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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生覇王蛇神編!
227/713

救世主外伝その玖~救世主起源~

絶対神である覇王を相手に人間の男に何が出来るのか?


しかし、この男は只者ではなかった。


俺は覇王復活を目前にして新たな印を結ぶ。

それは蛇神を前にして力を失うどころか逆に力を増しているようだ。

その魔神とは!

「軍茶利明王」

その姿は紅色の蛇を巻いた魔神の姿。

軍茶利明王もまた蛇神の力を持っているのだ。

すると俺の左右に闘技場にいた蛇神が二体飛び上がって来たのである。

俺に襲いかかって来た瞬間、放たれた覇気で二体の蛇神の動きが止まる。

俺は手にした紅色の蛇が鞭のように撓って二体に巻き付き両断したのだ。


そして俺は覇王に向かって飛び出していた。

軍茶利明王の力で覇王と衝突した時、俺の中に膨大な情報が入って来たのだ。

これは記憶なのか?


この世界の始まり

始祖神とエデンの永きに渡る戦い

覇王の正体

そして俺の成すべき事


「とんでもねぇ話に首を突っ込んじまったようだな」


余りにも俺の現実感からかけ離れ手を余す膨大な情報。

少なからず目の前の覇王って存在を何とかしないと世界が終わる。

その事は俺でも理解出来た。

「お目覚めの所悪いが、またお寝んねしてもらうぜ?覇王様よ?」

俺は全身から攻撃的な気を叩きつけて覇王の防壁を破り、攻撃を仕掛ける。

その様子を見ていた白蛇王は顔を青褪めていた。


覇王が負けるはずはない。

けれど白蛇王は不安が拭いきれなかった。

俺から有り得ない資質を感じてしまったから。

「まさか人間が?有り得ない・・・なら何故感じるのだ?あの人間から覇王様と同等の覇王の資質を!」

巫女である白蛇王は俺から覇王に成りうる器だと感じ取ったのだ。

覇王の候補が二人?

「いえ、この永きに渡る歴史の中で候補に成り得る蛇神はいたわ。生まれ持っての覇王の器を持った者が!けれどあの方は類を見ない」

過去、白蛇王が見込んだ覇王候補は二人いた。

闇を司る悪の化身・アジダハーカ。

そして破壊神シヴァであった。

どちらもエデンの魂を受け止める力を持っていたと思われていた。しかしアジダハーカは儀式召喚にエデンの力の半分を受け止めた時に自我崩壊を起こしてしまい中断した。

アジダハーカを覇王として見限った白蛇王が次に選んだのは破壊神シヴァであったが、シヴァは覇王になる事を拒んだのだ。エデンの力を手に入れ世界を終わらせる事に興味を持たなかった。エデンの手の上で回らされる事を嫌ったのである。

白蛇王は覇王復活のために無理矢理シヴァを覇王に仕立てようと策略を練ったが、シヴァには同等の力を持つ創造神ブラフマンと調和神ビシュヌが手を組み白蛇王の放った蛇神の軍を全滅させたのである。


二度の失敗で白蛇王は三度目は成功させるべく自ら覇王を育て上げる事を選んだ。

覇王になるためにはエデンの力を受け止められる器と資質が必要。

唯一の覇王の巫女である白蛇王には資質を見極める能力を持っていた。アジダハーカは資質こそあったけれど器にはなれなかった。

シヴァは資質も受け止める器もあったが今の世界に執着していた。「破壊神としてエデンの魂をも消し去ろう」とまで言い放つ。

しかし真の覇王が目覚めればシヴァとて叶うはずない。覇王復活の際には必ず真っ先に始末する。

そこで世界を渡り歩き見つけたのが天界の武将であった。まさか神族に資質ある器がいた事は驚きだが、一目見た時に気付いた。

「間違いないわ!あの者こそ我らが主になるべき覇王様だわ」

計画は順調に進み後一歩だったと言うのに、まさかこのタイミングで覆されるのか?

予見した覇王生誕の運命の日に二人の覇王候補が現れるなんて!

しかも予想外の存在の出現。

そして俺の姿を見て白蛇王は思い出していた。

「まさか・・・失われた世界の王なのか?」


俺は今、軍茶利明王の姿だった。

その姿は白蛇王の知る蛇神の歴史にはない存在しなかった。

しかし巫女としてエデンの記憶を引き継いだ白蛇王は別世界についても知っていた。

かつて始祖神が幾度と失敗を重ねた世界創造の際には、自分らと似た生命体が存在したと。

だがそれは全て消去されたはず?

