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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act10女軍曹

激しかった前哨戦を終えて野営地に戻って来たリーン達は新車両の受領を受けていた。

激しい前哨戦を終えた両軍は、夜の帳が落ちると共に陣地に引き上げた。

そして翌日に備えて整備と補給を急いだ。


「早くしろっ、弾を載せ終えるんだっ!」

「損傷箇所の溶接を急げっ!」


整備隊の兵員達が夜を徹して動き回る中で、

4両だけ静かに整備を受けている小隊があった。



「これです中尉殿。新しい第97小隊の配備車両、MMT-6。

 通称マギカ・ミディアム・タイプ6。

 主砲は御覧の通り75ミリ口径、砲身長は70。

 徹甲弾を用いて1500メートル先の垂直甲板貫通力は130ミリです。

 カタログ通りならばですが。

 勿論中尉の乗車ですから魔鋼騎システムを搭載してあります」


アミー軍曹がスペック表をリーンに手渡すと。


「細かい部分は全てこの表に記して有ります。

 動作確認も含めて此処まで持ってくる間に作動試験も終らせてありますのでご安心下さい」


手渡された表を見るでもなく、じっと自分を観ている中尉に気付き。


「何かご質問でもございますか中尉殿?」


見詰められているのに気付いたアミー軍曹が訊く。


「いえ、車体については今の説明で大まかな処は解ったわ。

 それにこのスペック表もあるしね・・・」 


リーンは仔細に書かれてある表をめくって答える。


そしてスペック表に目を向けたままポツリと訊ねた。


「教えてくれないかしら、あなたとミハルはどんな関係なの?」


アミー軍曹とミハルの間柄を聞く。


少し驚いた表情になったアミー軍曹は、ふっと息を吐くと。


「それを聞いてどうなさるのですか。私がミハルに何かをするとでも?」


意味有り気な言い回しで眼を細めてリーンを見据えるアミーに対し。


「それこそ野暮って言う物ね。

 私はミハルの過去が知りたいだけ。

 あなたの事は別に知りたいとも思わないから」


スペック表を閉じてアミー軍曹を睨むリーン。


「ふっ、女のヤキモチって醜いですわよ。リーン中尉」


昼間見せた高飛車な所が姿を表す。


そんなアミーの言葉にカチンときたリーンが、苛立った声で命じる。


「なっ、なんですって!焼き餅?

 も、もういいわ、話にならない。もう退って宜しい!」


イラついて話を打ち切るリーンに敬礼をして退がるアミーは、リーンのイラつく顔を見て薄く笑った。




「ねー、ラミルさん。どうしたんでしょうね、中尉は?」


リーン中尉がイライラと呟いている姿を新車両のハッチから見ているミリアに。


「お前はいいから、さっさと砲弾の整備をしろ」


ラミルはミリアを車内へ戻る様に言ってからリーンの横顔を見てため息を吐いた。




「そうか、色々あったんだなミハル。

 偉いぞ、俺の想像よりずっと強くなれたんだな!」


そう言って頭をワサワサと撫でてくれるバスクッチに照れるミハル。


「いいえ。これも少尉に教えて頂いたおかげです。

 小隊のみんなが、私を支えてくれているおかげですから」


頭を撫でてくれているバスクッチ少尉を見上げて顔を赤くするミハルが微笑んだ。


「またまたぁ、謙遜しちゃってぇ。

 本当にミハルは強くなったし、上手くなったと思うよ。

 あたし達の命を何度も助けてくれたんだから!」


キャミーも笑ってミハルを褒める。


「はははっ、そうだな。

 こうしてまたキャミーに逢えたのもミハルの射撃の賜物だものな。感謝するよ!」


バスクッチが笑ってミハルの頭をポンポンと軽く叩いて礼を言った。


「いえ、そんな・・・」


ミハルが照れてモジモジする。


許嫁の2人に気を使うように後退ると。


「少尉、キャミーさん。

 私の事はほっておいて、愛する者の時間を。その・・・どうぞ!」


ニコッと笑って二人に勧める。


「ミハル、いいのかよ。

 聞きたい事や話したい事があったんじゃないのか。

 あたしはウォーリアに逢えただけでも満足なんだよ?」


逆にキャミーがミハルに気を使ってくれた。


「いいえ。私も少尉に撫でて貰えて、もう凄く満足しましたから。

 えへへ、腕立て伏せさせられる前に退散します!」


ミハルは微笑んでペコリと頭を下げて二人から離れた。





二人から離れたミハルが、銀髪の少女に気付いた。


「ふん。あんな女のどこがいいのよ。小隊長は・・・」


ミハルに目を向けて呟くアミー軍曹に、ミハルはビクリと身体を強張らせる。


「アミー軍曹・・・」


ミハルが立ち尽くしていると近寄って来たアミーが。


「ふふふっ、ミハル。やっと2人っきりになれたわね。

 久しぶりの再会、軍の入隊式以来かしら。

 あなたが一般砲兵科へ入隊した時以来ね・・・」


近寄り見詰めてくるアミーから視線を背けると。


「そう・・・だね。アルミーア」


搾り出す様に小声で返答するミハル。


「2人っきりの時はそう呼んでいいわ。ミハルだから・・・」


そう言うといきなりミハルを抱締めたアミーが耳元で呟く。


「つれないわねミハル。

 2人っきりの時は甘えていいんだよ。学生時代の時の様に。

 私達ルームメートだったじゃない。

 可愛がってあげるわ、あの時みたいに・・・」


耳元で呟いたアミーを押し退けると。


「やめてください!

 あなたは変わった、魔鋼騎検査を受けてから。

 自分にも魔法力が備わっていると解った時から・・・」


押し退けたミハルの手を再び掴んだアミーの瞳が、まるで獲物を睨むかのように鋭く光る。


「そう。あの時は・・・ね。

 あなたが魔法力を秘めているのに検査で落された時、私は信じられなかった。

 私と同じ道を歩んでくれると思っていたのに、普通の砲術兵科へ行くあなたの事が・・・」


アミーの瞳が怒りの色を濃くしてミハルを責める。


「どうして再検査を受けてくれなかったのよ。

 私には解っていた、あなたが私よりもずっと強い能力を持っている事が。

 どうして私と同じ魔鋼騎乗りの道を選んでくれなかったの?

 そうしてくれていれば私はあなたを恨む事は無かった、嫌いになる事は無かった筈なのに」


アミーの声でミハルの記憶が蘇る・・・



目の前に居るアミー軍曹との思い出に思いを廻らすミハル。

初めて出会った時は、まだ幼年学校に転入した時だった・・・


次回 思い出の中で

君は過去の思い出に心を揺さ振られる

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