千年計画?
暗黒竜王との一騎打ちに勝利した蛟魔王
そして暗黒竜王の目的が語られる。
私は法子
蛟魔王さんと暗黒竜王との決着が終わった。
闘技場に胸を一突きにされて横たわる暗黒竜王を見下ろす蛟魔王さんが言葉をかける。
「私も負けるわけにはいかんのでな」
「そうか、気にするな?俺は敗北した。敗北した者にかける言葉はいらん」
「そう言うな」
蛟魔王さんは暗黒竜王に告げる。
「お前の息子は生きてるよ」
「!!」
暗黒竜王は驚き、そして力を抜く。
「そ、そうか・・・」
その目から一粒の涙が溢れ落ちる?
えっ?どういう事?
私達は知る。
暗黒竜王の目的を。
そして過去の反逆の意味を!
かつて暗黒竜王は蛟魔王さんの父、応竜さんと竜神界を守る二本柱であったの。天界の神々との戦争は長く続き、二人はその力で竜神界を守護していた。しかし互いの竜神界を守る思想は違っていたの。
応竜さんは他の種族に竜の血を分け与えて共に成長を促し共に戦う事だったの。対して暗黒竜王は竜の血を他の種族に与える事に反対していたの。
「戦うのは俺達だけで十分だ。たとえ種族は違えど血を流す者を増やすのは我慢出来ん」
暗黒竜王に応竜さんは説得する。
「しかし、我々が戦うべき相手は強大だ!我等竜神の民だけでは決して勝てぬ。それに我等には古よりの使命を果たさねばならぬのだからな」
「それも我等竜神の真王が生誕するまでの辛抱だ!あの方さえこの世に現れれば天界の神々も問題にはならん。それまでは、この俺が竜神界を守り抜いてみせる!」
「暗黒竜王よ・・・」
しかし天界と竜神族との戦争は激しくなる中で、英雄であった青龍王[今の青竜さんの父親]が他の聖獣の王と共に天界に捕らわれて封印されてしまったの。
そこで竜神界は勢いに乗った天界の襲撃にあった。
「そ、そんな馬鹿な・・・」
暗黒竜王さんは傷付き、その竜神界の惨状を目にした時に力を欲したの。
そして地獄の力を欲した。
応竜さんの生死を振り切り仲間を連れて禁忌の地獄門を開き、多くの部下の犠牲の末に地獄界の雷を手に入れて戻って来た。
その後は天界の勢いを退かせる英雄となったの。
けれど天界は禁忌の地獄界の力を手にした竜神界に対して武神増援の処置をした。
「地獄の力はこの世に持ち込んではならぬ。その黒き竜神を決して生かして置いてはならぬ!」
結界、戦況は更なる激しさを増す事になった。
「天界族がぁー!!」
暗黒竜王は手にした黒雷を使い戦い続ける。
しかし遂に竜神界も戦況が激しくなった元凶である暗黒竜王に対して不満を抱く者も現れ、応竜を筆頭に竜神界の内戦が勃発する。
その時、悲劇が起きたの。
暗黒竜王の家族が襲われる悲劇!
暗黒竜王の妻が何者かに襲われ、産まれて間もない赤子も殺されたの!
その赤子もまた父親である暗黒竜王の禁忌の力である黒雷を産まれながらに持っていたから。
「ゆ、許さぬぞー!!」
暗黒竜王は天界だけでなく竜神界にまで敵にまわし、憎しみと怒りの破壊の権化と化した。
荒れ狂う暗黒の竜王!
「友よ・・・」
最期は暗黒竜王は友であった応竜に討たれたの。
そして暗黒竜王の魂は・・・
干支十二神将として蘇った。
この宮殿の神将は千人の挑戦者を倒したならば何でも一つ願いが叶うの。
そこで暗黒竜王は神将として戦い続け、ついに願いの手前まできた。
まさか最後の挑戦者が自分を殺した友、応竜の娘である蛟魔王さんだなんて何て因縁なのか?
暗黒竜王の叶えたかった願いとは?
暗黒竜王は語る。
「己が蘇ったところで何の意味があると言うのだ?竜神神は我が友が導き守ってくれている。今更俺が現れても邪魔なだけよ。俺が叶えたかったのは・・・」
父親として、自分の責任のために死んだ赤子に新たな生を与え、今度こそ生を全うして欲しいという願いだったの。
「本当に生きているのか?俺の息子は?」
涙を流す暗黒竜王に蛟魔王さんは答える。
「お前の息子は生きているよ」
過去、家族を狙い襲われたところを救ったのは応竜さんであったの。
そして人知れず今の今まで育ててくれていたの。
「今では四海の竜王の一人として仲間達にも慕われているぞ?多少、性格には難があるがな?」
「あはは、そうか、そうか・・・」
涙で顔はく涙でしゃくしゃになりながらも暗黒竜王は父親として優しい顔付きになっていた。
「冥土の土産に頼まれ事をしてやる。何か伝えて置く事はあるか?」
しかし暗黒竜王は首を振り満足だと。
「強く生きてさえいれば満足だ・・・」
「そうか」
そして光が暗黒竜王を包み込み消えていったの。
「お、終わったの?」
私達は二人の戦いを見守り、その結末を見届けた。
ん?
