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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生覇王蛇神編!
226/713

救世主外伝その捌~覇王~

始祖神


世界の始まり


そして覇王


全ての始まりと終わりが動き出した。


何が起きているのだ?

俺は闘技場で蛇神・蛇牙流多を相手に苦戦中だった。

それが突然の揺れで中断させられたのだ。

蛇牙流多もまたこの状況に戸惑う。

そして獅駝王と猛虎修蛇もまた戦いを中断したようだ。

地震?

そんな生易しいものじゃない。

闘技場の足下から噴き出すように感じるとてつもない波動が俺達を金縛りにしているのだから!

「下で何が起きている?俺達の知らない何かがあったようだな?」

「そう言えば鈎蛇王と白蛇王の姿が見えんな?あの白蛇王って女は最初から何かを企てている節があった。あの者の仕業か?」

蛇牙流多と猛虎修蛇もこの状況に俺達と戦っている場合ではないと状況把握を優先していた。何せ覇王になるために集まって来て出し抜かれていたら元も子もない。

「おい?お前?」

「何だ?獅子頭?」

「俺俺、獅駝王だ!獅子頭じゃない」

「そうか、で、何だ?獅子頭」

「獅子頭じゃないぞ?俺俺は獅駝王だぞ」

「いい加減にしろ!話が進まねぇだろ!何が言いたいかハッキリ言え!獅子頭!」

「うグッ!名前は後で教えてやるぞ。それより俺俺の野生の感が、この場にいる事を嫌がっている。こんな事は始めてだぞ。始めて身震いってのを感じているのだ」

俺に始めてまともな事を伝えようとする獅駝王に俺は答えてやる。

「この下から何も感じないか?とてつもないヤバイ存在を?」

「下だと?」

すると獅駝王は全身の毛が逆立つ。

それはこの闘技場に残った俺達四人が同時に感じている恐怖感であった。

まるで俺が立っている足下が薄っぺらい硝子の板の上で、その下には底のない闇が広がっている。

しかも、闇に潜む何かが俺達に向けて殺気にも似た視線を向けているのだ。今、僅かにでも身動きすれば俺達の足下は砕けて闇の中へ落下し、とてつもない化け物によって魂も残らずに消し去られてしまうほどの。呼吸が重い。全身の肌が緊張という刺激で痛い。

発狂しそうになる精神を抑え付け、意識を留まらせる事だけに集中する。

「ふぅーー!」

呼気が丹田を通り俺の全身を廻る。

金縛りにも似た緊張が解けて身体が動くかどうかを指先だけ微かに動かしてみる。どうやら動かせるようだと意識する。これで突然何が起きても対応は出来そうだ。

すると俺達は新たに現れた連中に気を向けた。

「マジかよ・・・」

俺達を囲むように闘技場には数十体の蛇神達が姿を現していたのだ。

少なからず全員化け物じみた力量をかんじるぜ?おい?

まだいたのかよ?

「これはどう言う事だ?俺達以外にも覇王候補がいたって事かよ?意味わからねぇ!」

蛇牙流多は戸惑っていた。

自らが覇王になるべくこの場に集められ来たつもりだったのに、それは別の目的に集められたと言うのか?そしてこの場に現れた連中は悔しくも自分より強いと肌身に感じている。

そして猛虎修蛇もまた血の気を奮い上がらせる。

「まだいたのかよ?強い奴は歓迎だ!この俺が強くなるために、覇王になるためにはお前ら全員喰らい尽くす!」

だが、俺達を囲む蛇神達は攻撃を仕掛けて来ない?

「どうしたよ?強い連中がわんさかいるぞ?嬉しくないのか?獅子頭?」

「グルルル。俺俺、何か変だ・・・」

「いつもじゃないのか?」

「違う!俺俺、身体の興奮がおさまらない。けど、ソレはコイツらに対してじゃない」

「そうだな。恐らくコイツらは頭ではない」

そう。更に恐ろしい力を持った化け物が存在する。

そこに現れたのは白い衣を纏う女の蛇神だった。

奴から他の連中以上の桁違いの力を感じる。

しかし、コイツでもねぇ!

