大魔導師の正体?家宝は寝て待てよ!
法子と楊善は王魔を倒した。
しかし蓬莱国の結解から出るためには
謎に包まれていた大魔導師に
会わねばならなかった。
私は法子。
私と楊善さんはこの蓬莱国の謎を解くために、恐らく全ての謎を知る大魔導師のもとへ急ぐ。
「大魔導師様は王宮の離れにいるとの事です」
幸楽公主さんは大魔導師からの唯一声を聞く事が出来るらしく、地下牢獄が崩壊した後に居場所を変えたらしいの。その上、王魔に捕らわれて閉じ込められていたところを逃してくれたんだって!
大魔導師は幸楽公主さんに私達を連れて来るように告げたそうなの。
「それにしても大魔導師は謎だらけだわ?」
王魔は確かに言った。
この結界に閉じ込められた時に大魔導師の器を手に入れたって?
けれど王魔は私達が倒したわけだし、なら私達を待つ大魔導師って何者なの?
「考えても拉致あかないわ!とにかく着けば全ての謎が解けるわ!多分ね?」
そして私達は足を止める。
「何なの?これ?」
私達が足を止めた理由は、そう。
目の前に広がる世界が歪んでいたの。
ここから先には一歩も前には進めない。
結解の狭間なのね。
「法子さん!」
「うん。分かってるわ」
その歪んでいる空間の真ん中に、黒いローブの何者かが宙に浮いて座禅していたの。
「あれが魔導師?」
「間違いありませんわ」
すると大魔導師が先に進み大魔導師に訴える。
「蓬莱国の大魔導師!お二人を連れて参りましたわ!この国の皇女である私に知っている事全てを教えなさい!これは王命と思いなさい」
すると大魔導師から念話が私達の脳に直接入って来たの。
それはこの蓬莱国の結界の成り立ちだった。
「この蓬莱国の頭上にて光と影が衝突し合い、
空前絶後の嵐が巻き起こった。
その時、さらに上空より光柱が二つの光と影ごと蓬莱国をも飲み込んだのだ。
その光は強力な時空結界。
その結界は光と影ごと、蓬莱国の時を止めた。
それで全てが終わったかに思えた。
しかし問題が起こった。
この結界は強い力を持つ光と影を抑えるには十分であったのだが、この蓬莱国にはもう一つの強い力を持った者が潜んでいたのだ。
それが原因で時の歯車が動き始めた。
それから結界の強制力が時を戻しながら抑制しては再び時が動くのを繰り返していた。
そしてついに光と影もまた意識が覚醒してしまった。
光は怪我をしていた蓬莱国の民の男の中へ魂を移し、影の方は蓬莱国の魔術師の身体を奪った。
さらに今、お前達が結界に入って来たのだ」
えっ?ちょっと待って?
「ちょっと待ってよ?なら貴方は何者なの?魔導師は王魔に肉体を奪われたんでしょ?」
すると大魔導師は私達の質問に隠す事なく教えたの。
私達の目の前に浮いている魔導師の正体を!
「私はこの蓬莱国を覆う結界そのもの。結界の意思である。私の目的は時を正常に止める事。そのためにお前達異分子はこのまま消えて貰う」
まさか大魔導師の正体が、この蓬莱国を覆う結界の意思だなんて!?
結解が意思をもって異分子を始末しているの?
どうしよう?
分からないわ・・・
アイツを何て呼べば良いのか!!
大魔導師?結解さん?その意思さん?
「あの〜結界の意思さん?悪いけど私達は立ち止まる事を知らないの。若さなんてあっという間なのよ?そのために一日一日を大切に充実した過ごし方しなきゃいけないのよ!分かる?女子高生なんてあっという間なの!それに外の世界で私を待ってる仲間がいるんだから!」
「お前達の意思は関係ない。この結界の中で眠りなさい」
すると私達の周りも空間が歪みだす。
ここまで来たら逃げ場はないわ!
「法子さん!後ろ!」
「えっ?」
すると私の背後の空間が歪んで黒い手が伸びて来たの。
そして私の顔面を掴もうとする。
「わっと!」
私はバク転で躱すと金の錫杖を出現させて伸びて来た腕を叩く。
けれど腕は雲を掴むように消えてしまう。
「実体じゃないの?」
「でも掴まれたら危険そうですよ」
さらに見渡す限り空間が歪みだして同じく腕が伸びて来たの。
「法子さん?例のアレ行けます?」
「そのつもりだったわ!」
私は数珠を頭上にあげると霊気を籠める。
「数珠竜炸裂弾!」
数珠が炸裂して向かって来る腕を消滅させていく。
さらに楊善さんも術を放つ。
「手郡石!」
石礫が炸弾して同じく空間の歪みから出て来た手を消滅させていったの。
「これでどうよ!」
私は金の錫杖を投げ付け空間の意思の本体の身体を貫く。
やった!これで終わり?
「なわけないか〜」
すると今度は空間の歪みから本体と同じ姿が何体も出現する。
そして私達に向かって押し潰すような重圧をかけて来たの。
「ぐうぅぅぅ!」
このままでは押し潰されちゃうわ!
「埒が明かないですですね」
楊善さんは神気を高めて重圧から結界を張り私達を守ってくれる。
けれど印を結んでいるから攻撃が出来ないわ。
そうなると私がなんとかしないと!