しかしまさか失われた世界の生命体が自分達の世界に紛れ込んだとしたら?

しかも俺が変化した他の魔神もまた失われた世界の生命体では?

肉体を持たずに存在する神の存在。

光の魔神・明王

それはこのエデンが産み出した世界の理から外れた存在である事。更に失われた世界から現れた生命体もまた覇王の資質を持っているなんて?


「イレギュラー・・・」


イレギュラーとは存在を許されぬ神の事を意味した。

つまり別世界の神の事をさす。

イレギュラーは世界改変を生み出す。

覇王とは別に世界を滅ぼしかねない存在だった。

そうなった時、未来軸が狂い出す。

「しかもイレギュラーの覇王候補なんて・・・」

こうなったらもう白蛇王でも結末の未来が読めなかった。


「うぉおおおお!」


俺は目覚めたばかりの覇王と戦っていた。

寝起きだから頭がぼぉ〜として隙が出来ると思っていたのに、コイツ場数踏んでやがるな?

恐らく敵しかいない過酷な戦場を寝る事も出来ずに神経を張り詰めた状態で戦い生きて来たに違いない。だからどんな状態でも戦闘に入った瞬間、意識よりも先に身体が反応し一気に全開にまで集中力が高まるのだ。

「俺と同じかよ!」

だが力の差は届かないレベルではなかった。

覇王が力を増す事に俺の力も相乗効果的に増しているのだから、楽なもんだ!

激しい衝突の中で俺と覇王の間で空間が歪み出す?

「これは何だぁあ?」

その時、声が聞こえて来たのだ。

「汝、我が魂を受け継ぐ者か?」

今の声は?覇王とは別の声?

それはエデンの声だった。

俺と覇王の力が衝突する事でエデンを呼び起こす扉がこじ開けられたのだ。

すると空間の歪みが俺と覇王の目の前で浮かび上がりながら天井でとまると、そこから光だか闇だか分からない存在が姿を現す。あれはエデンなのか?だが直ぐにソレは上空で姿を変えたのだ。


「あ、アレこそ間違いないわ!」


白蛇王が叫んだソレは聖杯であった。

「覇王様ぁー!あの聖杯を手に取るのです!アレこそ真の覇王になるための最後の欠片でございます!」

覇王は聖杯を見上げる。

何がなんだか分からないが、あの聖杯を取られたら全てが終わるようなマズいパターンか?

俺は先に飛び出すと、

「そのような者に奪われてはなりません!覇王様ぁー!聖杯を!聖杯を手にしてくださいー!」

必死な白蛇王の訴えに覇王もまた飛び上がる。

俺と覇王は聖杯を先に手にするべく争いながら上昇する。俺は二匹の紅色の蛇を鞭のように叩きつけて攻撃を仕掛けるも簡単に間合いに入られ手刀が眼前に迫り俺も寸前で躱す。

が、覇王もまた全身から発する蛇気が蛇のように俺に向かって噛み付いて来たのだ。

「蛇神独鈷」

俺は手にした軍茶利明王の加護を得た独鈷杵で殴りつけ蛇を寄せ付けなかった。その緊迫した戦いの最中で俺は見てしまったのだ。闘技場に残して来た千兎達に蛇神達が囲み今にも襲いかかろうとしているのを。しかし千兎達は俺に助けを求めはせずに死を覚悟していたのである。俺の注意を削がさないように。

「チッ!」

奴らの覚悟を無駄にしてはならない。

今、引き返したら全てが台無しになってしまうのだから。

しかし、

俺は覇王との戦いから離脱し千兎達に向かって軌道変更していた。

ここまで来て見捨てたら寝覚め悪いからな?

俺は着地と同時に群がっていた蛇神達に向かって蛇鞭を振り回していた。

「どうして私達を助けに?足手まといにしかならないというのに・・・それに貴方は人間で私達は妖怪なのですよ?」

千兎も白兎、カナルの家族達も驚いた顔で俺を見上げていた。

俺は背中越しに答える。

「共に飯を食った仲だ。もう仲間だろ?当然だ!」

「!!」 

僅かに生き永らえる安堵。それ以上に俺の言葉に胸が熱くなり締め付けられたのだ。

でもよ?俺に恋するなよ?