「まだ生き残っていたのか?虫けらども」



白蛇王は俺達を見下す。

「蛇牙流多に猛虎修蛇よ?お前達はどうも私の好みに合わなくてな?覇王様に従順にならないと思ったがゆえ切り捨てるつもりだった。しかし改めて尋ねよう。お前達は我が覇王様に従うか否か?」

「お前達が祭り上げる覇王に従えだと?ふざけるな!覇王にはこの俺がなるのだ!」

「それは俺とて同じ。強き者が覇王になる。それ以上でもそれ以下でもない」

白蛇王の招きに蛇牙流多と猛虎修蛇は反抗心を見せる。

「ふぅ〜。やはりお前達は覇王様に仕えるには相応しくないわ」

すると白蛇王の目が冷たく合図する。

瞬間、囲んでいた蛇神達が飛び出して来て蛇牙流多と猛虎修蛇を一撃で弾き飛ばしたのだ!吹き飛んだ二人は別の蛇神達に受け止められて簡単に抑え込まれる。

一瞬の出来事に俺は焦りを感じる。

蛇牙流多も猛虎修蛇も間違いなく化け物じみた力を持っていたはずだが、この場にいる蛇神達はその二人を軽々とあしらったのだ。それはつまり、あの白蛇王がたてる覇王てのは、この場にいる全ての蛇神達を屈服させるほどの化け物だって事か。

「そう言えば虫けらがまだ二匹残っていたわね」

すると新たな蛇神が俺と獅駝王にも迫って来る。

獅駝王に向かって襲いかかる蛇神。

「!!」

その直後、蛇神達は驚く。

かなり力を持つ名のある蛇神であったはずなのに、獅駝王はその腕を掴み上げて、振り払う手刀が蛇神の首を跳ねたのだ!そして凄まじい妖気を巻き起こして威嚇する。

「コイツ、また強くなりやがって?底なしかよ!」

そして俺もまた襲いかかる蛇神の攻撃を躱すと印を結び姿が変化する。

「降三世明王」

俺は光の矢を閃光とともに射ると蛇神の身体を貫く。

そして再び変化する。

「金剛夜叉明王」

俺は素早い動きで怯んだ蛇神を斬り裂いたのだ。

「ふぅ〜」

ハッキリ言って逃げ出したかった。

恐らく今の二体は下っ端だろう。

けれど残りの連中は・・・

俺と獅駝王の力量に蛇神達は関心していたが、それでも下等な者を見る目でニヤニヤしていた。

「胸糞悪い!」

俺と獅駝王は本能的に背中を任せるような姿勢で囲む蛇神達を相手に警戒する。

「人間と下等な妖怪如きが大したものよ。けれどもう時間が来たようだわ」

白蛇王が己の手首を切り血を垂らすと、その血は地面へと吸収されていく。すると他の蛇神達もまた同じく自らの身体を傷付けて血を垂らし始める。

り、リストカットだと??

何をおっ始めやがったんだ?

あの女は病んでるのか??

すると再び闘技場が揺れ始めたのである。

俺達は立っていられずに膝をつく。

他の蛇神達は崇めるような姿勢で一点を見上げる。

すると闘技場の観客席に座らされていた人間や妖怪達が苦しみ始めたのだ。そして見る見るうちに干からびていき瘴気に覆われて消滅していく?

「この闘技場に集められた五万の生贄は今、覇王様復活のためにその身を捧げよ!」



そこには影一族の者達もいた。

「くそぉ!くそぉ!」

カナルが観客席に縛られている妻と子供を解放させようと、縛り付く蛇を短刀を突き刺している。

カナルは俺が蛇神達の気を自分に釘付けにしている間に妻子や拘束されている者達を救うように言っておいたのだ。しかし拘束する蛇の楔は全身を縛り付けて簡単には解けないでいた。

「俺達も手伝おう!」

千兎と白兎も短刀を突き付ける。

「よし!」

何とか妻と子供だけは拘束から解放させたその時、他の影一族の者達は急激に干からびて消えた。

「妻と子だけ救えたが、中間達が全員消えてしまった・・・」 

膝を付き落胆するカナル。

「それでも救えた命があったのは救いです。それより今は、あの方が心配です」

白兎達は気配を隠しながら俺の様子を伺う。

「助けたら即刻闘技場から逃げるように言われていたが、このままでは蛇神に殺されてしまうぞ」

「しかし俺達が行っても無駄死にだ」

「あの方に全て任せるしか有りません」

既に闘技場は強力な蛇気の結界で外界から遮断されて逃げ出せない状況だったのだ。

それに離れているにも関わらず三人は恐怖で足が震えて動けなかった。



頼みの綱の俺は獅駝王とともに強力な力を持つ蛇神を相手に苦戦していた。獅駝王の素早くも強力な一撃だけでなく俺の明王の力を持ってしても攻撃が通用しないのだ。一体一体の力が桁違いの蛇神達に俺も獅駝王は攻撃を凌ぐのがやっとで張り詰めた緊張と体力の消耗が半端なかった。

