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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生覇王蛇神編!
234/713

八戒と改伯

英雄神に救いを求めたはずが?


何故か沙悟浄と喧嘩別れしたばかりの八戒が付いて来たのだ。


八戒は単独、蛇神によって襲撃された天界人の訓練生を助けに求めに来た武神と同行していた。

旅の道中、昔話を聞いた八戒は何を考えているのか?

蛇神に襲われた改伯の危機に寸前で逃げたと思えば、寸前でまた助っ人に入ったのだ。

「お、お前?逃げたのではなかったのか?」

「オラがそんな真似するわけないらよ」

「そうか、この私を囮にしたわけじゃなかったのだな?すまなかった」

「・・・えっ?」

「!!」

武神の男は八戒が自分を囮にしたと気づき、やはり信用出来ないと不安がる。

「しかし・・・」

武神は八戒を見て今だに信じられなかった。

それは妖怪だから何か企んでいるとかではない。

いくら下級の蛇神と言っても、いくら不意討ちだったとしても、まさか蛇神を一撃で仕留めたなんて。

潜在能力を探っても、目の前にいる黒豚妖怪である八戒は中級妖怪レベル。

蛇神を相手に手が届くはすがない。なのに何故?

「それは!?」

武神の男は八戒の手に持つ武器を見て理解した。

それは中級妖怪が手にするには分不相応の宝具であったからだ。

「お、お前?その手にする武器はどうした?」

「釘鈀の事らか?これは竜神族から貰ったらよ?ん?欲しくてもやらんらよ?」

「竜神族からだと?お前、その武器が何なのか分かっているのか?」

「ん?この釘鈀が何らか?」

「知らずに使っているのか?お前が蛇神を倒せた理由が分かったぞ。それはだな・・・」

武神の男は八戒も知らぬ釘鈀について説明する。


「その武器に嵌められたマグワのような九本の歯は伝説の暴嵐の龍と呼ばれた龍神の牙を使い、その刻まれた六曜五星の封印で力を留め抑えていると言われている。その力は暴風を巻き起こす破壊の力として恐れられ、天界最高の七星剣を守護する七宝の守護刀の一品として奉られていたはず?それが何故お前の手に?」

「そんな高級品らったらか?」

「お前のような中級妖怪が持って良い物ではないのだぞ??」

「そんなん知らんらよ!それに竜族の応龍がくれたんらぞ?オラは別に盗んでないらぞ?」

「応龍だと?何故天界の宝が龍族の手にあったのだ?それにお前・・・その武器は」

「何ら?」

武神の男は少し躊躇っていた。

何故なら、その八戒の手にしている釘鈀には語られる異名があったから。


「魂を餌に破壊をもたらす魔剣」


かつてその武器を手にした者は全て強大な力と引き換えに魂を喰われて消滅したとか。

「マジらか?物騒らな?」

「お前は何ともないのか?紛い物ではなさそうだが、実物を見た事がないから噂が作り事やもしれんが」

「オラは何でもないらよ?とにかくオラにはこの釘鈀が必要らから手放すつもりはないら」

「まぁ、気を付けるのだな」

「それにしてもお前は詳しいのらな?」

「こう見えても私は教職者だからな」

「先生らか?偉いのらな?」

「そんな大層な者ではない。まだ名乗っていなかったな?私の名は改伯という」

「改伯らか?オラは八戒らよ。旅は道ず連れら?宜しくら」

そして二人は先を急ぐ。

まだ生徒達が生きていてくれると信じて。

「頼む。皆、無事でいてくれ」

その想いを八戒は横目で見ていた。


それから二人は休養を取りながらも先を急ぐ。

その時、突然足下が揺れ始め蛇神が飛び出して来たのだ。

しかも二体!

「光縮術・発勁!」

武神の男は神気を掌に凝縮させると蛇神に向かって一気に放つ。その威力は蛇神を黒焦げにした。

「やるらな?」

「こう見えても私は大将まで務めたのだぞ」

八戒も蛇神に向かって攻撃を仕掛ける。

「うらぁー!」

釘鈀で叩きつけると蛇神は脳天をかち割られて動かなくなった。

「くっ!」

しかし二人は動きを止める。

何故なら二人を囲むように新たな蛇神が何体も集まって来ていたのだ。

徐々に追い詰められていく二人。

「こんなところで私は死・・・」

「諦めるなや!」

「!!」

八戒の言葉に弱気になっていた改伯は勇気を奮い起こす。

不思議な気分だった。妖怪のくせに自分に付いて来て、共に蛇神相手に戦っている。

しかも自分に勇気を与えてくれるなんて?

