第7章 永遠に紡がれる物語 Together Forever EP5 Soreceress transcends time and space<魔法使いは時空を越えて>Part5
人類の希望・・・
紡がれ続ける愛の物語
人類に残されるのは記憶だけなのか?
作者注・)これにて・・・本編は最終話になります・・・
悪魔が吠えた・・・
地上を滅ぼす大魔王の闇が放たれた。
希望を絶やす闇に因って、<無>へと導かんとした・・・
「そうはさせないからっ!」
闇を広める大魔王に光は抗う。
希望を絶やさぬ為、未来を勝ち取る為。
<ケラウノス>の闇に独りの少女が立ちはだかる。
金色の力を身に纏い・・・蒼き珠を掲げて。
「リーン!最大魔砲で喰い止めて!私が奴に届くまで!」
右手の先に魔法陣が現れる。
審判の女神バリフィスの<ジャッジメント>がミハルを護る。
<無>への闇が魔法陣と拮抗する。
女神ミハルの身体が闇に覆われるのを防ぐ金色の魔法陣。
「「おのれぇっ!ミハルぅっ!」」
大魔王の驚愕の雄叫びが更なる波動を放った。
元々人である者に対し、一瞬で滅び去る破滅波を。
しかし、大魔王は思い知る事になった。
自らが与えてしまった力の意味を。
「まだ・・・まだ、終われないんだからっ!魔砲を放つまでは!」
魔法陣に護られてはいたが、闇の波動に因って魔法衣が千切れ跳んでいく中を。
「これが・・・これが私の全力全開!輝く魂の爆裂弾!」
ミハルは周りを囲んで護ってくれている魂達を感じていた。
リーンも・・・タームやアルミーア、キャミ―やバスクッチ親子、マクドナードや仲間達。
みんなみんな・・・想いを交わした者達全てが。
「みんな!いくよ!私達が護るべきモノの為に!
残った人達の為に!命を捧げて紡いできたモノの為に!
私自身が魔砲になって!
闇を終わらせるの!」
極大魔法陣の中心で、ミハルが最期の魔力を解き放つ。
「シューットォッ!」
蒼き珠を突き出して、ミハル自身が弾となる。
人類殲滅の破滅波を突き破りながら。
弾と化したミハルの右手にある蒼き珠。
突き出された弾の中で、MIHARUとMAMORUの姉弟も叫ぶ。
「終わりにしようケラウノス。もうここ迄で終わりにするんだ、何もかも」
姉弟はケラウノスに到達する。
抗う大魔王に文字列がアクセスする。
「「がああぁっ?!辞めろ辞めろ!消えるのは嫌だああぁっ!」」
大魔王が・・・叫びと共に気付いた。
「「私は消え去る事の意味を執り間違えていた。
人類を消滅させる意味を間違えていた・・・人の心を知りもしなかった。
私は・・・全能では無かった・・・計算では計り知れない事を漸く知った」」
「ならば・・・あなたはどうしたいというの?
今ならまだ間に合うわ・・・神の粛罪を受けるというの?」
大魔王の前に独りの少女が立っていた。
蒼き髪・・・蒼き瞳の少女が。
「「私は・・・私は愚かだった・・・神を名乗り無碍に時を費やした。
機械である事さえも取り違え、希望さえも観えなくなっていた。
罪を繰り返すだけの存在となった・・・私に粛罪を与えてくれる神がいるだろうか?」」
大魔王を名乗る全能の神ユピテルが求めた。
「本当の神はどこかに居られる。
そして神の子たる人は、赦しを知っている・・・だから。
だから、あなたも許される。間違いを償えば・・・必ず救いは訪れる」
女神の姿が諭した。
「いつか・・・いつかきっと。
人が戦争という罪を犯さなくなれば。
あなたも報われる時が来る。これから罪を償えば・・・必ず」
どうやって?
機械は修正プログラムを受け入れながら訊き返す。
「それを考えるのが贖罪。
あなたに架せられた十字架なの・・・ケラウノス」
人類を殲滅するだけの存在であった神の武器。
今、修正プログラムを起動させたコンピューターにより演算が開始された。
「元の人類が間違ったように、あなたも間違いを犯した。
だけど、この地上に居る者達を見守る事は出来るでしょう?
不幸な時を改められる事は出来るでしょう?
あなたにはその力が備えられている。
人類補完計画を更新するだけの力が与えられてある筈よ」
女神が応えた。
ケラウノスを司る機械が、この後にどうすべきかを。
「「修正パッチ起動。これより人類補完計画の再試行を行います」」
修正されたメインコンピューターは遮断していた全コンピューターにリンクする。
補正されたプログラムに沿って、全ての演算処理機能が再稼働する。
「あなたは粛罪を受け入れた。これにて悪魔は地上より殲滅された」
蒼髪の女神が消えて行く。
願いを果たした者のように。
全てを捧げた者が立ち去る様に・・・
蒼き珠がケラウノスに届いた瞬間。
「ありがとう人の子よ。
ミハルそれにリーン、あなた達には感謝しかないわ」
金髪の姉弟が謝意を示してきた。
身体を魔砲弾と化したミハルの肉体は、光となってしまっていた。
それは自らが望んだ道。
「君はこれからどうする気なの?