「ウゴォオオオオオ!」

「!!」

背中越しに戦っていた獅駝王の身体に尖い氷の氷柱が突き刺さる。

「ぐうううう!」

両腕と両足を貫いた状態で倒れた所に背中から地面に向けて氷柱で串刺しにされた。

「あの馬鹿ぁ!」

そこに俺もまた背後に現れた蛇神の振り下ろした拳で脳天をぶん殴られたのだ。血が垂れ流れて膝を付いた所に後頭部を鷲掴みにされのしかかられる。

身動き出来ねぇ〜

酒も飲んでないのに頭がフラフラする。

意識がぶっ飛びそうだ。

何て拳してやがる?

トンカチで殴られても、ここまで痛くないぞ?

明王の姿が解けてしまい人の姿へと戻っていく。

俺は俺を殴った蛇神の顔を睨み付けたままぶっ倒れてしまった。

「これで騒がしい虫けらは始末出来たようですね」

意識が朦朧とする俺と獅駝王は蛇神達によって柱に張り付けにされる。

「おほほほ。この数十年間、私達は覇王様復活のためにこの儀式を完成させるべく用意して参りました。願いは唯一つ!覇王様の御心に殉ずるためでございます!」



白蛇王は天界にて覇王の器となる後継者を世界中駆け回り探し求めていた。

その足先は天界にまで向けられ、ついに後継者たる資質ある器を見つけ出したのだ。

その器は天界の下級武神であったが、その血には色濃く蛇神の魂を受け継いでいたのである。

隔世遺伝。

それは魂にも引き継がれる。

そもそも魂の根源は同じで、そこにエデンの魂の欠片が分散した事で種に影響を与えたのだから。

後継者は天界で蛇神の力に目覚め覚醒する。

しかし天界の上級神により討伐されて死んだかに思われた。

そこを白蛇王が救ったのだ。

そして地上に降りた白蛇王は後継者に強靭な新たな肉体を与えるべく儀式を行った。

それは天界の武神であった身体を喰らい、白蛇王自らの胎内で再び蛇神の王として産み出したのだ。

その身はまだ赤子。

その成長を促すために生贄を使う。

人間や妖怪、神までも根源は魂。

その集められた者達の魂から数百万、数億とのエデンの欠片をかき集め覇王となるべき赤子に捧げる事。そんな白蛇王にはそもそも白蛇の使いと呼ばれる猛者達が仕えていた。当然、覇王となる事を阻止し自ら覇王に名乗りをあがる蛇神達も数多くいた。

しかし、未だ赤子であるその存在を直視した時には頭を垂れて忠誠を誓う。

本能的に感じ取ったのだ。

紛れもなくその赤子こそ覇王たる器なのだと!


そして今宵、数億もの魂よりエデンの魂が集められて器へと注ぎ込まれた時、真の覇王が誕生する。

「お目覚めください!覇王様ぁー!」

その直後、かき集められた血は闘技場の上空へと集まっていき凝縮され、魂の欠片が宝石のように硬直していく。それこそが覇王の玉子であった。

同時に闘技場にいる蛇神達の中からも突然全身が干からびて血が吸い出されるように上空へと引き上げられていく。

「足りない分を補っているのですね?構いませんわ!全ての蛇神は覇王様への供物と同じ。いよいよですわ!覇王様」

そして上空が閃光が放たれ一つの玉子が落下する。

その落下の先には宙に浮かぶ赤子が?

「あれは?」

闘技場上空から赤子の鳴き声が響き渡る。

それは波紋の如く広がって俺達の身動きを止めたのだ。

まるで何者も寄せ付けない威圧だった。

赤子は玉子に食らいつく。

すると見る見る姿が成長していくのだ。

やがて逞しい男へと変わる。

だがしかし、その後の男は動かなかった?

その目は虚ろで魂がないように思われた。

まさか失敗したのか?