本来、神族と妖怪。

場所が変われば敵になっていたかもしれないのに。

しかし、この状況ではもう助からない。

二人は完全に追い込まれていた。


「年貢の収め時か・・・」


二人が覚悟を決めたその時、

「!!」

蛇神達が次々と消滅していく。

それは別方向からの攻撃たった。

「あ、アレは!」

すると柱の上から何者かが二人のもとに飛び降りて来ると、抜き出した剣を蛇神に向ける。

「これ以上、先生には傷一つ付けさせはせん」

振り払う斬撃は蛇神を斬り裂く!

その強さは上級神に近かった。

歳は二十歳頃だろうか?

改伯を先生と呼ぶこの若者は?


「あの者は私の大切な弟子だ」


改伯は安堵していた。

そう言えば改伯が信頼して施設を任している者がいると言っていたが、それが彼なのか?

その若き武神は一人で蛇神を一掃させると、最後に八戒に剣先を向けたのだ。

「待て!待て!この者は敵ではないのだ」

「しかし先生、その者は斬るべきです!容赦などいりません!」

「いや、違うんだ!この者は私の手助けを・・・」

止める改伯だったが、若者は殺意を八戒に向ける。

「相変わらずらな?」

八戒は若者に向かって知った口だった。

「どうしてお前がここにいる?」

若者もまた八戒とは面識があるようだった。

「何だ?お前達は知り合いなのか?」

それには改伯もまた驚く。

そう。二人は因縁の間柄だったのである。


若者の名は玄徳。

かつての七代目天蓬元帥を父親に持つ名家の武神。


玄徳は八戒と改伯を施設の子供達もとへ案内すると、とりあえず落ち着く事が出来た。

「先生〜!」

生徒達は全員無事であった。

涙する改伯は心から安堵していた。


「それにしても・・・」


玄徳は八戒との経緯を改伯に話す。

以前、玄徳は地上で天蓬元帥の称号を名乗っていた八戒に怒りを抱き、討伐に来た事があったのだ。

しかし、決着はつかずに終わった事。

「まだ根に持ってたらか?しつこいらな」

「うるさい!お前は俺が討伐する」

「何を言ってるらか?お前はオラに負けたじゃないらか?」

「負けてなどいないぞ!」

普段は冷静な玄得が声を荒げる姿に改伯は驚いていた。

そして、そんな話を聞いた事があったのを思い出していた。

「そうか、八戒が例のお前が話していた虚言の天峰元帥だったとはな」

改伯は八戒をまじまじと見る。

改伯もまた玄得の父であった七代目の天峰元帥の弟子であった事から、天峰元帥の名を語る者に対して複雑な気分であった。


しかし何故天峰元帥を語るのか?

それも八代目天峰元帥を名乗るなんて?


そもそも八代目天峰元帥とは除名された伝説の武神だった。

天界で大逆罪を冒し、その全ての情報が極秘裏に抹消されたとか。

そして改伯はかつて、八代目天峰元帥に直接会った事があったのだ。


「ふふふ。似ても似つかぬな」


黒豚妖怪八戒に、その姿は被らない。

ただ一つ、黒い事に関して以外は・・・

黒き天峰元帥。

それが八代目の異名であったのだ。


恐らく、その事を何処かで耳にして自らが黒豚である事をネタに名を語っていたのだと推測する。

本来なら処罰するが、蛇神相手に手を貸してくれた事を考慮して見て見ぬふりをする事にした。

何せ蛇神の襲撃が地上界を騒がせているのに、偽名行為など些細な事に過ぎないからだ。


そして三人は作戦を立てる。

施設には八十名の若い訓練生達がいる。

しかし蛇神と戦うのは無謀。

戦力は改伯と玄徳に八戒の三人のみ。

結界内の蛇神は玄徳が全て倒したが、結界の外には間違いなく蛇神兵がまだ残っているはず。

何としてでも戦えない訓練生達を天界へと帰してやらなければならない。

その為に出来る最善の策は?


「囮しかないな・・・」


囮?それは誰かが蛇神の目を引き付けている間に訓練生達を逃がす事だった。

逃げた後は天界への転送神殿にまでたどり着ければ天界へと避難出来る。

しかし囮になった者は間違いなく助かるはずもない。

誰かの犠牲の上で数多くの子供達が助けるのだ。


「ま、待つらぁ〜!!」


八戒は顔を青褪めて抗議する。

「この中でオラが一番部外者じゃないらか?そうなればオラが囮決定じゃないらか??オラは嫌らよ!死にたくないら〜」

何て無様な!

しかし名乗りを挙げたのは?

