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嶺黄風国の王の正体!因縁の戦い再び!

狂戦士玲音と孫悟空一騎打ちは?


そして法子の前に現れた無風とは?



私は法子

私と沙悟浄、瑠美ちゃんは敵戦士の無風さんの案内で、この城の隠し部屋へと案内されていたの。

でも何故案内してくれるの?

やっぱり罠よね?

地下まで降りて来ると、私達は最初の泉の所まで戻って来たの。

でもその先があったなんて?

私達は地下の更に地下に降りる通路を歩いている。


「まさかこんな隠し通路があったなんてですよね〜結界が特殊過ぎて私も感知出来ませんでしたよ〜」

「それだけ厳重な秘密があるって事かもよ?」

「ですね〜」


慎重・警戒・油断大敵よ!


すると無風さんが立ち止まり、私達に見るように無言で指をさしたの?

えっ?何があるの?

そして私達は、その悍ましさに言葉を失ったの。

そこは上の泉から流れて来たと思われる水を貯めていた。

上の泉は妖怪の血肉を特殊な技法で呪詛化させた半人半妖の溜池。

けれどここは?

中から沢山の赤ちゃんの声が聞こえる。

周りには腹を裂かれて死んだ人間の女達の躯。

つまりここは・・・

人間とも化け物とも言えない異様な赤子がプールの中に沈められていた。


「まさか産まれる前から人為的に半人半妖に?そんな鬼畜な事が許されるの!」

私は怒りに震えながら涙する。

「まだ成功例はない。でも、ここから産まれ出て来た者は。既に洗脳され命令一つで妖怪も人間も生きとし生ける者全てを殺戮する兵器になる」

「えっ?」


初めて無風さんが口を開く。


「そんな真似が許されるわけないわ!」 

「本当に?」 

「えっ?」


無風さんは私に問う。


「僕には分からない。何が正解なのか?君は人間なのに妖怪と旅をしているよね?だから興味が持てた。聞きたい事は沢山ある。恐らく僕よりも世の中を知っている。そう思って君を連れて来た」

「そ、そんな事は!」

「教えて欲しい。僕には分からない。君は旅でどう見て来たんだい?妖怪は人間を蹂躙し支配し道具のように食い潰す。使えなければ虫けらのように殺すだけ。けれど・・・」

「けれど?」


無風さんは私に生い立ちを告げたの。

無風さんは半人半妖。

人間でもなければ妖怪でもない。

居場所はなかった。

母親を早くに亡くした無風さんには父親と姉がいた。

けれど二人とも妖怪に殺された。

父親の弟子であった者が無風さんを妖怪の襲撃から命からがら助けてくれた。

憎むべきは妖怪だと、その時は考えていた。


でも、本当にそうなのか?

傷付いた二人は人間の村に逃げ込んだ。

けれど人間達は彼等二人を招き入れてはくれなかったの。

巻き添えはごめんだ!それに半人半妖である二人は人間達によって怖れられ、傷付いて見動きが出来ない状態の二人は襲われたの。

人間に!


「僕は思ったよ。人間も妖怪も同じだ。自分のためなら弱い者を虐げる醜悪な生き物」

無風さんは感情が見えなかった。

けれど言葉には悲しみと怒りが伝わって来たの。

「無風さん?貴方?」

「もう一度問いたい。君は人間の味方?妖怪の味方?それとも・・・」


「私は・・・」






場所は変わる。

孫悟空と玲音の戦いは拮抗していたの。


「金角児の野郎を追い詰めてた事はあるぜ。お前を倒せば金角児に鼻が高いな?うりゃー!」


と軽口を叩く孫悟空だけど玲音の強さは本物だったの。

孫悟空の攻撃を諸にくらっても構わずに攻撃を仕掛けて来る。

そこに躊躇も恐怖もなく。

そんな相手に孫悟空は朱雀変化と白虎変化に悩んでいた。

持久戦なら朱雀変化だし、短期勝負なら白虎変化。

けど白虎変化は消耗が激しいから、その後に残る王の存在を危惧していたの。

未だ姿を見せずに自分達の戦いを見ている王は只者ではない。

半人半妖を使うだけの親玉かと思えば、恐らく今戦っている玲音よりも強い。

さっきから孫悟空に向けられた殺気が孫悟空の本能に伝わって来ていたの。

しかも違和感が残る?