だが、俺の判断は覇王を誕生させてしまう事になる。

既に覇王は聖杯を手にしていたのだ。

「さぁー蛇神達よ!讃えるのです!真の覇王様が今こそ我らの御前に現れるのです!」

蛇神達は覇王を見上げて涙を浮かべ讃える。

覇王が聖杯を手にした直後、聖杯は形を変えて覇王の身体を覆い蛇神の鎧と化したのだ。

それはエデンの力と一つとなった事を意味していた。同時に凄まじい覇圧ハアツが俺達にのしかかったのである。それはもう神々しいと言うのとは真反対の究極の存在がそこにはいた。

「ふふふ。俺は真の覇王になったのか?」

覇王が呟く。

「貴方様は今こそ真の覇王にならせました。もう何者も邪魔出来る者は存在致しません!」

「力が溢れ出しそうだ」

しかし過去にこの力を手に入れようとして手に負えずに失敗したアジダハーカとは違い落ち着いていた。エデンが後継者として認めたのだ。


その名は那我羅!


覇王・那我羅の誕生である。

俺は襲いかかる蛇神達と交戦していた。

この場にいる蛇神は全て桁違いの化け物連中。

そう容易く倒せないでいた。

そこに、

「ごぉおおおお!」

獅駝王が全身を貫く氷柱を破壊して蘇ったのだ。

「馬鹿な!俺の氷を破壊するなんて!」

絶対零度の氷を使う氷蛇ヒョウジャは信じられなずにいた。しかも獅駝王の妖気が更に高まり膨張する。

「聖獣変化唯我独尊・雷牙」

獅駝王の身体が獅子と大虎の融合した鎧に纏われると雷を帯びながら群がる蛇神相手に暴れ出したのだ。

そして見上げる先の恐らく最強に間違いない覇王・那我羅に向かって猛スピードで飛び上がる!

覇王は迫る敵を見下ろしていた。

「アレが地上界最強の魔王か?」

すると拳を握り蛇気を集中させると、獅駝王に向かって放ったのだ!

直撃をもろに顔面に受ける獅駝王。

白目をむき全身がズタボロになった獅駝王はそのまま落下していった。

そして次に覇王・那我羅は俺を見下ろして疑問をぶつける。

「どうして俺との戦いから逃げた?」

その声は呟いただけだが俺にまで聞こえて来た。

「野暮用を先に済ませただけだ!心配すんなよ?覇王になったようだが、この俺が速攻ぶっ倒してやるからよ?」

余裕を見せる俺に対して聞いていた蛇神達は滑稽だと笑い出す。

この力の差を理解出来ないのか?

それとも馬鹿なのか?

少なからず誰も覇王に叶うなどと夢にも思わないだろう。

それでも俺は戦うつもりだった。

恐らく俺の戦歴でも、これほどの強さの者は存在しなかった。

既に別次元の強さだ。

「そうか、お前はこの俺から世界を救う唯一のチャンスを逃した。それはもう変えられはしない!お前の判断が世界を滅ぼすのだ!この俺が世界を終わらせる。お前の大切な者全てを俺が破壊してやろう」

「お偉くなった途端よく喋るよな?悪いが俺はそう簡単にはくたばらないぜ?」

余裕を見せる俺だが、正直逃げ出したい衝動だ。

どんな姑息な真似を使っても無理だろうな?

その時、俺は硬直した。

大分距離があったはずなのに覇王は俺の目の前にいたのだから!いつの間に?見えなかった?瞬間移動か何かか?特別な能力とか?それよりも接近されてヤバいだろ?攻撃するか?通用するのか?この状況に思考が追いつかない。

「お前はもう虫けら以下だ」

瞬間、俺は吹き飛ばされていた。

凄まじい衝撃が俺のいた足下から爆発したような感覚がした。

壁に衝突して背中に痛みを生じる?

意識が飛びそうになった。

薄れる視界に千兎達が倒れているのが入った。

今の衝撃に巻き込まれたのか?

ヤバい何か考えないと意識が完全に消えそうだぞ?

どうする?どうする?どうする?

白蛇王は消えゆく俺の魂の消耗を見て笑みを見せる。

俺ってイレギュラーで脱線はしたが、

これで全てが上手く事が進む。


俺は絞り出すように覇王に問いかける。

「お、お前は、その力で何をするつもりだ?」

すると覇王は答えた。

「俺はただ壊すだけだ。世界を!この世界から未来を無くすために。ソレがエデンの意思であり、俺の成すべき事」

「!!」

その時、俺は戦いを放棄する選択肢が消えた。


それは世界を守るとか偽善者気取りの正義の味方的思考なんて理由なんかじゃない。

俺の存在理由のためだ。

俺がこの世界に来た理由が今分かったぜ?

