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機械仕掛けの殲滅少女  作者: サンボン
第四章 復讐その四 アルグレア王国と神の眷属 前編
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地下水路探索⑤

ご覧いただき、ありがとうございます!

「……彼等は、()にもなるから」


 そう答えてニタア、と(わら)うカルラに驚きつつも、それを悟られないように僕は平静を保つ。


「……いいの? 仲間だったんじゃないの?」

「いい……だって、報い(・・)を受けるべきだもの」

報い(・・)?」


 僕はカルラに聞き返すけど、彼女は口をつぐんでしまい、それ以上は話してはくれなかった。

 だけど……報い(・・)、か……。


 すると。


 ——クイ、クイ。


 袖を引っ張られ、振り返ると……ライラ様がジッと見つめていた。


「ええと……どうしましたか?」

「あ、いえ……その……」


 すると、ライラ様がモジモジしだした。

 な、何なんだろうか……。


「……お嬢様は、やはり心配なのです。アデル様はハッキリと私達を選んでくださったとはいえ、それでも、心配そうに彼女に声を掛ける姿を見て……」


 ハンナさんがライラ様の代わりに答える。その後に、『もちろん、この私も……』との言葉を添えて。

 確かに、少し配慮が足らなかったな……。


「す、すいませんでした……」

「あ、い、いえ……アデル様が心配される気持ちも分かりますから……」


 そう言うと、ライラ様はそっと目を伏せ、ハンナさんもわずかに眉尻を下げる。

 僕は、そんな二人が愛おしくて仕方なくなり。


「「あ……ふふ……」」

「ライラ様、ハンナさん……僕は、馬鹿で至らないところが多々あります。ですから、今みたいにもっと(おっしゃ)ってくださると助かります。それと……もっと僕に、甘えてくださると……う、嬉しいです……」


 そう告げると、僕は二人の髪を撫でた。

 で、でも、最後の台詞はちょっと恥ずかしい……。


「はい……」

「アデル様……」


 二人が潤んだ瞳で僕を見つめる。


「コホン」


 咳払いをするソフィア様を見ると……あ、ジト目で睨んでる……。


 こ、この辺にしておこう……。


「さて……着きましたね……」


 僕達は見取り図に目印された場所へたどり着いた……んだけど……。


「と、特に変わったところはないですね……」

「え、ええ……」


 目印の場所は、他の場所と同じように壁と流れる水だけしかなかった。

 本当に、この場所であっているのか?


「と、とりあえず、何か手掛かりになりそうなものがないか調べましょう」

「「「はい!」」」

「……ええ」


 僕達は手分けして壁や通路を調べる。

 【設計(デザイン)】が使えれば早いんだけど……この水路では限界を超える必要がある以上、軽々には使えない。


 それから半刻程過ぎたが、手掛かりらしきものは一向に見つからなかった。


「ここではないのでしょうか……」

「もう一度見取り図を見てみましょう」


 少し落ち込むソフィア様にそう提案すると、僕は羊皮紙を広げ、目印の場所と今いるここが一致しているか確認する。


「……僕達が来た方向の角との位置関係も、向こう側の曲がり角の方向もこの見取り図通りですね」

「となると、やっぱりここで合っている筈なんですが……」


 僕達は眉根を寄せ、首を傾げる。


 すると。


「ん? あれは……」

「“黄金の旋風”みたいですね……」


 通路の奥で揺らめく灯りが見え、僕がポツリ、と呟くと、ソフィア様が答えた。


 灯りはゆっくりとこちらへと近づき、顔の輪郭が浮かび上がると、それがセシルであると視認できた。

 もちろん、その後ろにいる他の連中も。


「“黄金の旋風”の皆さん、いかがでしたか?」

「……それらしきものは何も」


 ソフィア様の問い掛けに、エリアルは肩を落とした。


「そうですか……それで、どうやらここが見取り図の目印の場所のようなのですが、手掛かりらしきものが見つからず困っているのです……」


 そう言うと、ソフィア様はエリアルの手を取った。


「あ……ソフィア様……」

「エリアル様……どうか、このソフィアに力を貸していただけませんでしょうか……」


 ソフィア様が潤んだ瞳でエリアルの顔を見上げる。

 灯りに照らされたその綺麗な顔と相まって、エリアルは思わず息を飲んだ。


 そして。


「お、お任せください! このエリアルが、必ず『天国への階段』の手掛かりを見つけて見せます!」


 胸をドン、と叩き、エリアルは満面の笑みを浮かべる。


「では、よろしくお願いしますね?」

「はい! ようしみんな、手分けして手掛かりを探すぞ!」


 エリアルは威勢よく、他の三人に号令をかける。

 三人はというと、困った表情を浮かべたままお互いの顔を見合わせていた。


 そりゃそうだよな……自分達の前でソフィア様にあんなデレデレした顔を見せつけて、恋人である三人からしたらたまったものじゃない。


「「……最低ですね」」

「……クズ」


 ライラ様、ハンナさん、カルラが、そんなエリアルを見て吐き捨てるようにそう言った。


「くふ♪」


 一方で、ソフィア様はというと、たまに見せるあの(わら)い顔を浮かべていた。


 ◇


「……っ! あった! あったぞ!」


 水の中に飛び込んでいたエリアルが浮上してくると、大声で叫んだ。


「本当ですか!」


 ソフィア様が通路脇から嬉しそうに声を掛ける。


「はい! この水の底に、羊皮紙にあった紋様と同じものがありました!」

「水の底に……」


 ……道理で見つからない筈だ。


「アデル様、どうしますか?」


 ソフィア様が僕の傍に寄ってきて尋ねる。


「……底にあるという紋様を確認するには、まずはこの水をせき止めないと……ですね」

「なら、早速せき止めに行きましょう」


 『天国への階段』の手掛かりを目の前にして気持ちが逸るのか、ソフィア様は僕の腕を引いて急かした。


「アデル。多分上流に行けば、水をせき止める施設があるんじゃないかしら?」


 あれから時間も経ち、冷静さを取り戻したカルラが提案する。

 確かに……カルラの言う通りかもな。


「分かった……カルラの言う通り、上流に行ってみよう。となると、僕と……」


 僕はみんなを見やりながら、一緒に行く人を選ぼうとして……。


「わ、私が一緒に行きます!」

「うふふ、もちろん私も」


 ライラ様とハンナさんがすかさず名乗りを上げた。

 まあ、順当だよね。


「……私も行くわ」


 ……意外にも、カルラも立候補した。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回はこの後更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] およ?カルラもアデルパーティに正式加入……?? そして良いように使われる旋風さんたち……www いいぞ、もっとやれー!www
[一言] 聖女様、残る? 壁がそんなでなければ、簡単に加工してせき止めできるのだろうけれど。
[一言] 全然話は違うけど、やっぱりライラ様が一番可愛い。敵対しなければ無害だし。手足重そうだけどね。
2021/04/23 19:26 退会済み
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