「俺様、あの王と以前?いや過去に会った事があると言うのか?まさかな」


しかし過去の、前世のトラウマが孫悟空の胸を締め付けていたの。

それは?


「今は集中!」

孫悟空は印を結び唱えたの。

「聖獣変化唯我独尊・白虎!」

白虎の鎧に身を包み、雷を纏う。


孫悟空が白虎変化を選んだ理由があったの。


「どうやら曲者が他にも侵入したようだな?お前を消した後に守護者に始末させてやろう」


王の言葉に孫悟空は叫び返す。


「そうはいかねぇぜ?俺様がお前も玲音を倒すからな!」


孫悟空もこの屋上に近付いて登って来る仲間の気配を感じていたの。

それは紅孩児と黄袍怪率いる暗殺部隊だった。

今、この最上階にまで階段を駆け上がり向かって来ていた。


「孫悟空様の御友人、孫悟空様は大丈夫なのでしょうか?」

「心配すんなよ?孫悟空は強いぞ?」


けど紅孩児君も感じていたの。

孫悟空は今、かなりの力を持つ者と戦っている。

それは白虎変化の気配を感じ、それだけの強者を相手にしていると気付いているから。

けど問題はその二人の近くにいる謎の存在。

恐らく王の存在を感じていると思う。


「で、何で八戒は何してるんだ?あいつ?」


隠れて見ている八戒の存在も感じたみたいね。


孫悟空は雷を纏い攻撃を仕掛ける。

その動きは電光石火!

けれど玲音はその動きに対応していたの。

更に掌から氷の矢をを飛ばして放つ。


「やりづらい!金角児から奪った力か?」

孫悟空は躱しながら雷を放ちで氷の矢を砕く。

孫悟空の動きは更に加速して突っ込む!

動きが増した?


「かけひーき!」


孫悟空は徐々に速度を上げたり下げたりして翻弄させる。

そして如意棒に白雷を籠めて突き刺したの!

雷は玲音の身体を貫いた。

けれど玲音は構わずに剣を振るう!

「痛みも感じないのか?」

玲音は痛みを感じない。

孫悟空は躱すも片腕を斬られて血を流して倒れ込む。

更に追撃の斬撃が迫る中で孫悟空は転げながら避けていく。

「あぶねぇ!あぶねぇ!あぶねぇ!」

孫悟空は何とか体勢を整えると叫ぶ。


「ばかやろー!死んだらどうすんだよ!」


いや、命の掛け引け中でしょ?あんた?


見ると玲音は身体が帯電していたの。

まさか雷の力?

そして孫悟空目掛けて雷を放ったの!

「うわぁ〜!!」

寸前で躱す孫悟空は、その雷が白虎の雷を奪ったモノに間違いなかったの。

玲音の能力は相手の能力を吸収して奪う能力だった。

こんな相手にどうやって勝てると言うの?大丈夫なの?孫悟空?


「ふぅ〜」

けれど孫悟空は待っていたかのように笑みを見せる。

「そろそろか?」

孫悟空は既に金角児と玲音の戦いを隠れながら見て理解していたの。

己の力を奪い、狂ったように攻撃をして来る玲音の戦い方を。

その上で敢えて雷の力を奪わせていた。

「俺様は無償で何かをあげるなんて勿体無い事しないんだぞ?だから意味があるんだ!」

孫悟空は再び雷を全身に纏うと、玲音に向かって駆け出したの。

その無謀な特攻に玲音は雷を孫悟空に向けて放ったの!

