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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act12報願 前編

MMT-8は力尽きた様に停まっている。

その命を使い果したように・・・。

「うわあああっ!」


ミリアの叫びが、大地を揺るがさんばかりに響き渡る。


「軍曹っ!機銃で援護します!少尉をっ!」


アルムが射撃ハンドルを握り、辺りを警戒する。


「よしっ、3人共。敵が来たら銃撃しろ!私が少尉を連れ出すっ!」


ミリアがアルム、ルーン、タルトに命じる。

そしてジープから飛び降りながら、対戦車破甲砲バズーカを投げ捨てる。


「少尉!ミハル少尉!ミハル先輩っ!」


呼びかけながら、キューポラの中を確認する。


「ミ ハ ル 先輩っ!」


砲尾の傍で眠る様に倒れているミハルを見つけ、

キューポラから飛び降りる。


「センパイっ!ミハル先輩!」


揺り動かし、気付かせようとする。

だが、直ぐに気付いた。


「セ・・・セン・・・パイ?ミハルセンパイ?

 なぜ?どうして息をしているのに眼を開いてくれないのですか!?」


その時、外で待機しているジープが発砲した。


「センパイ・・・戻りましょう・・・皆の処へ。」


ミハルを担いだミリアが脱出を計る。


挿絵(By みてみん)


「軍曹っ!早くっ、敵に見つかりましたっ!

 急いでここから離れましょうっ!」


ルーンが機銃弾を込めながら叫ぶ。


「解った。タルト、少しでも味方へ。

 リーン大尉の元へ近寄せろ。」


ミリアはミハルを抱締め、ジープの後部に座る。


「了解!全力で逃げます。掴まっててください!」


タルトが発進させた後に、砲弾が炸裂した。


「ちいっ!味方を探しあぐねてた奴等か!随分居やがるな!」


ルーンが弾を込めながらアルムに言った。


「うん。私達が・・・ミハル少尉が倒した奴等と同じ位居るね。」


ミリアは後方を振り返って追ってくる戦車を見た。


ーああ、そうか。

 作戦は完全に成功したんだな。

 リーン大尉の方へは一両も行かなかったんだ・・・。

 やりましたね、ミハルセンパイ・・・。-


瞳を再びミハルに移して思った。


「くっ!振り切れないぞ。奴等は軽戦車か。早いな!」


タルトがバックミラーで確認して罵る。


「あの丘を越えてしまえばMHT-7の直接照準範囲に入れる。そこまで頑張れっ!」


ミリアの求めにタルトが頷き応えた。


「いいか!5人で還るんだ!何が何でもっ!」


ミリアが3人に命じる。

ルーンとアルムが機銃を放ち、牽制の弾幕を張る。

タルトが射弾の回避を全速力でとる。

その度に車体は激しく揺れ、ミリアがミハルを押さえ抱える。


「敵 発砲!」


<ガガン ダダン バガン>


遠近至近弾、それでも命中弾は喰らわずに済んだ。


「畜生っ!やられっぱなしかよっ!」


アルムが叫んだ。


<ヒュンッ>


赤い曳光弾が、自分達の頭上を飛び越えて、


< バ ガ -ー ン >


追って来た軽戦車の砲塔を噴き飛ばし、その貫通した弾は斜め後方のもう一台をも叩き割った。


「な?  に?」


ミリアが曳光弾が放たれたと思う地点に目を向けると、


「リーン大尉!マモル君!」


現れた重戦車の前面装甲に碧く輝く紋章が。

MHT-7は、既に魔鋼騎状態となっていた。


<ズドオオオムッ>


その砲身から次なる矢が放たれ、命中弾を喰らった軽戦車が爆発する。

丘を越えてリーン車が現れた。

それを見たミリアが叫ぶ。


「リーン大尉!敵に囲まれてしまう!

