魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep2伝説の魔女と皇女Act3魔法の代償は食べ物なんですっ!
ミハルはリーン大尉が語る伝説に心を躍らせた。
皇族にだけ伝わる<双璧の魔女>の伝説。
その真実の物語を・・・
(注・さば・)この辺りからほのぼの出来ます。少しの間戦闘から離れてごゆっくり御寛ぎ下さい。
空に浮かぶ少女が呼びかける。
「諦めたら全てが終わる。
諦めたら護る事が出来なくなるからっ!」
少女はリインを囲むロッソアの兵士達へ紅き瞳を向けて。
「その娘から離れなさい。さもなくば・・・」
そう言って眼を細める。
「なっ何を言う。そんな脅しに誰がっ!」
敵将が少女を見上げて強がるが。
「この神官巫女、ミコトがお相手致しますっ!」
槍を手にした少女がリインの前に降り立った。
「あ、あなた?もしかして魔女なの?」
リインが少女を見詰めて訊く。
「あははっ、魔女か。そうとも呼べるかもね!」
リインの前に降り立った少女ミコトが、槍を構えて鋭い視線をロッソア兵に向ける。
「なんだクソガキ。歯向かう気か!」
ロッソアの将がミコトを小馬鹿にして笑う。
「あー。言っちゃ駄目な事を言ったな。糞餓鬼呼ばわりしたなぁ!」
ミコトの手にした槍が光を放ち出す。
ー この娘が手にしているランスが、輝き出した?!
リインが驚き呆然として見ていると。
「ねえ。あなたを助けたら、ご飯食べさせてくれる?」
突然ミコトが後ろに居るリインに訊いてきた。
「え?ご飯?・・・いいわ。いくらでも食べさせてあげるわ」
リインがミコトに承諾すると、
「オッケ!これで契約は成立したね」
リインに頷き、ニコリと笑い掛けたミコトが。
「だったら。さっさっと固唾けてご飯を食べようっ!」
手にした槍を掲げ持ち魔呪文を唱えた。
「聖魔魂!力よ我が手に!」
ミコトの右手に填めた宝珠が蒼く輝き、掲げた槍にその輝きが移る。
輝きを放つ槍がぐんぐん長く伸びる。
その長大な槍を見たロッソア兵達は驚き騒ぎ始める。
「まっ魔女だ!悪魔だっ!」
腰を抜かさんばかりに驚き、逃げ出す者まで現れる。
「まっ待て!逃げるなっ!」
ロッソアの将は浮き足立つ兵を止めようとするが、
「あら、あなたは逃げないの?ロッソアの将さん」
ミコトは全身を蒼き光に染めて、睨み付けた。
「くっくそっ!魔女ごときに逃げて堪るか」
ロッソアの将と数名の兵がミコトに剣を抜き放ち襲い掛かる。
「そう。ならば仕方ないね。ちょっと痛い思いをしてもらうからね!」
ミコトは手にした長い槍を軽々と振って、
「疾風扇!」
光の槍から強烈な疾風を放った。
その疾風に巻き込まれた兵士達は高々と上空に飛ばされて、地面に叩きつけられて気を失った。
一人残ったロッソアの将に槍を突きつけると。
「あなたも喰らってみる?ロッソアの将よ!」
ミコトは鋭い視線を向けて槍を構える。
「う。あ。くっ!ここは退く。退くから許してくれぇっ!」
そう言うと、慌てて逃げ出すロッソアの将。
「始めから逃げておけばいいものを・・・つまらない男ね!」
ミコトはそう言うとリインに振り返り。
「あ。悪い人達は逃げちゃったから。
もう大丈夫だよ。お嬢ちゃん!」
声を掛けて微笑んだ。
「え?う、うん。ありがとう」
リインは自分より歳下に見えるミコトに、
お嬢ちゃんと呼ばれて目を丸くしたが礼を言った。
ミコトは手にした長い槍を元の長さに戻すと共に自分自身の蒼き輝きを消した。
元の銀髪に戻ると、自己紹介を始めた。
「えっと、私はミコト。
あなたは姫様なんでしょ。ロッソアの将が言っていたもの」
にこりとリインに笑い掛けて尋ねた。
リインが立ち上がると、ミコトはリインを見上げる。
リインの方が背が高く歳も上の様に見えた。
「私はフェアリアの王女、リイン・フェアリアル。あなたは?」
ミコトに正式に名乗ると、
「私はね、此処より遠く離れた国から来たミコト。
皇家守護神官戦巫女ミコト。