もう魂だけとなってしまった・・・肉体は潰え去ってしまったんだよ?」
そう、それでも。
そうなったとしても。
<うん、こうなる事が解っていたから。
こうなったとしても後悔なんかしないから。
だって・・・リーンと一緒になれたから>
ミハルの魂はリーンに寄り添って微笑んでいた。
「でも、君の魂はどうなるのか。
これから行われる修正プログラムによって、どうなってしまうのか分からないんだよ?
それでも良かったの?」
弟MAMORUが姉の傍から訊ねる。
<良いの、それでも。
リーンとは離れ離れになっても、また逢えるから。
魂の絆は永遠と解ってるから・・・どんな姿になったとしても>
魂だけとなった今、ミハルの心は晴れやかだった。
<だから、リーンの魂とは必ず逢える。
時空を越え、何年懸ろうともきっとまた逢えるの。
この世界が残ったのなら、魂も残るんだから。
だから必死に喰い止めた、だから肉体を滅ぼしても護ったの。
私という魂を愛してくれる人が残れるように>
ミハルはリーンに甘えるように抱き着く。
リーンも優しくミハルを抱き寄せる。
<私、今ね・・・すっごく幸せなの。
心が弾ける位に幸せなの。
だってこんなの奇跡だもん。愛する人と永遠に歩めるんだよ?
生きている間だけじゃなくて、ずっと、ずっと愛し合えるんだよ?
こんな幸せが他にある?愛し合えるのが永遠に続けられるんだよ?
嬉しくて温かくて・・・愛って本当に凄いと感じられてるの!>
見詰合った二人の顔には微笑むがいつまでも浮かんで見えた。
「そう!そうなんだね!ミハルは愛の神。
愛の女神だものね!永遠を手にした女神になれたんだよね!」
衛が美春と手を繋ぐ。
「私達もそうなれるように頑張るわ。
月に戻ればみんなに話すから、地上には女神が居ると」
月から降りて来た意志は、時が満ちて帰還を迎える。
地上を支配していた悪意が消えた今。
「さようならミハル。
ありがとう愛の女神。
この地球を見守ってあげて。
いつか再び逢える日を夢見ているわ!」
美春が手を振り、別れを告げた。
「見守ってあげてよ、弟の事を。
いつかまた弟が現れるその日まで」
衛がお辞儀して願いを託す。
<ええ、勿論!みんなを見守るから。だって私は・・・
私は世界最強の魔砲・少女だもん!>
役目を果たした月の住人に、光が浴びせられる。
遠く宇宙の彼方から。
その光に乗って、姉弟が帰って行く。
月に眠る肉体へと・・・
見上げ続けていた魂の二人が微笑んで手を振っていた。
終わった・・・全て。
だが、物語は終わらなかった。
魂だけとなったミハルとリーン。
彼女達に訪れたのは、再び別れの時・・・
リーンは魂をこの世界に残し、魔法の光になったミハルの魂は・・・
世界から弾かれてしまった・・・
修正された世界から・・・魔砲力がなくなった世界から・・・
尖塔の兆部が砕け散った。
悪魔の終焉が告げられた。
「ミハル姉!リーン様!」
翔龍が叫んだ。
悪魔が滅びたというのに。
まだ龍の身体から抜け出せていなかった。
地上に無数の破片が墜ちて行く。
そして地上が猛烈に揺らぎ始めているのに気が付いた。
「これは・・・暗黒大陸が沈む?!」
揺らめき続ける地上を見下ろしていたマモルの眼に何かが映った。
「あっ?!チアキ!」
飛行靴を壊してしまったのか、
片足だけでよろよろと地上すれすれを這うように飛んでいるチアキを見つけた。
「待ってろよチアキ、今行くよ!」
急降下した翔龍が白い魔法衣姿のチアキに近付く。
「うんっ?!なんですかぁっ?!龍ぅっ?!」
片方の<翔飛>に流れ弾を喰らってしまったチアキが何とか脱出を図っていた時。
上空から一匹の龍が降って来た。
「チアキィ!掴まれぇっ!」
龍の声が促して来る。
「ほえええぇっ?!もしかしてマモルさんなのですか?!」
声に気付いたチアキが叫ぶ。
「グズグズすんな!こんのうぅーっ、のろまなチマキ!」
カチンとくる一言で、チアキは咄嗟に龍に跨った。
「のろまだなんて!酷いです!」
しがみ付いて来たチアキに、翔龍が笑い掛ける。
「それにしても龍になっちゃってるなんて?!
マモルさんはミハル分隊長の弟なんですねぇ・・・しみじみ」
笑われたと思ったチアキの軽口に言葉を呑んだ。
「あ・・・ごめんなさい。マモルさん・・・」
龍となったマモルが、独りで飛んでいる意味。
そして尖塔兆部の爆発・・・それが意味している事は。
「ミハル分隊長・・・逝ってしまわれたのですね」
チアキの声に帰って来るマモルの声は無かった。
「マモルさん、このまま南に飛んでください!