その者から発する気は確かに強力だが、この場にいる蛇神達が跪くほどには思えなかった。

「ありえません。我が覇王様が目覚めぬなんて・・・。そ、そうか!捧げ物が足りないに違いないわ!」

白蛇王は張り付けられた俺を見て笑む。

「そこの人間は稀に見ぬ常識離れした力を持っている。覇王様復活にその者がこの場にいる事には何か意味があるとは思ったが、そうよ!覇王様復活の極上の捧げ物だったのね。ならばその人間を直ちに覇王様に捧げるのだぁー!」

蛇神達が張り付けにされて動けない俺を担ぎ宙に浮かぶ覇王のもとへと運んで行く。

「その血と魂を捧げよ!」

白蛇王の言葉に合わせるかのように蛇神達が一斉に叫び出す。

「捧げよ!捧げよ!捧げよ!捧げよ!」

大地が揺れる程の雄叫びに似た声に俺は微かに意識が目覚める。

まったく〜うるせぇ目覚ましだな?

運ばれる俺は覇王に接近している状況に好機を見いだす。

これは一歳一隅のチャンスしじゃねぇか?

間合いに入ったと同時に動かぬ覇王って奴を俺の全力の気で消滅させてやる。

俺は意識が目覚めた事を蛇神達に気付かれないように運ばれながら蛇神達の位置を気配から探る。

数十、百体近くはいるんじゃねぇか?

もし覇王をぶっ倒せたとしても、その後に残った連中を倒し逃げ出すのすらも困難だな。

取り敢えず後の事は考えずに今は覇王を始末するのが先決だよな?

俺は気配から距離と間合いをはかる。

そして俺を張り付けた柱が覇王の目の前に立たされたと同時に動いたのだ。

「うぉおおおお!」

力ずくで柱に張り付けられている拘束具を破壊し、飛び出す。

完全に蛇神達の度肝を抜かした・・・

はずだった。

飛び出した俺の身体は覇王の結界に阻まれて宙に浮いた状態で動きを止められたのだ。

「あ、がががぁ!?か、身体が!!」

まるで雷に打たれているような状態で全身が麻痺して身体に力が入らなかった。

このままではマジにヤバイぞ??だが、動けねぇ〜!!

「!!」

すると覇王の男から醸し出す妖気が蛇のような形で俺に向かって迫って来る。

「うぐ、うぐわぁ!」

無抵抗の俺に絡みつく妖気の蛇は足下から徐々に首元に迫って来たのだ。そして痛みが生じたと同時に俺の気と血が抜けて行くのが分かった。

「うわぁああああ!」

その時だった。

「うぐぉおおおおお!」

同じく柱に張り付けられ抑え込まれていた獅駝王が立ち上がったのだ。群がる蛇神達を押し退けて飛び上がり、身動き取れない俺を救うために向かって来た。

「無駄な足掻きよ」

白蛇王が顎で合図すると飛び掛かる獅駝王の左右に蛇神が二体追い付いて来て身体を掴み邪魔したのだ。

「覇王様。とくと味わいくださいませ。邪魔な小虫は直ぐに始末致しますので」

余裕を見せる白蛇王であったが、その直後闘技場全体が影が広がっていき一瞬だけ闇に覆われた!?

何が起きたか分からない状況で俺は気付く。

今の僅かな瞬間に俺は救われていたのだ。

俺を抱きかかえていたのは、

「せ、千兎?」

「喋らないでください!」

今の一瞬の闇は恐らくカナルの能力か?

その隙に千兎が俺を救ってくれたのか?

しかし蛇神達も俺が消えている事に気付き騒ぎ出す。

そして「あそこだ!」蛇神達は俺達の居場所を見つけ出し向かって来ようとしていた。

いくら広い闘技場と言っても捕まるのは時間の問題だった。

「見捨ていれば良かったのに」

俺の言葉に千兎は言った。

「貴方が私達を見捨てなかったように私も貴方を見捨てられるものですか」

「もし生きて戻れたらお前と白兎の子供の名前を付けてやろう」

「なぁ??私はまだ!!」

照れて慌てる千兎に俺は吹き出す。

千兎は闘技場の観客席最上階に着地すると、

そこに白兎と妻と子供を連れたカナルが合流する。

どうやらカナルは上手くいったようだな。

「私に出来る事はこれくらいです!」

白兎は俺の治癒の気を送る。

多少だが失われた力が戻って来る。

しかし見下すと蛇神達が俺達を標的に向かって来ようとしていたのだ。

覇王の復活を邪魔した俺達に向けられた殺気が痛いくらいに伝わって来る。

「チッ!生きた心地しねぇな」

「私達も戦います!」

千兎と白兎が武器を手に構える。

けれど震えているのが分かる。

俺を救うために飛び出した勇気は称賛出来るぜ?

