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旅する不死者は昼も歩く  作者: 真野真名


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1、死は等しく平等に


 人って死ぬんだな。


 わたしにとって「死」なんて、ずっと遠いものだったし、ニュースで「死者何人」とか言ってるのを見聞きしても「へーすごいなぁ大変だねぇ」って程度で、アニメやドラマの中での死の方がまだ心を揺さぶられたりする。


 でも、人って本当に死ぬんだよね。


 わたしがまさにその状況。

 もしかして二回目なのかもしれないけど、やっぱり慣れないし痛いのは嫌。


 左足は膝から下がどっかへ行っちゃって無くなってるし、残った方の足首は変な感じに曲がってる。

 右腕は二メートくらい離れたとこで二匹の大きなワンコがガウガウ言いながら取り合ってるし。


「わたしのために争わないで!」


 って、言ってみたいセリフベスト5が頭に浮かんだけれど、こんなシチュエーションでは使いたく無いなぁ。


 その他にも五、六匹わたしの周りをウロウロしてる。


 こりゃもうダメっぽいよね。

 なぜか痛みはあんまり感じないし、今の自分の状況をやけに冷静に見つめている。

 これって魂が半分抜けかけてたりするんだろうか。

 まぁ多分アドレナリンがドバドバ出てて、変にハイな状態なんだろうなとは思う。

 きっとそのうち痛みがやってくるんだろうな。

 どうせもうこんな状態だし、いっそ早めにあっさり死ねた方が楽なんだけど。


 わたしの今の状態は、屋久杉みたいな大きな木のうろにかろうじて身体を滑り込ませているけれど、完全に隠れてはいない。右足なんてはみ出ちゃってるしね。


 さーて、死ぬのが先か痛みが来るのが先かどっちでしょうね。


 どうしてこんな事になっちゃったんだっけ……。




 発端は一週間ほど前かな。母親がマネージャーさんに電話しているのを横目に、通学カバンをひっ掴んで家を飛び出し最寄駅へ向かったのよね。


 多分あのまま家でぐずぐずしていたら、マネージャーさんの車に押し込まれて学校まで直通、そして校門の前で車を降りた途端、悪目立ちするのは目に見えていたから。

 校門を潜っても好奇、嫌悪、憧れ、嫉妬などあらゆる種類の感情が乗った視線にさらされる羽目に陥いる。


 で、それを避けられるものなら避けたいので今日は電車通学。

 フェイスラインを髪でガッツリ隠し、メガネにマスク装備、そして終始俯き加減の「陰キャオーラ満開スタイル」で女性専用車輌の列に並ぶ。

 こっちは比較的空いてるけど一般車輌の人の列は相変わらずの混みようだね。


 ランドセルを背負った小学生の男の子が一人であっちに並んでるけど、満員の車輌じゃ大変だよね。小学生とかは独りでも女性専用車輌OKにしてあげれば良いのに。

 わたしも経験あるけど周り中人の壁で酸欠になりそうなんだよね。


 よし、同乗者が居れば男の子でも大丈夫なはずなのでこっちに呼んであげよう。


 もうすぐ電車が来そうなので列から抜け出し、ホーム際を男の子の方へ向かって歩き出した。そのとき、いきなり横から衝撃が。


 あ、浮いてる。


 スローモーションのように徐々に近付いてくる電車。

 線路に落ちてもすぐにホーム下の待避所へ逃げ込めば間に合うかなって結構冷静に考えてる自分がいたりしてる。

 でも線路に向かって落ちている速度もすごく遅い。

 これダメなやつだ。間に合わない気がしてきた。

 うん、ダメ。無理。終わった。


 運転士さんの驚いた顔が、なぜかハッキリ見えた。

 運転士さんトラウマにならなきゃいいけどね…。


 ……………。

 …………。

 ………。

 ……。








 ……知らない空だ。




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