俺は遠く離れた場所に残して来た娘の代わりにココへ来た旅人。

目的も理由もチンプンカンプンだった。

だが、娘が背負うべき運命を肩代わりしてこの世界に来た。

その運命とは、世界を守る事!

ソレが娘を守る父親として出来る唯一の事だから!


今、この世界で未来を失ったら、娘の世界も消えるかもしれない。

俺は全てを捨ててココへ来た。

俺は全て失ってココへ来た。

俺は全て背負う覚悟でココへ来たのだぁー!


俺は気付くと放り投げられていた。

闘技場の中央に落下し、動かない。

動かない俺を蛇神達は群がり喰らおうとしていたのだ。

スローモーションで迫って来る蛇神達の牙。


ここで・・・

終わらせてたまるかぁ!

俺はまだ戦える!

未来を繋ぐために!

その時、俺は呟く。


「・・・変化・・唯我独尊」


すると俺を中心に金色の閃光が爆発的に放たれ接近して来た蛇神達が光に触れた途端消滅していく。

「ほぉ・・・」

覇王はその様子に感心を持つ。

「な、何が起きたと言うのですか!?」

白蛇王は再び起きたイレギュラーな状況に混乱していた。


俺は瀕死の状態から立ち上がったのだ。

闘技場を中心に閃光が放たれ、蛇神から俺を守るように四体の光の魔神が立っていた。


降三世明王

軍茶利明王

金剛夜叉明王

大威徳明王

そして俺の背後には不動明王が!


蛇神達は俺に一歩も近付けられないでいた。

「どうやら俺の中にまだ残っていたのだな?この世界へ来てから一度と目覚めなかったから失ったと思っていたぜ」

俺の瞳は金色に光り輝いていた。


それは金色の魔眼!


五体の魔神は俺の光と同化するように一体一体と吸収されていく。一体だけでも人間が持て余す力を手に入れられると言うのに、五体の最高神を得て俺の身体は金色に光り輝いたのだ。

「こ、殺せぇー!その者を即刻始末するのだぁー!覇王様には決して近付けさせるでないー!」

白蛇王が命じると同時に固まっていた化け物級の蛇神達が蛇気を極限にまで高めて襲いかかる。

「燃え上がれ!降魔の剣よ!」

俺の手には金色に燃え盛る炎の剣が握られていた。

その剣が振り払われたとき、今まで手強い力を持っていた蛇神達が燃え盛る炎に身を焦がして消滅する。

一振り、二振りと両断される蛇神達は俺の力に畏怖し始める。

「な、何者なのだ?お前は?お前は本当に人間なのか?その力はまるで・・・」

覇王と同質の力!?

その問いに俺は初めて名乗った。


「俺は流離いの方向音痴、三蔵法師さ」


「さ、三蔵、法師、だと?」


それは人間達が妖魔と戦う高僧に与える称号。

そして俺にはもう一つ与えられた称号があった。


「そして俺にはもう一つ与えられた使命と共にこう呼ばれる」

「!!」

「神を導きし救世主三蔵と!」


その名を聞いた時、古の伝説を知り尽くす白蛇王はたじろいだ。

「か、神を・・・導きし救世主!!」

それは世界を救済する守護人。

人間の中より選ばれ神を使役し、

全ての厄災を祓う伝説。


更に蛇神達に言い伝えられるもう一つの伝説があった。

それは覇王に対抗する者として。

絶対神である覇王に唯一あだなすのが救世主の存在であった。

その救世主こそ覇王に対抗させるがために始祖神達が創り上げた唯一の存在!

その特徴は金色に光り輝く瞳を持ち、

全ての神を使役出来る程の特殊能力を持ち合わせる。

その事から神を導きし救世主と呼ばれるのだ。

更に覇王とは因縁があった。

始祖神は覇王討伐に使ったのは、かつてエデンにより唆されたイヴであった。

その罪により始祖神は人間のイヴに与えたのだ。


始祖神であるエデンの力を持つ覇王に対抗するべく、同じく選ばれし始祖神の力を人間であるイヴに宿したのだ。

そのイヴの魂を受け継ぐ者こそ救世主の後継者。


それが救世主の起源!


神を導きし救世主なのだと。


次回予告


救世主の男、三蔵法師と覇王との決着は?

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