私は大事な事に気付いたのよ。
「あ〜!!」
「何よ?法子?」
突然叫んだ私に鉄扇ちゃんが驚く。
「ほら?蛟魔王さんが勝利したって事は?つ・ま・り!私達の勝利じゃないの?私達の勝ちだわ!」
「そういえばそうね!」
「この十二干支神殿には本来残りの蛇の宮殿が残っているのだけど、蛇の神将は既に千人の挑戦者を倒して現世へと蘇ってしまっているって話。つまり残りの神将はいないって話よね?そうでしょ!梁渠?」
私の問いに今まで黙っていた梁渠が口を開く。
「正直、驚いたにゃ。最初お前達が現れた時は迷子になって間違って入って来た小僧小娘が迷い込んだに過ぎないと思っていたのににゃ〜?まさか本当に制覇するなんて驚いて言葉が出ないにゃ」
「十分喋り過ぎよ?」
「とにかく場所を変えるにゃ!この宮殿はもう崩壊寸前だからにゃ?」
「あはは、そうね」
すると私達は最後の蛇宮殿へと瞬間移動させられたの。
それにしてもよくやったわ、私達。
紅孩児君、鉄扇ちゃん、白骨乙女さんに私。
「オラは?」
そうそう、八戒もいたわね!
それから飛び入り参加の彩鵬ちゃんに白骨乙女さんの相方の錬体魔王さん。無理矢理参加させちゃった蛟魔王さん。もう最強チームよね!
「さてと、梁渠?これで私達の願いが叶うわけよね?私達の世界征服が叶うのよね?」
「法子はん?目的が変わってるらよ?」
「あら?」
そうだったわ。私達は呪いの猛毒で死の境を彷徨っている孫悟空と阿修羅を救うためだったわ。
「梁渠!私達の願いを叶えてちょうだい!サッサと早く至急ダッシュで!」
すると梁渠は首を振って答える。
「我輩にはそんな力はないにゃ〜」
「どういう事よ?まさか私達を騙していたの?それとも最初から願いが叶うなんてのは嘘っぱちだったの?」
「願いは叶うニャ」
梁渠は私達に向けて説明する。
「先ず我輩はこの宮殿の案内人であって、この宮殿の最上階には願いを叶える神がおられるにゃよ。でもお前達はそこまでは行く事は出来ないにゃよ」
「どういう事よ?まわりくどいわ!」
「つまりお前達は、この蛇の宮殿にて全滅する事になるにゃよ〜」
「だから!ちゃんと説明しなさい!」
梁渠は妖気を身に纏い宙に浮かび上がる。
「お前達は今より、この最後の宮殿で全員死ぬ事になるにゃよ〜。この我輩によってにゃ〜」
「何を言ってるのよ?あんたが私達を?どうやって?百年早いわ!」
鉄扇ちゃんが呆れて返すと梁渠は笑い出す?
「ニャハハハ!お前達は全て我輩の手の上で転がされていたのにゃ〜。我輩の千年計画のにゃ!」
千年計画?
「今からお前達の目の前で地獄を見せてやるにゃよ!この計画にはお前達のような強い連中が必要不可欠だったのにゃ。その命を捧げて我輩は現世に蘇る事が出来るのにゃ・・・」
何か強気の梁渠に私達は呆れて答える。
「本当にあんたがヤル気?けど、大丈夫なの?」
梁渠から発せられる妖気は勿論、潜在能力をどう探っても強さの欠片も感じなかったの。
「ふふふ。我輩は干支十二神将にも選ばれず、不本意ながらにこの干支宮殿の支配人かつ審判を行って来たにゃ。当然、何千年何億年いようと願いを叶えるのは勿論、現世に生き返る事も叶わぬにゃ。しかしその永久とも思える年月は我輩に考える時間をたんまりくれたにゃよ〜」
すると手にした干支十二神将の名の書かれている駒が浮かび上がり、梁渠の周りを囲んだの?
「ふふふ。漸く念願が叶うにゃ!この干支十二神将の名の書かれた駒には彼らの魂の欠片に血と妖気が籠められているにゃ。それはお前達が神将達を全て倒してくれた事で全て手に入ったのにゃ!礼を言うにゃよ?因みに蛇の駒は奴が出て行く際に手に入れてあったのにゃ。我輩はこの駒を使い恐ろしくもにゃんとも言えない呪術を完成させたのにゃ!」
な、何を言ってるの?
全く頭に入ってこないわ??
そして宙に浮かび上がる十二の駒から消えた十二干支神将の妖気を発しながら、梁渠に向かって飛びこんで行くと体内へと消えていったの。
「今こそ我輩は新たな転生にて生まれ変わるのにゃ!この世界を支配する真の魔王降臨にゃー!」
えっ?ちょっと?ちょっと?
梁渠の身体が膨れ上がっていく。
それは干支十二神将全ての妖気を取り込み、その能力すらも手に入れようとしているの?
その姿は北東の寅(虎)、南東の巳(蛇)、南西の申(猿)、北西の乾(犬と猪)といった合成獣の妖怪だったの。しかも他の干支の神将の力まで感じるわ?
「我輩の新たな名を教えてやる!我輩の名は鵺!新たな覇王の誕生にゃー!!」
それは私達を怯ます程の妖気を持つ化け物。
何?
私達はまだ戦わないといけないの??
そんなこんな
次回予告
梁渠が干支の神将の力を得て私達と戦うの?
まだ戦わないといけないなんて、どんな残業よ!




