていた。

その中で中央にある神殿を見付けたの。

当然崩壊してはいたけれど、その中から結界らしき気配があった。

私は中に入ると探索してみる。


不思議?


ここから感じる結界は私の使う陰陽師の結界と同種のように見えるわ?

そもそも未来から来た私の術は師匠から教わったものだから、そんなわけないはずなんだけれど?

ん?そう言えば愛音さんの村や影一族の隠れ家にあった結界も似ていたわね?

そこで共通点に気付いたの。

皆からの話の中に現れた私の前に孫悟空達と旅をしていた三蔵法師様が張ったんだわ!

えっ?そうなると三蔵法師様は私みたいに未来からの漂流者って事もあり得るわ?

しかも私と同じ流派を身につけていて、かなり凄腕の退魔師だわ!

けれどそんな人がいたなんて話は聞いた事もない。

すると私は結界に阻まれてそれ以上先には進めなかったの。

これ以上進むには肉体がないと無理ね。

そこで肉体に戻った私は、何も告げずに結界のあった場所へと向かったの。

えっ?だって二郎神君さん達に話したら止められるに決まってるじゃない? 


誰も私の好奇心は止められないわ!


そして私は結界の前にまで来ると、結界に手を入れたの。

私の思い通りなら間違いなく!

「やっぱり入れたわ・・・」

この結界はやっぱり私と同門の結界。

この結界には張った本人と指定した者しか入れないようになっているの。

例えば自分の血や、この国の妖怪さん達の血を結界に使う事で、それ以外の者は入れない仕組みになっているんだけど。はて?疑問だわ?同じ流派だから入れるとは限らなかったから。


そして私は結界の奥へと進んだの。

「あっ!!」

その奥は地下なのに灯りがあった。

そして影が動くと、隅の方に幼い妖怪の子供達が震えて隠れていたの。

「貴方達、ここの国の子?」

けれど怯えて近寄って来なかったの。

よほど恐い思いをしたに違いない。

この国の大人達はせめて子供達だけは救おうと、この神殿に子供達を隠して自分達を囮にしたのね。

「あの・・・貴女は誰?蛇でないの?」

すると私と同じくらいの見た目の女の子が私の方に近寄って来る。

「私は砂葉国の巫女、テナと言います」

「あ、テナさんね?名乗るのが遅くなってごめんなさい?私は法子よ」

「の、ノリコ?ノリコと言うのですか?」

「えっ?あ、うん。私は法子。それがどうしたの?」

するとテナさんは涙を流しながら私を拝んだの。

「何?何?そんな突然拝まないで?チヤホヤされるのは嫌いじゃないけど」

「貴女があの三蔵法師様が仰っていたノリコ様なのであれば、私は砂葉国の代表として貴女様に渡す物が有ります」

「何かくれるの?」

そしてテナさんは過去にあった経緯を話してくれたの。この砂葉国が過去に他の妖怪達の襲撃に合った時の話。本来、砂葉国の民は穏やかで戦う事を知らなかったため、凶悪な妖怪達は簡単に国を手に入れられると考えていたの。

「その時、この砂葉国には行き倒れの人間の男がいたのです」

「えっ?行き倒れの男?」

大人達が行商で旅から戻る途中に砂漠で倒れていた所を連れ帰って来たらしく、食事をさせて休養を取らせたら本当に喜び、何か出来る事はないかと国全体に強力な結界を作ってくれたらしいの。

その行き倒れの男こそ名高い三蔵法師様だったの。

「そこで三蔵法師様は襲撃して来た妖怪達を撃退してくださったのです」

「旅の途中名前だけは聞いてるわ」

孫悟空達のお師匠様で、一度先に甦った覇王をも撃退したとんでもない人だって。

話だけ聞いてると本当に人間なのかしら?

「そこでこの砂葉国を旅立つ際に残して行った物があるのです。もし「ノリコ」と言う人間が訪れたのなら渡して欲しいと」

「えっ?三蔵法師様から私に?」

すると結界の中央に勾玉が置かれていたの。

「この勾玉をお手にどうぞ」

「えっ?あ、うん」

私は勾玉を手に取ったけれど何の力も感じなかった。何か凄いアイテムかと期待したのだけど、でも今まで私のために大事に残して置いておいてくれてらしいから有り難く頂戴し龍の籠手に収納したの。

「有り難う。確かに頂戴したわ」

私が微笑みながらテナさんに感謝したその時、

「えっ?」

私の全身から鳥肌が立つ。

そして私は目の前の現実に瞼から涙が溢れたの。

私に勾玉を渡したテナさんの姿が透き通っていく?

テナさんだけじゃなく、隠れて見ていた子供達も皆透き通っていき、薄くなっていく。


私は今頃理解したの。


壁際にはテナさんや子供達の亡骸が無惨な姿で横たわっていた。そう。彼女と子供達は既にこの世の者じゃなかったの。恐らく生々しい血の匂いから蛇神達の襲撃の時にはもう襲われ殺されていた。

それでも私の前に現れたのは、死んでもなお私にこの勾玉を渡したかったから。

かつて受けて三蔵法師様との約束を守り恩を返すために。

何て義理深く健気なの?