「雷を帯電した俺様に雷をプレゼントしたらどうなると思う?」

孫悟空は玲音の雷を正面から受けると、更に速度がアップしたの!

まさかこれが策だったの?

「あはははは!」

笑いながら突っ込む孫悟空に玲音は剣を構える。

馬鹿!雷を上乗せして速度を増しても、そんな一直線の攻撃では的になるだけよ!

当然玲音は大剣を抜刀して向かって来る孫悟空にタイミング合わせて斬り掛かる。


「帯電活性術!」


えっ?何、その技?

それは必殺技でも攻撃技でもなかったの。

孫悟空は玲音の抜刀を直接くらったの!

けれど速度を増していた事で致命傷は避けれたけれど、重症を負った。

動けないほどに・・・

も~う、言わんこっちゃないわ!


「うっ、くっ、はぁはぁ」


辛うじて立ち上がる孫悟空に玲音は呆気ないと孫悟空を見下ろした。

「つ、次で、仕留め、る!」

その言葉に孫悟空は指を左右に振る。

「ば〜か!次なんてねぇよ?お前には俺様の取っておきを与えてあげたからな?」

「?」

「そろそろ効いて来ただろ?」


えっ?孫悟空、今何かしたの?


時間差はあったけれど、突然玲音の身体が震え始めたの?

止めようにも止まらない身体の震え?


「なぁ?何が俺に起きているんだ?お前、俺に何をした?」

「俺様はただ与えた?いや戻してやっただけだぜ!本来のお前をな!」

「い、意味が、わから、あっ!」


直後、玲音は全身に感じるはずのない激痛を感じたの!

それは神経を廻らし止めどころのない痛み。

そして全身に電流が廻ったの!


「うぎゃあああああ!」


その姿を見て孫悟空は答える。

「久しぶりに感じた痛みはどうだ?それが痛みだよ?生者の持つ痛み。だからお前はもう戦うだけの人形なんかじゃねぇよ!」


さっきの帯電活性術ってのは必殺技でもなければ攻撃技でもなかったの。

孫悟空は雷の帯電を使って、玲音の全身の神経に浴びせる事で失われた痛みを蘇らせたの。

これは健康活性の電気マッサージみたいなもの?


「そして廻らしたのは身体だけじゃねぇ。そろそろ思い出したか?」

「ああぁ・・・」 

「思い出すのは人としての身体の痛みだけじゃねぇ!心も涙も全ての痛みを思い出すんだよ!」


孫悟空の帯電は痛みだけでなく、脳にまで流れた電流は封じられていた記憶を、自分自身で仕舞い込んだ悪夢をも蘇らせたの。

玲音は涙を流しながら獣のように泣き叫んでいたの。

兄である凛音の死。

その現実から逃げる為に記憶から兄の存在を消したの。

けれどそれも全て思い出した。


玲音はもう戦う意志はなかったの。


「ありがとう。僕は捨ててはいけないモノを捨ててしまっていたんだね・・・貴方は強い方だ」

「俺様は強いぜ?何せ全ての痛みを背負ってるからな!玲音、お前は戦士としては残念な奴だ。だから冥土で兄貴に修行のやり直しだな?」

「うん。そうするよ」


その言葉を最期に玲音は倒れながら光となって消滅したの。


「優しくなったものだな?かつての大魔王が聞いて呆れるぞ?美猴王よ!」

「どうやら生きていたようだな?」


すると王は観戦していた場所から飛び上がり、孫悟空の前に姿を現す。

「再び俺の前に立ち塞がるか?」

「久しぶりの再会で挨拶もないのかよ?まさかマジに生きていたとは驚きだ!しかも黒幕の王様ときたもんだ?偉くなったな?笑えない状況だよ」


えっ?やっぱり孫悟空の知り合いだったの?


