表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
88/632

魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act9攻撃の前に話しておこう

寒風が吹く朝、両小隊員を集めてバスクッチ少尉が皆に言い聞かせる。

この闘いにどんな意味があるのか、何故闘わなくてはいけないのか、


闘う・・・その理由を!

まだ明けやらぬ空の元・・・


((ヒュウウウウッ))


寒風が肌を刺す。


「おお寒っ。今朝はやけに冷えるわね・・・」


野営テントから出て来たリーンにミハルが淹れたてのお茶を渡す。


「おはようリーン!」


辺りがまだ暗い中、朝の挨拶をしたミハルに微笑む。


「うん、おはようミハル。今朝は冷えるわねぇ」


手渡されたお茶を口に含みながらミハルを見る。


「ふーん。頬の腫れ、一晩で治ったんだ?」


すっかり叩かれて赤く腫れていた頬が、何時も通りになっているミハルに気が付く。


「えっ?う、うん。手当てのおかげだよ、リーンの・・・」


少し赤くなったミハルが、頬に手を当てて恥ずかしがる。


「ふふふっ、あれがねぇ、手当て・・・ねぇ」


ニヘラっと笑ってジト目でリーンに見られて。


「あっ、あの、その。優しかったから・・・リーンが」


更に赤くなってしどろもどろになるミハル。


「はははっ、薬塗って、頭撫でるの・・・そんな気持ち良かったんだ」


お子様のようなミハルに笑って答えるリーンが横合いからやって来た人影に気付く。


「おはようございます中尉。

 本日の作戦で指揮下に入りますバスクッチ少尉以下15名、ご挨拶に参りました!」


15名の男女がリーンの前に並んだ。


「ああ、バスクッチの小隊員ね。おはよう」


リーンがコップを置いて並んだ隊員達の前へ進む。


「ミハル、小隊全員集合。呼んで来て!」

「はい!」


ミハルが3人を呼びに行き、直ぐに連れて来た。


「それじゃあ、各自申告してね。私はリーン中尉、第97小隊の小隊長、宜しくね」


リーンの傍に控えた各自が階級と名を申告し終わると。


「ではオレの小隊を。特務小隊、車長バスクッチ少尉以下4名。

 2号車バックボーン軍曹、3号車ライヒ軍曹」


呼ばれた2両の車長が、リーンに敬礼する。


「若いがなかなかのてだれですよ2人の車長は」


ニヤリと笑ってリーンに教えるバスクッチに、


「そう、宜しくね。バックボーン軍曹、ライヒ軍曹」


頷いて応えるリーンに2人は敬礼を解く。


「では、各員に伝えておく。リーン中尉もお聴き下さい」


バスクッチは改まって皆に話し出す。


「今日の戦闘で全てが決まる。

 エレニアを取る事で我国の失地が回復し、反抗の足がかりとなる大事ないくさだ。

 だが軍の中央に居る馬鹿者共は、この大事な闘いをワザと負けさせようとしている様だ。

 我々を犬死させ、大敗北を受け今の政府に責任を擦り付けるつもりなのだ。

 それでいいのか?いいや違う。

 オレ達はそんな馬鹿な事の為に命を掛けて闘っているのではない。

 国を、同胞を護る為に闘っている筈だ。

 オレは思う。

 今日の闘いではロッソアに勝つ事は難しい。

 エレニアを解放する事は出来ない。だが、負ける事は無いと思う・・・」


話を黙って皆が聞く中でミハルは考える。


ー  勝つ事は出来ない?でも負ける事はない?どう言う事なんだろう?


バスクッチの話す事が解らずに皆がその意味を知りたがる。


その答えをバスクッチが教える。


「ふはは。今言った、勝てないが負ける事もないと言った意味が解るか?