「私が囮をかって出よう。当然だ!八戒、お前は部外者だからこそ死ぬ必要はない。私の生徒は私が全て守ってみせる」

「先生!ならば私が!」

「玄徳もまた私の生徒だからな?私が相応しいのだ」

「先生!」

しかし改伯の決意は変わらなかったのだ。

涙ぐむ玄徳に、安堵する八戒。

そして作戦が決行されようとしていた。


改伯は一番目立つ場所へ残ると、玄徳と八戒は訓練生達を引き連れ隠し通路から外へと向かっていた。

「さて、私の一世一代の大勝負といこうか」

改伯は神気を全開にまで高める。

その神気に引き寄せられて蛇神達が群がって来たのだ。その数は数百以上。 

しかし改伯は不思議と恐怖を感じてはいなかった。

それどころか心が満たされているような。

「そうか、私はこの時のために生き永らえていたのだな・・・」

そして襲い掛かってくる蛇神を相手に剣を抜くと飛びかかったのだ。

少しでも長くこの場に蛇神達を足止めさせなければならなかった。

身体が傷付きながらも改伯は果敢に戦う。


そして気付けば改伯は柱に寄りかかった状態で座り込んでいた。

腕が重く、力がはいらない。

神気も尽きかけていた。


「本望だ・・・。かつて見殺しにしてしまった子供達は私を、私を許してくれるだろうか・・・?かつて私が騙し、陥れてしまった・・・あの方は・・・こんな私を許してくれるだろうか・・・?いや、それは私の一人よがり。決して許されはしない・・・それでも、私は、最期に残せただろうか・・・?この尽きぬ胸の痛みに、少しでも・・・懺悔出来ただろうか・・・」


過去の断罪を口にし、武器をおろす。

改伯の周りには蛇神達が迫っていた。

「後は・・・」

改伯は蛇神達を巻き込み自爆を試みる作戦だった。

「さらばだ!」

覚悟を決めたその時だった。

突然蛇神達の叫び声が聞こえて来たのだ?

「お、お前!?」

改伯の前に玄徳が降り立つ。


「先生!ご無事ですか?俺は先生にとってまだまだ未熟でございます。まだ教わる事が沢山あります!まだまだ教えを請いたいのです!改伯先生に!」


その言葉に改伯は胸が熱くなる。

そして再び闘志が漲って来たのだ。

そして剣を手に再び立ち上がる。


「子供達は?」

「あの豚に任せて来ました。逃がす事くらい奴にも出来ましょう」

「信頼しているのだな?」

「なっ?お、俺は!あんな奴を信頼なんて!」

「あはは!お前のそんな顔は初めて見た。本当にあの八戒という妖怪は不思議な奴だ。まだ数日しか共にいないのに、不思議と昔から知っているような感覚になるよ」


すると改伯と元徳は囲む蛇神を相手に剣を向ける。


「生きましょう!先生!」

「そうだな。生き延びてまだ私は導かねばならない。子供達に私と同じ過ちを踏ませないように」


二人は背中越しに襲いかかる蛇神を倒していく。

「師である私がお前に救われるとはな」

「幼き日に父親が命を落としてから、先生、俺にとって貴方は父親のように思っていました」

「げ、玄徳・・・」


改伯は力が漲る。

もう駄目だと思っていたこの逆境の中で改伯は幸福感を感じていた。それは玄徳の成長。それは磨かれた力だけでなく、その心の成長。必ず玄徳は天界にとって英雄になり得る。

だからこそ、こんな場所で死なせられないと。

必ず生き延びる!

二人の決意が固まったその時だった。

「!!」

突如、二人は押し潰されん重圧に膝をつく。

「な、何だこの圧力は!?」

「先生、あれは!!」

二人が見上げた先で蛇神達が道を開き始める。

そして一体の大柄の蛇神が近付いて来たのだ。


「この俺はガキの踊り食いが好きでな?あの喉ざわりが堪らないんだよ。口の中でのたうち回り力尽きていく感じが俺の「食」への拘りを満足させてくれるはずだった。それをお前らが邪魔しているんだってな?お前らに何の権限があって邪魔する?おい?」


それは上級の蛇神で間違いなかった。

一歩一歩迫る蛇神に二人は動けなかった。

これは恐怖だった。

本能が告げる。

勝てるレベルではない桁違いだと。


「覇王様より覇蛇の称号を頂きしこの硬剛覇蛇様の楽しみを奪ったお前らは絶対に許さないぞ?」


この蛇神は覇王配下の覇蛇。

八蛇王の一角、硬剛覇蛇であった。

そして無抵抗な二人を硬剛覇蛇は見下ろす。


「せめてお前らミンチにして食べてやる」


そう腕を振り上げたのだ。

「くっ!」

もう駄目だと感じた。

生き残って未来に繋げる想いが全て消える。

希望が一瞬で砕け散り、

絶望が襲ったその時だった。


上空より落下して来た黒い影が、目の前の硬剛覇蛇の後頭部に向けて

「うらぁああああ!」

渾身の一撃で殴りつけたのだ!

無防備に不意討ちをくらった硬剛覇蛇は地面に倒れる。


一体、何が起きたのか!?


二人が見上げたその先には、


黒い背中が立っていたのだ。

次回予告


最強最悪の覇蛇の称号を持つ硬剛覇蛇が、

改伯、玄徳、八戒に襲いかかる。

この窮地から三人は生き残れるのか?

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