「虎先鋒!」


虎先鋒

それは孫悟空がかつて大魔王美猴王として地上界を荒らしていた時に敵対した大魔王の側近。

孫悟空とは壮絶なバトルを繰り広げた過去があるの。しかも虎先鋒は半人半妖だったとか。

今、孫悟空の前に現れた虎先鋒は見るからに老人。

しかも三百年以上前に戦ったなら、もう生きているのが不思議なくらいな。

「しかし老いたな?やはり半人半妖では寿命に差があるか?まぁ、俺様も転生してるから逆に若返ってるけどな?」

「風の噂でお前が戦場で戦死したと聞いていたが、それで復讐の火が潰えたと思っていたが今日は何て日だ。念願の復讐が果たせるのだからな!」


虎先鋒は纏っていた王衣を脱ぎ捨てると、老人とは思えないほどの鋼のような鍛え抜かれた筋肉が

露わになったの。

孫悟空と嶺黄風国の王、いえ虎先鋒は構えを取る。

しかし孫悟空は玲音との戦いで消耗している。

この状態で戦ったら、いくら孫悟空でも?

だって、この虎先鋒から放たれる覇気は強すぎるわ!

もし孫悟空がベストコンディションでも勝てるか分からないくらいに。

けれど戦いは始まってしまったの。

互いの拳が衝突する。この虎先鋒は体術がかなりのものだわ!

孫悟空負けないでよね!




そして私もまた絶対的な危機的状況だったの。

私は守護者の無風さんに問われた質問の前で答えられずにいたの。

その質問とは、妖怪だけでなく人は生かすべきか?それとも処分されるべきか?


「人も妖怪も醜悪な生き物。ならば半人半妖の世界を作り、平等にする。この考えは間違っているのかい?君の答えを聞きたい」


私は暫く考えた後に、いっぱい考えた後に、う〜んと考えた後に答えたの。

こんなに悩むのってテスト勉強以来だわ!

「私の答えはこうよ」

私の答えに無風さんは茫然とする。

えっ?何て答えたかって?


「答えなんかないわ?どんな答えを出して行動しても良くなるか悪くなるかは結果待ち。半人半妖の世界?それって絶対世の中良くなるの?絶対?本当に?責任持てるの?」

「それは・・・」


質問を質問で返したの。


「私には正解なんて分からないわ!だけど本来ある人と妖怪を組み合わせるこの悪魔の所行だけは許せないわ!進化?ちゃんちゃら笑っちゃうわ!正解を求めて結果を出すなら半人半妖なんて作り出さなくても、今の世の中から正解へと導く努力を私はしたい!大丈夫。私は人間も妖怪も捨てたもんじゃないって知ってるから」

「!!」

「人間にも妖怪にも悪い連中入るわ?呆れるくらいに。けど同じくらいに優しく親切で守りたいと思える妖怪も人間もいるって事よ?」

「そんな回答があるのかい?」

「答えを決めつけたら可能性を無くすもんよ?だから私はこの儀式を潰すわ!」


私は妖気の立ちこもった泉の前に立つと術札を撒いて浄化の印を結ぶ。すると隣にいた沙悟浄が私と同じく印を結んで同じ浄化の術を行なう。

「お手伝い致します!」

「よろしく沙悟浄」

その姿を無風さんは何もせずに見ているだけだったの。

邪魔も手助けもなく、見ているだけ。

まるで自分の問題の答えを、この私の行動結果から出そうとしているみたいに。


そこに阿修羅と玉龍君が部屋に入って来たの。

「法子いた」

「阿修羅さん。法子様いましたよ!」

二人は私の傍に立つと、この部屋に立ち込める妖気の匂いに誘われた死霊が集まって来たの。

「法子は僕が守る」

阿修羅は浄化の法で見動きが取れない私を守るように、襲い掛かる死霊を近付けさせないように素手で悪霊を蹴散らして守る。


この嶺黄風国の城の屋上と地下で私達の別々の戦いが始まる。


そんなこんな。



次回予告


因縁の相手 虎先鋒と孫悟空の戦いの行方は?


そして法子の浄化法は成功するのか?

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