表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
86/632

魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act17笑顔の魔法

伝説の魔女達の魂が甦る中、リーンも闇の心から解放され気を取り戻す。

リーンに古の魂が語り掛け、全てを許す様に諭してくる。

世闇の中に蒼白き光が放たれていた。

まるで清らかな心を指し示しているかのように・・・


((フッ))


2人の間から起こった碧い光が消えていった。


ー  今の光は?なんだろう?


アルミーアは抱き付く2人の間から湧いた光に驚いた。


ー  この2人の間から起きた青白い光。何を意味するの?


いまだキスしながら抱き合う2人に何故か嫉妬心も湧かない自分に気が付かない位、

あの光は印象的だった。




ー  あ、あれ?

   私なんでミハルとキスしているの?何故こんなに強くミハルを抱締めてるの?


リーンが我に返って不思議な感覚になる。

先程までの苛立ちと怒りが嘘の様に無くなり、ミハルの唇がその想いと共に温かく心地よい。


ー  ミハル・・・どうしてこんなに必死にキスしているの?

   まるで私を奪うみたいに・・・いえ、自分に取り戻そうとしているみたいに


ミハルの腰に手を廻して引き寄せるリーンに、誰かの声が聞こえて来る。


ー  気付いたみたいね。

   この娘は闇に堕ち掛けていたあなたを救ったのよ。私と共に・・・ね


誰かの声が脳裏に響く。


ー  誰?私に話し掛けるのは・・・


リーンが声の主に訊く。


ー  私?私はあなた。あなたの中に居るもう一人の私。

   千年の眠りから目覚めたもう一人のあなた・・・


声の主に答えられても解らない。


ー  もう一人の私?目覚めた?解らない・・・


声の主は優しい声で語り掛ける。


ー  リーン。この娘の中に居る神官巫女が私達を救ってくれた、闇へ堕ちる前に。

   もう大丈夫だからね。

   あなたの前に居る愛しい人を信じるのよ、そうすれば本当の事が判る。

   そうすればあなたの心も通じるから


優しい声に導かれる様にリーンの心も開かれる。


ー  そう。私はミハルを信じている。だって愛しているもの。

   だってこうしてキスしてくれてるもの。

   ミハルが愛してくれている証拠だもの


ー  うふふっ、もう大丈夫だね。

   食欲魔女に感謝しなさい、私の大切なミコトに。その娘ミハルに・・・


そう言い残して声の主は語るのを終えた。


ー  ミコト?どこかで聞いた名・・・え?まさか?!