やはり俺が戦うしかねぇな!

だが、その時全員が凍り付く。


「!!」


俺達が振り返った先は!

「お目覚めになられたのですね」

覇王が起き上がっていたのだ。

白蛇王が瞬間移動で覇王って奴の傍らに移ると頭を垂れる。そして目の前の覇王の様子を見る。

全身の血が沸騰するかのように蒸気を発しながら異常な鼓動が聴こえる?

一体覇王に何が起きたのか?

この現象に白蛇王も戸惑っていた。

「覇王様に何が起きたと言うの?何が引き金になったと・・・まさか!?」

白蛇王が俺を見る。

「あの男の血を取り込んだ事が?まさか?」

白蛇王は自らの能力で儀式の繊細を全て予知していた。

しかしどうしても気になる事があった。

今日のこの時でなければならない事。

他の日では起こらぬ儀式だと。

その日に何か特別な事が起きると?

予知した儀式には獅駝王の妨害も全て知っていた。

しかし唯一予知には存在しなかった者がいたのだ。

俺である。

その理由がハッキリする。

「あの人間がこの場にいる事が覇王様復活の最後の鍵だったと言うの?あの男は一体何者?」


すると覇王が口を開く。

「俺はどのくらい眠っていた?」

「は、覇王様?およそ二百年ばかりかと」

「そうか、ならば俺のする事は一つ」

「エデンの後継の儀に移らせていただきます」

覇王から発する蛇気が闘技場を覆っていく。

その迫力に闘技場にいた蛇神達は平伏す。

恐らく疑心暗鬼だった者も、目の前に現れし覇王の存在に迷いは消え失せていた。

この主に忠誠を誓おうと。それは蛇神の血がそうさせていた。

それは蛇牙流多と猛虎修蛇も同じだった。

「これが真の覇王なのか・・・」

「力を求めていた事が無力だと思わせられる。俺はあの方に俺の生涯かけて磨き上げた力を使っていただきたい」

完全に魅了されていたのだ。

絶対的カリスマ!

そして覇王の蛇気を浴びた蛇神達は己から感じる違和感に驚く。

活性化しているのだ。

覇王の力に同調し己の蛇神の力が限界値まで膨れ上がる。

それはもう快楽にも似た心地。

飢餓から解放されたような充実感。

まさに蛇神の王であり、真の神的存在であった。

その状況を目の当たりにして俺は、

「そうかぁ?やはりお前も暴れたいか?相手が蛇神だから控えていたが、やはりお前が打ってつけかもな?」

「な、何を?」

突然一人言を呟く俺に千兎が気でも狂ったかと心配していた。

失敬な!

「俺の中の神が疼くらしい。戦いたいとな」

「!!」

俺がまだ諦めていない事に衝撃を受けていた。

しかし、この状況をどう切り抜ければ良いのか分からない千兎はそれでも心強かった。例えこの場で死しても、俺と共に戦えた事は誇りだと。

おいおい?勝手に諦めるなよ?

俺は両手を前に向け印を結びながら唱える。

「オン・アミリティ・ウン・パッタ」

すると俺の姿が新たな魔神へと変わっていく。

その姿は、

「どうやら覇王の影響で俺まで力が溢れているようだぜ?」

その姿、二匹の赤蛇を絡ませた異形の魔神!


「明王変化唯我独尊・軍茶利明王!」


新たな魔神の覇気が闘技場を騒がせる。

そして次の瞬間、俺は飛び掛かっていたのだ!

「先ずは、お前をぶん殴る!」

覇王は自分に攻撃をして来た俺に振り向く。

「どうやら俺を熱くさせる者がまだ残っていたようだな」

互いの覇気が衝突した。


その時、俺の中に無数の情報が入って来たのだ。

これは星の記憶?

始祖神と世界の誕生?

覇王とは?

これは一体?

どうやら俺の戦いはまだ終わらないようだ。

次回予告


まだ戦う男は本当に覇王を倒せるのか?


新たな明王変化は好転に繋がるのだろうか?


普通に考えたらそれは無理なのでは?


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