自分達はもう、死者であると言うのに。


「ノリコ様・・・私達はこれで何も思い残す事はありません」


すると子供達の霊が私に訴えかける。

「泣かないで?お姉ちゃん?もう僕らは怖い思いしなくて済むんだよ?痛い思いしなくて良いんだよ?悲しくなくなるんだよ?」

「僕達はきっと生まれ変わって、今度は平和な所で幸せになれるよね?救われるんだよ」

その言葉を聞いて私は無言で頷いた。

けれど私は知っている。

この子供達は決して救われないと。

惨殺されたこの子供達の魂は恐怖と生への未練から、その魂はこの廃墟に縛られてしまうの。

地縛霊となってしまうの!

この砂葉国は、この子供達だけでなく戦で殺された大人達も沢山いて、全て無慈悲に当然抗う力もなく蛇神達によって殺された。

明日を見れないまま・・・

私は堪らない思いに胸が張り裂けそうになる。


「あ、あぁぁ・・・ああ」



場所は変わる。

そこには私がまた姿が見当たらなく消えてしまった事にナタクが頭にきていたの。

「あの女ぁ!!」

「とりあえず蛇神に見付かるよりも先に俺達が探し出さないといけないな」

「私も寝ているわけにもいきません」

二郎神君さんと楊善さんが私の気配を探るために外に出たその時だった。

「!!」

三人はその場に突然起きた現象に目を奪われる。

「な、何が起きていると言うのだ?これは!」

砂葉国の中央から白い光の柱が天高くまで昇っていき、徐々に広がりをみせていく。

その白い光は三人をも覆いながら砂葉国全てを覆ったの。

「これは!?」

二郎神君さんはその身に白い光を感じて気付く。

自分達には害はない。

それどころか心が癒やされていくような感覚。

「神君!アレを見てごらん?」

楊善さんは砂葉国から浮き上がっていく白い光が上空へと昇っていくのを見る。

それは一つ二つではなく、国全体から数千?数万の白い光だった。

「アレは魂ですね」

砂葉国で殺された全ての者達の魂が浄化され天高く昇っていく現象に目を奪われる。

「これ程の魂を浄化など、我々神とて不可能な芸当だぞ?一体、何者が?」

死者の魂を浄化し天に送る事は一体だけでもかなりの大仕事なのに、国の住民全ての浄化なんて出来る出来ない以前に不可能としか言いようがなかった。

しかし現実に何者かが確かに行っているの。

事の次第を調べるために二郎神君さんと楊善さん、ナタクは中央の光の中心へと向かったの。


「!!」


そこで三人が目の当たりにしたのは?

「何故、天が人間である彼女を我々に守るように命じたのか分かった気がする」

「そうだね・・・。彼女は私達が想像している以上に今の世界に必要なのかもしれない」

「ふん!俺には関係ない」

一人無関心な態度を取るナタクも横目で見る。

その視線の先には、

錫杖を地面に突き刺して念じた視線で気を失いながらも鎮魂の術法を発動させていた私がいた。


それは無意識。

それは私の本能。

それは私の力。


私にはまだ何か特別な力があるの?

けれど今の私にそれを知る事は出来なかった。


そんなこんな








場所は変わる。

そこは蛇気が充満した帝都が地上界に出現していたのである。

その中央に見える城塞にはこの世界を統べる覇王が座していた。

更に祭壇が見える?

そこに覇王を崇拝する白蛇の巫女が念を籠めていた。

その視線の先には地上界の地図が記されいて、その中から感じとっていた。

「信じられません。まさか硬固覇蛇を倒す者が下等種の中に存在するなんて未だに信じられぬ?しかし今、六蛇氷蛇の存在まで消えおった。どうやら我等蛇の一族に害を及ぼす者が現れようとはな」

白蛇の巫女は目の前に置かれた地図に光を帯びた点を指差したの。

その光の点は蛇神以外で地上に生存する力も有る者の居場所だった。

この白蛇の巫女からは逃げも隠れも出来ない。

蛇神以外は全て消し去る巫女。

すると直属の蛇の化け物達が白蛇の巫女に命じられ光の点の場所に向かって出撃する。

その中で最後に残った四つの光を発する点に白蛇の巫女は誰を出撃させるか迷った。

先程、突如感じたとてつもない力の気配を感知した。

未確認の力の波動に白蛇の巫女は警戒していたのだ。

何せ覇蛇に継ぐ力を持つ六蛇氷蛇を葬った者が位置的にこの中にいるのは間違いなかった。

同じ者の仕業か?今感じた気配の存在。

その四つの光の点の場所には二郎神君、楊善、ナタクに法子がいる。

すると二体の蛇神が無言で名乗り出たのだ。

「驚きました。まさかお前達が協力してくれるとは。何か興味を抱いたのか?」

しかし返事はせずに二人の蛇神は姿を消して光の点へと向かったのだ。


その二体の蛇神は共に覇蛇!


最強の覇蛇が二体、今、法子達に迫る!

次回予告


最強の覇蛇が二体、法子達の方へと迫る。


法子達の命運は?


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