魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act1前哨戦始まる
砂塵が舞う。
無限軌道が砂を噛む。
鋼鉄の嵐が噴き荒れる。
「第2中隊、左翼に回りますっ!」
ラミルの声がレシーバーから流れる。
「車長!1中隊3小隊砲撃開始!」
キャミーの報告が耳を打つ。
「了解!
ミリア、敵M3中戦車に対して徹甲弾装填。
目標前方1500メートルの敵小隊。
一番右に居る奴を狙えっ!
敵は停車中。
直接照準!ミハルっ!攻撃始めっ!」
リーンが攻撃の開始を命じた。
「了解っ!
目標前方1500、右側のM3!
直接照準、撃ち方始めますっ!」
ミハルが復唱し、照準器の十字線にM3の側面を入れる。
「撃てぇっ!」
リーンが叫ぶと同時にトリガーを引いた。
((ボムッ ガシャッ))
高初速の徹甲弾が、M3に向けて飛ぶ。
照準器の中でM3の後部エンジンパネルが吹き飛び、炎を上げる。
「よし!撃破!
続けて2番目標、中央に居る奴を狙え!」
リーンが指令を出す。
左手で砲向レバーを倒して、炎上するM3の隣で後退を始めた車両に照準を合わせる。
「敵はこちらに気付いた。正面を向けて後退中。2シュトリッヒ後方を狙え。撃て!」
リーンの射撃命令と共に指を引く。
((ボムッ ガシャッ))
排出煙が、換気扇に吸い込まれる。
ミリアが空かさず次弾を装填する。
「命中!しかし、まだ動きを止めていない。続けて撃て!」
ミハルの目は照準器の十字線上に居るM3に狙いを絞り、指は無意識にトリガーを引いた。
((ボムッ ガシャンッ))
射撃音が車内の空気を震わす。
低伸した弾が、M3の前面装甲に穴を穿つ。
徹甲弾を2発喰らったM3が停止する。
ー 脱出しなさい、早く!
敵戦車搭乗員に心の中で叫ぶミハルの目に、
((バッガーンッ))
弾薬庫が誘爆したM3の砲塔が噴き飛ぶ光景が映った。
「2両目撃破!3番目標、残りのM3中戦車。射撃続行!」
リーンの命令が飛ぶ。
澱む瞳でミハルは敵戦車へ砲塔を旋回させる。
照準器で最後のM3を捉えたミハルの指が、
トリガーに触れた時、照準器の中でそのM3が黒煙をあげた。
「射撃待て。目標は撃破された。射撃中止!」
リーンがキューポラから観測しつつ命令を下した。
「ふぅ・・・」
ミハルは張り詰めていた息を吐き、指をトリガーから離す。
「各員見張りを厳にせよ。残りの敵は後退しつつある。歩兵に注意!」
リーンがキューポラから周りの確認をして、
「味方脱出者の救助を助ける。
本車は此処に留まる。キャミー、中隊長車に連絡して!」
マイクロフォンを押えてキャミーに命令し、
「ラミル、味方の損害は?」
「はい、第1小隊3番車が斯座。第3小隊2番車が大破放棄。人的被害は不明!」
ラミルが振り返ってリーン中尉に答えた。
「うん。此方が12両中2両。敵は6両で全滅。やはり、数の差は大きいって事ね」
リーンがキューポラから身体を乗り出して撃破されたM3を眺める。
側面ハッチを開けてシェルツェンより高く頭を伸ばし見張りを始めたミハルへ。
「こちらの車両も大分強化されたみたいね」
周りの味方戦車に感慨深げな顔を向ける。
「はい、このマチハも見劣りしますね。新型車両の中に居ると」
ミハルも周りの味方車両を眺めて認めた。
「ははは、そうね。3号J型は元は軽戦車だもんね。足は速いけど小さいからね」
リーンが右舷を走り抜いていく4号F型を見て答えた。
「まあ、味方が強くなるのは悪くないです・・・けど」
少し心配そうなミハルの表情に。
「けど?・・・何?」
リーンは解っているが聞き返した。
「いえ。
こちらが新型を出して来たのなら、敵にも新型車両が現れてもおかしくないですから」
マチハと同じシェルツェンを装備した最新型の4号H型を見てミハルが危惧する。
ー そうよね、こっちが改良しているのに敵が何もしない訳がないものね
戦争は技術の闘いでもある。
敵に強力な車両が現れれば味方はそれに勝る車両を造る。
そしてまた敵にそれ以上の車両が現れる。
・・・その繰り返し。
戦争が長引けば長びく程、どんどん強力な武器が現れる。
それが戦車でなくとも・・・
そう、それが戦場。
そこが戦場。
何処に居ても・・・同じ。
それが戦争という地獄・・・
思わぬ闘いにリーンの心は頼れる姉に願いを託した。
次回 思わぬ闘いになるかも
君は生き残る事が出来るか
この章では戦闘がメインですが、
ミハルの学友との話や、元小隊員との再会。
そして愛憎からめて、話が進んで行きます。
シリアスあんどホッコリ。
これが答えだっ!・・・です。
これからも応援宜しくお願いします。





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