どうぞ宜しく、リイン姫!」
ミコトは名乗ると、右手を差し出した。
「え、ええ。宜しくね、ミコトさん」
リインとミコトは握手を交わして微笑みあった。
((ぐーーーっ))
ミコトのお腹が鳴って顔を赤くすると・・・
「あははっ、お腹・・・空いてて・・・」
ミコトはヘナヘナと槍にもたれ掛かって座り込んだ。
「それじゃあ、私と一緒に来て。約束だったから、ご飯をご馳走するわ」
リインはへたり込んだミコトに手を差し伸ばす。
ミコトは差し出された手を取ってリインを見上げる。
2人の視線がお互いの顔を見つめ合っていた。
これが<双璧の魔女>と呼ばれる事となる2人の少女の出逢いだった。
「へー。本当の魔女だったのですか?そのミコトっていう女の子は」
ミハルが興味しんしんで物語に聞き入っている。
「うーん。伝説ではそうらしいけど。空を飛ぶって・・・ねえ」
リーンが答えに困って苦笑いを浮かべる。
「まあ、眉唾物って話だな。
今、魔鋼騎士が能力を使えるのも魔鋼機械が開発されたからだからな。
もし魔鋼機械が無ければ魔法力なんて、誰も使う事は無かっただろう」
ユーリも魔女が空を飛ぶ話を信じていない。
ミハルは御伽噺に出て来る魔女を連想しつつ、
魔女と王女の出会いに心がときめいてしまっていた。
「大尉。
そのミコトって、神官巫女だと言われましたよね。
それが本当なら、ミコトは日の本の?」
ミハルが名前から推察して名前の由来を訊ねる。
「まあ、そうなるな。
ミコトって記されてあるだけで、ヤポン人とは書いてはないが」
ユーリはミハルに苦笑いして肯定した。
「だとしたら。
フェアリアまでどうやって来たのでしょうか。女の子一人で陸路を遥々と?」
ミハルはあながち空を飛べるって話は嘘ではないかもしれないなと思った。
「ははは。ミハルは空想好きね。
実際陸路か海路を来たんでしょ。
一人ではなく、何かの使節団と一緒に。
それともミハルと同じ様に移民で名前だけヤポンの名称を使っていただけかもしれない。
だって髪は銀髪だと記されているもの。ヤポン人なら黒髪でしょ?」
リーンがあくまで空を飛ぶ事は伝説の中だけだと思っている。
「そ、そっか。そうですよね。ヤポン人なら黒髪ですものね・・・」
リーンに言われて自分の黒髪を確かめてミハルも納得した。
「まあ、ミコトがどうやってフェアリアに来たのかはいいとして。
その後にどうやって国を救ったかだが・・・」
ユーリが話を進める。
「はい。聞かせてください。ユーリ大尉」
ミハルは眼をキラキラさせて、ユーリの話を聞く。
______________
「うむ。リインを救った魔女だと?この少女が・・・」
王宮の食堂で、フェアリア王・フェアリアルがリイン姫に訊いた。
「はい。とてもそう見えないでしょうけど」
リインの前で机に並んだ食べ物を手当たり次第に口へ運ぶミコトを見て、
「確かに・・・見えんな」
ガツガツと食べるミコトを呆れた様に見る王。
給仕が運んで来た食後のプディングを見たミコトが眼を輝かせる。
「わあっ、おいしそーっ!」
デザートのプディングを一息に口に入れる。
「あああ。ミコト・・・口の周り、クリームでベトベトよ」
見るに見かねたリインがナプキンでミコトの口を拭いてあげても。
「ねえリイン。今のすっごく美味しかった。もっと無い?」
目をキラキラさせたミコトがおねだりする。
リインは額に手を当ててため息混ざりに。
「まだ食べるの?もう5人前位食べたのに・・・」
呆れた様に言う。
「うん、まだまだ入るよ。
何せ、魔砲力を使うとそれに見合った代償が欲しくなるんだよ」
こともなげにミコトはリインに説明した。
「魔力の代償?どう言う事なの?」
リインがもっと詳しく話して欲しがると、
「うん。私達魔砲力を持つ巫女はね・・・って。
魔法の事を私達は<魔砲>って呼んでるんだ。
それで魔砲力を使うとその力に見合った物が必要になるんだよ。
私の場合は食べ物。
私の先輩はお酒。
師匠は・・・あの・・・愛」