「・・・・・・」
でも、どうやって?
あの結界の意思って本体あるの?
この結界全体が奴なのよね?
なら結界を消さなきゃ倒せないじゃないの?
結界を壊せるなら、最初から苦労しないわ!
実体なんかないじゃないのさ!
私は挫折する。
いや、何もしないで諦めるなんて私らしくないわ!何か考えなきゃ!
すると私の頭の中へ直接声が聞こえて来たの?
「目に見えるモノに騙されるな」
えっ?ソレって?
私は言葉に従うように瞼を綴る。
目に見えるモノではなく、この世界の理を見定める。
そして考えるのよ!
この出鱈目な結界を壊す方法を・・・・・・!!
「あったかも・・・」
私は最初に聞いた結界の意思の話を思い出す。
確か〜
「この結界は強い力を持つ光と影を抑えるには十分であったのだが、この蓬莱国にはもう一つの強い力を持った者が潜んでいたのだ。それが原因で時の歯車が動き始めた」
そうそう!こんな事を言ってたのよね?
つまり二人分の結界に何故か三人いた事で許容範囲を越えたわけよ?
それで時空結界で止めていた時の歯車がずれ始めて少しづつ動き出したの何故かよね?
更にそこに私と楊善さんが結界に入って来たものだから結界の力が更に弱まり、結界の意思は大魔導師と偽って世子に力を与えて私達を抹殺しようとしたのよ?
つまり、この結界を壊すには三人以上の力はが必要になるわけよ・・・
そう分かれば王魔を倒してしまったのは痛手だったわ。
そして分かった事があるの。
今、私達が戦っている大魔導師の姿をした結界の意思には物理的には絶対に倒せないって事が!
「楊善さん!今からこの場から逃げるわよ!これは戦略的撤退だから!」
そう叫ぶと、楊善さんも頷く。
「消耗戦は合理的ではないし私向きな戦いではないですね」
そう言うと楊善さんは片手で防御壁を張りながら、もう片手で神気を空間のまだ王宮の姿がボヤケて見える方に向けて放ったの。
空間に穴が開き、その先に王宮の道へと繋がる。
あの穴から抜け出すわ!
私と楊善さんは幸楽公主を抱えて穴へと飛び込む。
「出れたぁわ〜」
私達は外の空間に脱出した。
「見てください!」
幸楽公主に言われて振り返ると、抜け出た穴が徐々に大きくなって来ているの。
「と、閉じなきゃ〜」
私は印を結んで結界の術札を穴へと投げると炸裂して穴が閉じる。
「えっ?」
けれどその反動でか王宮内の空間が歪みだして来たの。
「とりあえず、この場から離れましょう」
楊善さんに促され王宮の通路を走る。
その時、私は王宮内全体を覆う結界が螺旋状に広がっているように見えたの。
逃げ場なんてあるの?
この蓬莱国全てを覆う結界そのモノが私達の敵なのよ?
私達を異分子として抹殺するつもりなの。
空間の歪みが王宮の至る所に出現する。
「あっ!」
「気付きましたか?」
「えっ?う、うん」
楊善さんも気付いたようで私達は走りながら答え合わせをする。
この結界について。
「こんな大掛かりな結界がもう百年近く張られているのよね?それってかなりのエネルギーが必要なわけでしょ?つまり」
「供給源があるって事ですよね」
そうなの。
こんな大掛かりな結界を維持するためには、随時力の供給が必要なの。
本来なら大地から発する精気エネルギーや太陽光なんかを使った僅かなエネルギーを随時吸収して結界を保つのだけど、それは封じるといった術者の簡単な命令にのみに限るの。
けれどこの蓬莱国の結界には意思があるの。
この結界が消えないように意思をもって張り直したり、私達みたいな部外者を排除しようと策まで講じるの。前者を無機物結界と言うなら後者は有機物結界と言うのかしら?つまり結界の媒介に使われているものが意思ある核を使っているって事。
この有機物結界には張り方には手段が二つあるのよ?
一つは結界を張った者が自らの魂を結界に取り組む方法なのだけど、それも違うの。
「この結界に封じられた者を直接結界の一部にしたのでしょう」
「間違いないわね。そして」
私はその結界に取り組まれた者が誰だったかの見当がついていたの。
それは消去法で割り出せるわ。
そもそもこの結界は光と闇の者が蓬莱国の上空で喧嘩していたのを誰かが蓬莱国ごと封じたのよね?
その一人は王魔で間違いないわ。
そしてもう一つの光の正体!
「孫徳さんの本体が結界に組み込まれたのよ!」
「まさか封じる対象を結界の一部にしたなんて酷い話ですね」
「孫徳さんは確か自らの魂を蓬莱国の人間に宿して別行動していたと言ってたわ。間違いないわね」
そうなると私の取る行動は、
「孫徳さんを探す!」
孫徳さんは王魔を斬った後、私達の前から消えた。
けれど闇雲に探しても見つからないわ?
そんな時に私達の取れる行動は一つよ!
「家宝は寝て待てよ!」
えっ?て、顔する楊善さんに私はウインクする。
そんなこんな。
次回予告
蓬莱国結解編完結
結解の謎と大どんでん返しの展開で脱出出来るのか?