 退がって!ミハル先輩の気持ちを忘れては駄目ですっ!」


そう叫んでしまったミリアの瞳に、信じられない物が・・・。


「う・・・そ・・・何故今頃・・・。」


MHT-7の後方には、新型の中戦車パンターの姿が・・・。

それも、紋章付きの。


「なぜ、もう少し早く・・・。ちくしょうっ!」


ミリアの瞳から涙が溢れ、止まらなかった。



________________


リーン達が見守る先で、戦車戦は終焉を告げたのか・・・。


「ミっミハル!まさか!?」


リーン達の前で光っていた砲火が止んだ。


「そんな・・・ミハル姉がやられる訳がない。

 勝ったんでしょ。ミハル姉は敵を全部やっつけたんでしょ!」


ルマがマモルに呼びかける。

だが、マモルの口から出た一言は。


「ルマ・・・ミハル姉さんからの通信が途絶えた。

  ・・・呼んでも返事してくれない・・・。」


ポツリと返す、信じられない一言。


「う・・・そ・・・だ・・・。」


リーンが瞳を曇らせる。


「大尉!もう我慢の限界ですっ。すみません命令を無視させて貰いますっ!」


ラミルがギアと入れ、アクセルを踏む。


「待って下さい、ラミルさん・・・今、通信が・・・。」


ルマがヘッドフォンを押えてラミルを停める。


「うるさいっ!私はミハルを助けるんだっ邪魔するな!」


ラミルは停めるルマに怒鳴り、構わず発進させる。


「リーン大尉!後方より味方近付く。増援部隊ですっ!」


ルマがキューポラを見上げて叫んだ。


「何で?何で今頃っ!」


リーンが半身を乗り出して後方から近付く部隊を睨む。

そこにはパンター中戦車2個中隊の姿が・・・。


「今頃・・・ミハルはたった一両で闘ったというのに!」


近付くパンター中隊から視線を戻し、


「ルマ!奴等に続く様に命令してっ!今からミハルを助けに行く!

 総員対戦車戦闘用意!

 パロンっ魔鋼機械発動っ!」


リーンの決断で戦闘は全く違う闘いへと向かう。

丘を越えた所で一台のロッソア軍のジープがこちらに向かってくるのが見えた。


「偵察に来たのか?ルマ、前方機銃の用意にかかれよ!」


マモルが同軸機銃のボルトを引いて、ルマにも機銃戦の用意をさせる。


「待って!あれは・・・タルト兵長っ!」

「なにっ!?」


ルマの声にラミルが確認する。


「本当だ!タルトもアルムも、ルーンも見える。ミリアとミハルは?」


ラミルがペリスコープで見たジープに3人の少女の姿が見えた。


「3人以外は見えないの?ミハルは?ミリアは?」


リーンが双眼鏡で確認しようとすると、ジープの周りに着弾光が・・・。


「狙われているっ。敵は?」

「居ましたっ、軽戦車6両!援護射撃の命令を!」


マモルが砲側照準で狙う。


「許可するっ。マモル君っ撃てぇっ!」


即座にリーンが発砲を命じた。


<グオオオオォンッ>


軽戦車に対して127ミリ魔鋼弾は、勿体無きに過ぎるが、構わずマモルは撃った。


狙われた軽戦車が噴き飛んで行く。


「早く来い。こっちだ!早く早くっ!」


ラミルが全速力で迎えに行く。

そしてどうにか敵弾を喰らわずに、ジープが入れ違いに後方へと走り抜けて行った。


「あっ!ミリアさん!・・・ミハル?姉?」


すれ違い様に照準器に入ったジープの後部に、

ミリアがミハルを庇うように抱いている姿が見えた。


「リーン大尉っ!ミリアさんとミハル姉さんも乗っていました!」


マモルがキューポラに振り返って、リーンに知らせ様と見上げた。


ーリーン大尉?-


キューポラのリーンは走り去るジープを目で追っていたが。


<ガシャン>


手に持っていた双眼鏡を取り落とした。


「大尉?」


マモルが呼びかけても、リーンは反応を返さない。


「大尉!リーン大尉っ!引き返しますっいいですねっ!?」


ラミルが大声でリーンを呼んだ。


漸く我に返ったリーンが叫ぶ。


「ラミルっ、急いで!ミハルが・・・。ミハルが倒れていた!

 ミリアに抱かれて・・・倒れていた!」


顔面蒼白のリーンが言った。


<ギュララララ・・・>


ラミルが全速力で方向転換し、ジープを追って後方へと退がる。


ミリアは辿り着いた陣地で、ミハルをジープから降ろす。

そっと横たえたその身体にしがみ付いて泣いた・・・只、泣いた。


次回 報願 後編

君はどうなったというのか・・・その魂は今・・・?

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