ミコトは師匠の処で、顔を赤くした。
「はあ?愛って・・・
まあ、話は解ったわ。
ミコトは魔法を使うと食べ物が欲しくなるのね」
リインはまだ物欲しそうなミコトを見てため息を吐く。
「でも、その体の何処にそんな大量の食べ物が入る訳?」
リインが小柄なミコトを見て不思議がった。
「うん。それは私も謎なんだ。
食べても食べてもお腹が膨れないんだ。
全く、どうなってんだろ?」
ミコト自身も不思議そうに自分のお腹を擦って小首を傾げる。
給仕が運んで来たデザートを更に平らげたミコトが満足げに。
「うっぷ。急にお腹が一杯になった。ごちそうさまでした!」
手を顔の前で合わせてお辞儀すると。
「さて。リインを助けた時の契約はこれにて終了。
私は更に西方に行かなきゃいけないから」
ミコトが立ち上がって槍を手にして立ち去ろうとするのを呼び止めて。
「ねぇ、ミコト。更に西方って、何処を目指して旅をしているの?」
リインが目的地を訊く。
「うんっ西方浄土。
お釈迦様が居られる印度って所だよ。
其処に言って経典を持ち帰るのが帝からの命令だから」
ミコトはリインに振り返って言った。
リインは目を点の様にして訊き直した。
「あ、あの、ミコト。ここがどこだか解っているの?」
「え?フェアリアって国でしょ。印度の手前にある・・・」
リインは横の王と共に固まる。
「え?ええ?違うの?ここって印度の途中にある国じゃないの?」
2人の様子から自分がとんでもない失敗をしている事に気付いたミコトが訊く。
「あの、ミコト。印度ってあのインデア?
ロッソアの下の方に有るっていうあのインデア?」
リインが目を点にして訊く。
「お主。物凄い方向違いだぞ」
王も呆れて言う。
「・・・やっちまいましたぁっ!」
ミコトが頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「ど、ど・・どうしようっ!あああっ、また師匠に怒られるっ!
ぜっ、絶対今度はおしり百叩きだ。あわわっ!」
ミコトは顔を真っ青にして頭を抱える。
「あの・・・ミコト?」
リインが頭を抱えてブツブツ呟くミコトに声を掛ける。
「あっ!そうだっ!その手があった!」
突然ミコトが立ち上がってリインに縋り付くように訊ねた。
「ねえっリイン。
困った事ない?
お願いしたい事はない?
あるよね!ねっ!ねっ?!」
リインの手を取って迫ってくる。
「はあ。あるにはあるけど・・・何で?」
リインが戸惑ってミコトを見詰める。
「リインは知らないだろうけど、
師匠のおしり百叩きは死ぬより痛くて辛いんだよ!
あんなの喰らうと思ったら逃げ出したいよ。
でも、絶対無理なんだ。
絶対追い掛けて来る!
だから困った人を助ける善行をしていた事にすれば、
デコピン位で許して貰えると思うんだ!
お願いだよリイン。
私と再契約して!助けると思って、この通りっ!」
ミコトはリインに頭を下げてお願いした。
「うーーん。よく判らないけど。ミコト、困ってる?」
リインは悪戯っぽく笑った。
「はいいっ!困ってますっ、すっごく困ってるんですぅっ!」
ミコトは涙目でリインを見て両手を合わせてお願いする。
「ふーーんっ、困ってるんだ(笑)」
リインは更に悪戯っぽく笑いながら。
「困っている時はお互い様って言うからね。
解ったわ、私を助けて貰いましょうか。魔法使いのミコトさん」
指をビシッとミコトに向けて言い放った時。
((ポゥッ))
ミコトに向けたリインの指先に、青白い魔法陣が現れる。
ミハルが聞く物語。
ユーリ大尉が脚色を加えたと言うが、心惹かれて聞き入る。
2人の魔法使いの物語。
東の国から来たと言う、魔砲少女ミコト。
フェアリアの王女リイン。
ミコトの導きでリインは魔法を使える様になる。
次回 2人で魔法を使いましょ!
・・・次回もどっちだ?(やけくそ)





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