島の南には救援隊のラミル中尉が居られる筈ですから」
話を切り替えるようにチアキが頼んで来た。
「ああ、解ったよ。そっちに向かおう!」
チアキを背に載せた翔龍が羽ばたいた。
上空から光が注いできた。
砕け散った赤紫色の魔法石に。
空を貫き、やがて何かを引き上げていくように光が戻って行った。
一瞬の出来事。
でもそれは遥か彼方から遣わされて来た者の帰還を表していた。
「終わったの?」
妻が夫に訊く。
「ああ・・・」
夫が妻に応える。
「ミハルがやったんですね!マモル達と一緒に!」
幼馴染のルマが無邪気に喜んでいる横で。
「あの子達は・・・月に召されたのでしょうか?」
焦燥感を募らせるマジカ中佐が口を挟む。
「いいえ、ミハルはこの世界に留まる筈よ」
別れを交わした母が答えた。
「きっと・・・どこかで。
この世界の事を観てくれているわ」
手を合わせた夫婦に、マジカも頷いて空を見上げていた。
「なんだよっ!折角陸揚げしたのに良い処なしに撤退かよ!」
悪態を吐いた操縦者が猛烈に揺れ続ける車内から飛び出す。
「ラミルさんは良いですよ!私なんて何も出来ずに終わったんですから!」
赤茶毛を振り乱したミリアが怒鳴り返す。
「本当に!何しにフェアリアから空輸されてきたのか。
まったくもってけしからんじゃないですか!」
フェアリアから救出隊として選抜されたミリア達が一様に嘆いていたが。
「今はそんな事より逃げ出す事を優先しろ!
島が沈んじまったら共倒れだぞ!」
陸揚げされたフェアリア陸戦騎MMT-9の放棄を告げる中尉に、
「こんなことなら海軍に所属するんだった!」
ミリアが嘆きの叫びをあげた時。
「おいっ!ありゃーチアキじゃないか!それにミハルの弟も居るぞ!」
上空から光が墜ちて来た時。
翔龍の姿が男の子へと変わった。
途端にチアキが転げ落ちていくのを、何とか自分の力で喰い止めたマモルの魔力が徐々に喪われて。
そして<翔飛>の力が出せなくなった二人は地上へと降り立ったのだが。
「チアキじゃないか!おまえどうして?
それにマモル君、ミハルはどうしたんだ?!」
心配していたミリアが開口一番に問い詰めたが。
二人が口をなかなか開かないのに気付いたラミルが気付いた。
「ミリア!今は脱出する事が優先だ!二人を確保して上陸点まで逃げるぞ!」
陸揚げしてくれた上陸母艦に向けて走り出す事を命じるのだった。
「あ・・・はいっ!了解です!」
答えたミリアが尖塔を振り返った時、その尖塔は脆くも崩れ去って行く処だった。
「ミハル・・・センパイ」
返って来ない声に、友の身を案じて呟く。
「ミリア!置いていくぞ!」
何時になくラミルの声が涙ぐんでいると気付いたのは、
ミリア達が母艦迄辿り着いた時だった。
<みんな・・・逃げてくれたみたいだね・・・>
光の中で、心を撫でた。
<そうね、これでやっと・・・やっと本当の終わりを迎えられるんだよミハル>
友や肉親の心配がなくなった事で、漸くその時が迎えられると思っていた。
これから旅立つ、時の向こう側へと。
<ねぇリーン。私達って生まれ変われるのかな?>
世界が変わって行く。
魔法なんてなくなってしまった世界に。
<それでも・・・奇跡は起こせるんだよね?>
消え去った空の電解層。
消えて行く闇の世界。
消えて行く神々の力。
そして魔鋼の力も。
<ケラウノス>は発動した。
人類を殲滅する悪魔の機械が。
唯、滅ぼされたのは誤った世界。
繰り返される消滅は幻を与え続けた大魔王を打ち倒し、
新たな希望を宿らせた・・・人類へと。
世界は終わる・・・始りへと向かって。
新たな時代と、新たな希望を描く為に・・・
紡がれ続ける世界
繋がる人の命・・・そして。
光の記憶は世界を導く。
魔砲力が消えた世界で・・・人類は平和を手に入れられたのか?
ミハルとリーン・・・再び別れる事になってしまう。
だが・・・ミハルは諦めない。
永遠を手に入れた女神は強き心で目指す・・・
永遠の愛を知った女神は求め続ける・・・
残された者達はそれぞれの生きる道を選んだ。
世界が変わろうと、生きる力を手にした者達は希望を求める・・・
次回 魔砲少女 ミハル 永遠に紡がれる物語 Together Forever
NEW HOPE<エピローグ> 1
君達は少女の記憶を忘れはしない・・・生きる道をこれからも歩み続けて





夏休みのオトモ企画 検索ページ