魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act28望郷 Part4
「全員揃いましたっ!」
先任下士官のラミルが敬礼する。
「うん・・・判りました。」
答礼したリーンが壇上から皆を見廻す。
制服をキリリと着た全員が見詰める中、リーンの緊張した声が響いた。
「皆、良く聴いて。
昨晩、極秘電を入電したの。
そこには3月X日・・・まだ日は伏せられているけど。
今月中には終戦を迎える事となった・・・。」
皆の顔色を伺おうと、リーンが言葉を切った。
誰も彼も何も言わずに、じっとリーンの顔を見詰めている。
皆の表情を伺ったリーンの方が戸惑う位、全員の顔色は何一つ変わっちゃいない。
「コホン。
そこで当隊は、命令を受けた訳ではないが解隊する事とする。
皆は故郷へ還るも良し、行きたい所へ行って宜しい。
各通行許可証を作成するから、希望する者は先任下士に申告する様に。」
咳払いしてからリーンが、解隊する事を知らせる。
命令を黙って聴いている部下達の表情が何も変わらないのに、
逆に戸惑ってしまうリーンが解散を命じた。
「皆、行きたい所が決まったら早めに提出してね。
私は皇都へ行かなくてはならないの。
お願いしますね・・・では、ひらけ。」
そう告げて壇上から降りるリーンに代り、壇下で控えていたミハルが皆に告げる。
「この用紙に希望する許可証名を記入して先任下士官の処まで持って来てください。」
少尉のミハルが、一人独りに直接手渡していく。
それが最後の勤めだからと言わんばかりに。
手渡された誰もが、ミハルの顔を見て頷く。
「総員に配り終えました、隊長。」
ミハルが待っていたリーンに告げる。
「うん・・・では、解散。」
口数少なく、リーンが達する。
皆が思い思いに散らばり、ある者は仲の善い友と、ある者は独りで考えていた。
リーンとミハルは、その光景を見てから、
「では、ラミル。後で纏めてから持って来てね。」
一言頼んでから指揮官室に向った。
「みんな、あまり驚かなかったなぁ。ルマ達が話していたのかしら。」
リーンが終戦を告げても反応が無かった事を口にした。
「うん・・・でもリーン。
皆、肌で感じていたのじゃあないかな。
尊い犠牲を払って、勝ち取った平和を。」
ミハルが自分も終戦を告げられる前に感じていた想いを話す。
「確かにそうかも知れないね。
激しい戦いの末に感じていたのかも知れない。
もう闘いは終ったのだと・・・。
どちらの国も戦争を続けていく意味を失っている事を。」
リーンも皆と想いは同じなのだと話す。
「さて、私達は皇都へ向けて旅立ちの準備を始めましょうか。
ここへ戻ってくる事も、もうないでしょうから。
荷物を纏めておきましょう、何も手落ちが無い様に。」
「うん・・・そうだね。
でも、リーン、私なんて用務ザック一つで事足りるけど、リーンは・・・。」
指揮官室を見廻して、どのくらいあるのか判らないリーンの私物に気を回す。
「えへへ、ミハル大丈夫だよ。
私も公用鞄一つで纏めるから。他の私物は皆捨てていくから。」
「えっ!でもリーンは皇女様なのだから確か衣装箱だけでも相当な量があったような・・・。」
リーンが捨てると言う私物の量を思って、ミハルが慌てる。
「いいのよ、ミハル。
服に想いがあるのは3着位だから。
この制服と、昔の服位な物だから。」
身支度は要らないとリーンが笑う。
「だって皇都に行ったら、何が待っているのか解らないのよ。
身軽な方がいいし、大そうに運ぶのも手間が懸かるから。
それに時間を費やすヒマもないし・・・ね。」
リーンが笑ってミハルに教える。
一刻も早く皇都へ出向いて真実を知ろうと。
「リーン・・・ありがとう。私達姉弟の為に手を尽くしてくれて。」
「何言っているのよミハル。
私もこの国も、シマダ夫妻を取り戻さねば恩を仇で返す様なものなのよ。
これはフェアリア全体の問題なのだと解って欲しいの。
きっとユーリ姉様も同じ様に想ってくれている筈だから。」
リーンがミハル達姉弟だけの問題では無いと、
これは国家が内外に知らしめる重要な案件なのだと教える。
「特に・・・友邦ヤポンには・・・ね。」
リーンがミハル達の父母、シマダ夫妻を技術援助の為に派遣してくれた日の本に対して、
申し訳が立たないと思っているようだった。
「ヤポン・・・あの極大魔鋼弾みたいな危険な兵器を送り付けて来る様な国に対して?」
ミハルがポツリと訊いた。
自分が最も良く知っている、悪魔の兵器を送ってくるような国に対して、
どうしてそこまで気を使うのか、問い質してみたくなったのだ。
ミハルは聴きたかった。
何故そこまで日の本を擁護するのか。
どうしてリーンは全ての責めを背負うというのか・・・と。
次回 望郷 Part5
君は愛する人が話す真実の心を知りたかった・・・





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