信頼せし言葉!開かれる第三の眼!
八怪と硬剛覇蛇の一騎打ち。
八怪は本当に硬剛覇蛇に勝てるのか?
蘇る毎に力を増す脱皮能力を使い自爆から復活を遂げた硬剛覇蛇を相手に、八怪が挑む。
「とんでもねぇ〜ら」
八怪も硬剛覇蛇の膨れ上がった重圧に圧し潰されそうになる。
それでも闘志を奮い起こす。
「正直、この俺がお前ごとき下級種に奥の手を使う羽目になるとは思ってもみなかったぞ?下手をしたらこの俺でさえ復活出来るか分からなかったからな。冷や汗ものだった・・・」
硬剛覇蛇は己から溢れ出る力に酔いしれる。
「しかし見ろよ?感じるか?この俺の力を?まさに世界に君臨するに相応しい力だろ?」
「馬鹿こくでねぇ〜よ?お前程度で世界に君臨するなんて、よっぽどのナルシストらな?」
「お前の軽口が強がりにしか見えんぞ?ぐふふ」
「ムカつくらな〜」
だが、八怪も硬剛覇蛇の桁外れのパワーアップに正直焦りを感じていた。
しかも改拍を生き返させるためにかなり力を消耗していた。
万全でも五分五分で渡り合えるかどうか?
「ウラァアアア!」
八怪は渾身の一撃で拳を硬剛覇蛇の額に直撃させた。
硬剛覇蛇は避ける事もなく、その拳を受けたのだ。
「そんなもんか?毛ほども感じんぞ?」
「ぐぅわああ!」
八怪は拳から血を垂らしながら退く。
硬剛覇蛇には傷一つ無く、八怪の攻撃は全く通用していなかったのだ。
「何だぁ?俺は何もしなくても自滅かぁ?やはり格の差が開き過ぎたようだな?」
「まだまだ、これかららぁー!」
八怪から漆黒の気が噴き上がり竜巻のようにその身を纏う。
八怪の属性は「風」、しかも暴風。
八怪を中心に凄まじい力が解放し、硬剛覇蛇に向かって攻撃の猛連打を繰り出したのだ。
それはまるでマシンガンの如き連続攻撃。拳に蹴り、手刀に肘打ち。
「効かん!効かん!全然効かんぞぉー!ガハハハハ!」
まるで赤子を相手にするように硬剛覇蛇は全く動じる事なく八怪に向かって拳を振り払ったのだ。
「ぐあああ!」
振り払われた拳は八怪を軽々と弾き飛ばす。
その一撃で八怪は全身の骨が砕け吐血し見動きが取れなくなってしまった。
「ゴホッ!」
まさかこれ程にまで力の差が開いてしまうなんて。
「ふぅー!オラは!オラはこんなところでチンタラしている場合じゃないんら!」
八怪は気合いで踏ん張り立ち上がる。
全身に気が満ちると身体の傷が小さくなっていく。
八怪の再生力もまたずば抜けていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
けれど改拍の蘇生に使った力が回復してないため、完全回復とまではいかなかった。
「らが布石は済ませたら」
布石?
八怪は先程の攻撃の中で仕掛けていた。
無差別に攻撃をしていたようで実は無数の攻撃の中に紛れて同じ場所に数発連続で打ち込んでいたのだ。そしてその攻撃は間違いなく傷痕を残していた。腹部に微かにヒビが入っていたのだ。
硬剛覇蛇はまだその事に気付いてなかった。
「あの場所にオラの全ての気を打ち込んでやるら!二度と再生出来ないようにしてやるらよ」
だが、硬剛覇蛇の攻撃を再び受けてしまえば逆に倒されてしまうのは自分の方なのだ。
「よっしやーあ!」
八怪は気合いを込める。
「ぐふふふ。そろそろ俺も遊びが過ぎて来たようだ。次で決着をつけてやろう」
「倒れるのはお前の方らぁ!」
八怪は硬剛覇蛇に向かって飛び込む。
硬剛覇蛇の振り払う拳を上体を下げて紙一重で躱す。
硬剛覇蛇の豪腕が八怪の額がかすり血が流れてもお構いなしに間合いに入ると、
「うおらぁー!」
狙い定めた腹部に向けて拳を突き付ける。
「やったら!」
拳がメリ込み、腹部が粉砕する。
後は渾身の気を打ち込むだけ!
「何て奴だ!この俺の最終形態に二度までも傷を負わせるなんで・・・だが浅かったな?」
「なぬ?」
八怪の腕は硬剛覇蛇の腹部から抜けなかった。
そのまま硬剛覇蛇は八怪を力任せに抱き締めたのだ。
「なぁ?オラにはそんな趣味ないら??」
「このまま圧し潰してやろう」
それは力だけでなく蛇神の気が八怪を覆い完全に逃げ場を塞がれる。
蹴りを入れて暴れても硬剛覇蛇にはビクともしなかった。
「楽しませてくれたが年貢の納め時だな?」
「オラは今まで年貢なんか納めた事は一度もないらよ!」
しかし硬剛覇蛇の締め付ける力は強く八怪の抵抗も無駄であった。このままでは全身が圧縮されて肉団子になってしまう。
「ぐぅああああ!せっかく戦う力を手に入れたのに、何も出来ないまま、終わって・・・」
力が抜けていき意識が薄れていく。
(はっかい!)
その時、八怪に向かって声が聞こえる?
それは懐かしい声だった。
(思い出せ!八怪よ!)
その声は熱く強い声だった。
(俺はお前を信じているぞ!)
信じている?
その言葉は八怪の胸を熱くさせる。
「こんなオラをまだ信じてくれるらか?三蔵はん・・・らったら、オラはその期待に応えなければならんらよな!」
それは旅半ばで八怪達に法子を託して戦死した師匠の声だった。
三蔵法師。
その者がいたからこそ孫悟空も沙悟浄も、そして八怪も巡り会えた。
三蔵法師が道標を示し導いたのだ。
遮那として捲簾大将を、
八戒として三蔵法師を、
二人の大切な師を失った。
「もう失ってたまるらかぁ・・・」
それは法子の事だった。
二度ある事は三度ある?
その恐怖が付きまとっていた。
無意識に戦う事にまだ不安と恐怖があった。
しかし「信じている」と背中を押された事で、八怪は吹っ切れたのだ。
「三度目の正直らぁー!」
全身を掴み抑えつける硬剛覇蛇の腕が徐々に開かれていく。
押し返されているのだ。
「こ、この死に損ないがぁ、まだ抗うかぁ!」
その時、八怪がゆっくりと眼を見開きながら見上げる。
その眼を見た時、硬剛覇蛇は本能的に震え上がる。
開かれていたのだ!!
八怪の両目だけでなく、その額にもう一つ。
第三の眼が開かれていたのだ!
「誰もオラを止める事は出来ねぇーら!」
八怪は硬剛覇蛇の抑える腕を開くと同時に顎に向かって蹴り上げる。
手放した硬剛覇蛇から開放された八怪は着地と同時に指さして告げた。
「もうオラは迷わねぇら。オラはこの力ある限り仲間を傷付け邪魔する全てを破壊するら!」
今、第三ラウンドが始まる。
次回予告
どんどん化け物と化していく硬剛覇蛇。
第三の眼が見開かれた八怪は本当に勝てるのか?