そこで意識が完全に戻った。


青く澄んだ瞳でミハルを見る。

キスし続けているミハルはまだ必死に唇を重ねている。


ー  ミハル、ありがとう。私を取り戻してくれて


「んぷあっ、ミハル・・・あなた、どうして?」


唇を離して右手を胸に当てているミハルに訊いた。


「はあはあはあっ。リーンが・・・リーンが暗い瞳をしていたから。

 何処かへ行ってしまいそうだったから。それに・・・」


リーンの胸に当てていた右手を翳して、


「宝珠が叫んだの。リインを助けろって、リーンを堕とすなって・・・闇の中に。

 だから、その、キスしたの。リーンに気付いて欲しくて・・・えへへっ!」


恥ずかしそうにはにかむミハルに堪らなくなった。


「えっ?リーン・・・んむっ?!」


リーンはもう一度、今度は自分からキスをする。

びっくりした様に大きく目を見開くミハルが、そのキスを受け止める。

何も抗わず、陶然とした表情で。


そっとミハルから離れたリーンが一言呟く。


「ミハルは渡さない、誰にも」


決然と言ってからミハルを見て、そしてゆっくりアミーに視線を移した、厳しい表情のまま。


その視線を見詰め返し、やがて顔を背けるアミーへ。


「解った事がある。

 何故あなたをミハルが庇ったのかが。あなたにはそれが解るかしら?」


リーンが静かな口調でアミーに問い掛ける。


「えっ?そ、それは・・・」


アミーが返事に詰まり、答えられなくなる。


「それは?・・・判らないの?・・・そう、なら私が答えてあげるわ」


リーンがミハルを抱いたままアミーの前へ進み出る。


「ミハルはあなたを友達と呼んだ。

 あなたの事を友と認めた。あんな酷い仕打ちをされても。

 あなたの涙が物語っている本当の気持ちに気付いたからよ」


身体をビクリと震わせ、リーンの顔を見るアミーに続けて。


「だからミハルはあなたを許した。二人の仲が元に戻る様に願って。

 そしてあなたは許しを乞うた。本当の望みを口に出した。

 ミハルが願った通りに。

 あなたとミハルは友達に戻れたのよ今再び。

 その友を叩こうとした私を止めたのは、友達を護りたいミハルの優しく強い心の現われ」


自分を見詰めて諭すリーンにアミーは心を揺さ振られる。


「どう?解ったかしら。ミハルとあなたの間に合った壁はもう無くなった。

 仲が良かった昔と同じ友達に戻れたのよ、アミー軍曹」


肩にリーンの手が乗る。

全てを許した聖王女の手が。


「違います、リーン中尉殿・・・」


リーンを見返すアミーの瞳に涙が溢れる。


「違う?何が?」


リーンがその涙を見て、厳しい表情を緩めて訊いた。


「アルミーアです・・・

 私の名はアミーじゃありません。

 ミハルに呼んで貰ったのが私の名前です。

 もう願いが叶ったから略名を使う事はありません。

 ミハルに許して貰えるまで、ミハルに呼んで貰えるまで。

 誰にも本名を呼ばせなかった私の願掛けが叶いましたから。

 もうアミーと呼ばないで下さい」


アミー・・アルミーアは嬉し涙を零してリーンに言った。


「そうなんだ。それほどまで心に誓っていたんだ、ミハルに謝る事を?」


抱いていたミハルをそっと離してアルミーアの元へ押し出す。


「リーン?!」


アルミーアに歩み寄りながら自分に振り向いたミハルに促す。

微笑みを浮かべて。

いつもの女神のように麗しい瞳で。


それだけでミハルにはリーンが求めている事が解る。


「アルミーア、私も謝る!

 私もあなたの事を誤解していたの。

 ごめんなさい、気付いてあげられなくてごめんなさい!」


ミハルはアルミーアに抱き付いてずっと誤解していた事を、気付けなかった事を謝った。


「ミハル・・・謝らないで、そんな優しい言葉を掛けないで。

 私が今迄ミハルにしてきた事は決して許される様な事じゃ無いのに。

 お願いっ!

 私を殴って、思いっきり殴って、気の済むまでいくらでも!」


涙に曇る瞳でアルミーアが求めていた。

許してくれているミハルにそれでも自分の気が済まない為に。


「アルミーア・・・」


必死に求めている姿にミハルは戸惑いリーンの顔を見返ると、静かに微笑を浮かべて頷いてくれた。


ー  リーン、ありがとう。解ったよ・・・


「アルミーア、それじゃあ目を瞑ってくれる?」


ミハルの前でアルミーアが言われた通り目を瞑り、直立不動で立ち尽くした。

すうっと息を吸ったミハルがアルミーアに寄って、


「アルミーア。今から私達は友達へ戻ろう。

 お互いに不幸な過去を捨てて。

 何もかも忘れてしまって出合った時みたいに何でも話し合える友達に戻るの。

 優しく求め合った、あの日みたいに・・・ね?」


ミハルはアルミーアが昔自分にした様に耳元で呟いてから、ぎゅっと強く抱きしめた。

ポロポロと新たな涙がアルミーアの頬を伝う。


「うん、うん!ありがとうっありがとう!」」


言葉に出来ない感情を、ただ頷いてミハルに示した。

2人が許し合う姿を黙ってリーンは見詰めていた。


ー  ミハル。

   あなたって娘はどこまで強くなる気なの。

   どんなに優しくなるの。

   私にはなれそうもないわ。あなた以上には・・・


自分を闇に堕ちるのを助け、アルミーアを闇から取り戻したミハルの姿に、

古の聖魔女を思い浮かべるリーンだった。


「アルミーア。はいっ!」


ミハルが右手を差し出し仲直りの握手を求める。


「うん。ミハル!」


喜んでその求めに応じたアルミーアの姿を見て微笑みが零れる。


「2人供、おめでとう。私も混ぜてくれないかな?」


リーンが2人の友を祝福する。


「ええ。勿論!」


ミハルではなくアルミーアが招く。


3人の手が重なり合い、絆が結ばれた。


「ありがとうございます、リーン中尉殿。ありがとうミハル!」


アルミーアが涙を拭いてから微笑んだ。


「そう、その顔が本当のあなた。

 その笑顔がミハルの求めていた答え。良かったわね2人供!」


微笑み返したリーンがアルミーアに頷く。


「はい!こんなに気分が善いのは久しぶりです」


表情が明るくなったアルミーアが頷き返す。


「うん!その顔。やっぱりアルミーアは笑顔が一番だよ」


ミハルも嬉しそうに笑った。


笑顔は笑顔を求め、新たな笑顔を作る。


ー  それが本当の魔法。

   それが笑顔の魔法。どんな闇にも打ち勝てる最強の魔法


リーンは2人の笑顔を見てそう感じた。


魔法使いの少女達にバスクッチが呼び掛ける。

いよいよ明日の闘いに向けての会議が始まる。

バスクッチ少尉の隊と、第97小隊が協力してあたるその作戦とは・・・

次回 作戦会議

君は思わぬ作戦計画に度肝を抜かれる?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