 それはな、我々戦車部隊に掛かっているんだ。

 今の戦争は機動戦だ。如何に素早く立ち回れるかが勝負の鍵だ。

 戦争は我々戦車部隊が勝つか負けるかで勝負が決まる。

 つまりエレニアを攻め落とす事は無理だが、戦車戦で勝てば良いんだ。

 敵に退かせる事が出来ればこの勝負オレ達の勝ちだ。

 例え我軍がエレニアを攻めあぐねて解放出来なくとも・・・な」


バスクッチの言葉に、皆が納得する。


ー  そうだ、私達戦車乗りの相手は何処まで行っても敵戦車なんだ。

   市街地へ突入するより敵戦車と闘って一両でも多く倒したい


皆がミハルと同じ様に考えたのかどうかは解らないが、その瞳はどれも若く熱い想いを滾らせている。


「どうだ?少しは闘う理由が解ったか!」


バスクッチが笑いながら皆の意思を問う。


「はいっ!」


リーンを含めて皆が少尉に応える。


「そうね、少尉の言う通り戦車戦で負ける訳にはいかないわね。数も質も劣るけど・・・」


リーンが腕を組んで考える。


「ですね。昨日の作戦通りに事が運べばいいんですけど」


ミハルも同じ様に少し不安になる。


「はははっ、オレはオレの砲手を信じるぞ。何があってもコイツの事を。」


2人にバスクッチはアルミーアの肩を抱き寄せて自慢する。


「アルミーアの魔鋼力はピカ一だ。

 昨日も見たろ、遠距離射撃の腕前を。

 オレはこいつの腕と魔法力に絶対の信頼を置いているんだ。

 皇国一だと思ってるんだぞ!」


アルミーアの肩に手を廻して笑うバスクッチ。


「少尉・・・コイツコイツって言わないでください!」


顔を赤くしたアルミーアが抗議する。


「はははっ、アルミーアもバスクッチに掛かればカタナシね」


笑いかけたリーンが2人の間にある固い絆を感じ取って、

自分とミハルとの仲に勝るとも劣らない信頼関係なんだなと思った。


「さあ、そろそろ準備に懸かりましょうか。我々の闘いに向けて」


バスクッチが話を打ち切り、戦闘の用意を求める。


「そうね。ボチボチ掛かりましょうか。

 みんな、我々の闘いを見せ付けてやりましょう、敵にも味方にも・・・ね!」


リーンが皆に向けて決戦の覚悟を求めた。


「はい!やってやりましょう。我々の本気を見せ付けてやります!」


アルミーアが求めに応じる。


バスクッチの横に居るアルミーアにミハルが歩み寄りって右手を差し出す。


「アルミーア軍曹、お願いが有ります。

 必ず生きて還りましょう。約束して下さい、必ず還って来るって」


差し出された右手を握り返したアルミーアが頷き、


「ああ、解った約束する。

 必ず還ってまたミハルと一緒に話し合いたい。

 折角許して貰えたんだから・・・きっと帰って来るわ!」


微笑んで約束を交わした。

ミハルとアルミーアの横では、バスクッチがキャミーを呼んだ。


「なあ、キャミー。この闘いが終ったらちゃんとしよう!」

「へ?何を?」


目をパチクリしてバスクッチに聞き返すキャミーに、


「う・・・その。結婚してくれって事だ。式を挙げようってことだ 」


横でテレて話すバスクッチにミハルもアルミーアも・・・


「うっ、うわああっ!本当に言ったあぁっ!!」


腰を抜かさんばかりに驚いて叫んでしまった。


「ウ、ウォーリア・・・。本当?本気で言ったの?」


瞳に涙を溜めたキャミーが信じられないと言った声で訊く。


「本気だ。本気でそう言ったんだ」


真面目な顔で告白した愛しい人の胸に飛び込むキャミー。


「ここは2人だけにしておいてあげなさい!」


ミハルとアルミーアを引っ張って連れて行くリーン。


「うにゃぁ・・・」

「はいぃ・・・」


ミハルとアルミーアはリーンに連れられながらも微笑んで頷き合った。



バスクッチとキャミーは暫く2人だけの時を過ごせた。


「善かったわね・・・キャミー!」


リーンの瞳がそっと2人を祝った。


各車両に乗り込み各部のチェックを始める搭乗員達。

初めて乗り込む車両は、以前のマチハ変形後に好く似ていた。

必ず還るとの決意を新たに出撃する第97小隊。

次回 出撃!戦車前へ

君は新たな闘いへと向うのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