魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act10霞む瞳
「ミハル・・・お前の願い・・・確かに受け取った。
さあ、早く・・・先ずは作戦とやらを終らせるのだ。」
「えっ・・・うん・・・。」
毛玉が姿を変えてくれないので、寂しそうに頷くミハル。
「その後でお前に見せたい者がある。」
毛玉が振り向いて、そう告げた。
「モノ?」
ミハルの問いに答えず、
「さあ!急ぐんだミハルっ。もう時間がないぞ!」
毛玉は前方に迫る残存戦車を見て教えた。
「でも4発で7両を倒すのは難しいな。その内2発が榴弾だもの。」
「ミハル忘れているだろ。
倒さなくてもいいじゃないか。
作戦を終えれば彼女達が迎えに来てくれるさ。」
「え?う、うん。」
ミハルは戸惑った。
ルシファーの言葉使いに。
今迄上から目線な言葉ばかり吐いていた毛玉が、急に親しみを覚える声色になったのを。
「さあ、それまで保たなければ。
ミハルの魂と漏れ出る燃料を。」
「解った・・・やってみるよ。」
近場に迫る7両を見据えて、ミハルが答えた。
「ルシ・・・ちゃん。他に敵戦車は近付いて来ないかな。」
「ふむ。探った処、60両程居るが・・・。
近付いては来んな。どうやら砲撃を加えているリーン達を探しているようだ。」
「それなら尚の事、早く目的を果さないと。
敵がリーン達に向って行っちゃうかも。」
ミハルが心配する。
「そうだな、それもそうだが。
先ずは目の前の7両からどう避け続け、倒すかを優先したらどうだ?」
毛玉が心配するより目の前に迫る中戦車に、意識を集中させろと言う。
「そうだね。此処まで来て壊されるのは嫌だもの。ね・・・ルシファー。」
毛玉がビクンと跳ねる。
「よ、よしっ、ミハルっ。弾のある間は敵を撃て。
無くなった時は、無くなった時だ。」
「うん。少しでも長く居られる様にガンバル。」
ミハルと毛玉が共に闘う。
「ミハル・・・もう魂に同化しないぞ。」
「え?どうして?」
「・・・。もし、その時が来たら、術を放たなくてはならない。
一瞬の判断の遅れが、ミハルの魂を肉体へ戻すタイミングを失ってしまいかねないからな。」
「そうなんだ・・・仕方ないね。」
ミハルが少し不安げに答える。
「魂同志を同化していたら術を放つにもミハルの魂を使わねばならない。
一瞬の遅れが術を失敗に導く可能性がある。
ここはミハルの力で闘ってくれ。
余は、護る事に専念する。」
「うん・・・じゃ、守護していて。私が動かすから。」
「よしっ。行けミハル!」
7両に向かうマチハを操るミハル。
再びミハルの魂から出て、毛玉と化しミハルを守るルシファー。
2人の絆は固く結ばれていた。
_________
「ミハル姉さん!後何両だ?もうこちらも榴弾が尽きた。
徹甲弾で攻撃するから燃料車より弾薬運搬車に目標を変更してっ!」
マモルが無線に呼びかける。
「う・・・うん・・・マモル・・・頼む・・・から・・・ね。」
苦しそうな声が聞こえる。
「姉さんっ!まだ僕達は此処で待たないと駄目なの?
突っ込んでは駄目なの?」
マモルの心配をする声が響く。
「マ・・・モ・・・ル・・・来ては・・・駄目。
敵は・・・まだ・・・60両も居る・・・から。」
「まさか姉さんは一人でその相手を?」
マモルが叫ぶ。
「ううん・・・私は7両を相手にしているだけ・・・心配・・・しないで・・・。」
マモルの顔色が青くなる。
「え?7両・・・さっきから6両減っている。
姉さん一人で倒したの?」
「うん・・・でも・・・もう・・・弾が・・・無いの・・・。」
ミハルの声が一層辛そうに聞こえた。
「姉さんっ、もういい。逃げてっ!」
「駄目・・・だよ。
逃げれない・・・今逃げては、今迄の事が無駄に・・・なっちゃうよ。
今、還る事は出来ない・・・よ。」
ミハルの声に、マモルが必死に頼む。
「だったらミハル姉さんを攻撃している奴等の場所を教えて。
ここから撃ってあげる、倒してあげるから!」
マモルが叫び、助けると言い張る。
「マモル・・・ありがとう・・・でも、作戦を終らせる方が優先。
勝つのが何よりも私の願いだから。
この国を守る為に闘う・・・私の願いだから。」
「姉さんっ!」
「マモル・・・後少し、燃料車を攻撃して。
弾薬車は分散しているから。
効果が薄い・・・燃料車は3分の2を破壊出来ているから・・・。」
「でも、徹甲弾では火が着かないよ。」
マモルが威力が在り過ぎて穴が開くだけだと思ってそう言った。
「いいの・・・火がつかなくても、穴さえ開けれれば。
燃料を失わせる事さえ出来れば・・・それでいいの。」
ミハルの言葉に納得したマモルが訊く。
「後何両叩けば、姉さんを助けに行っていいの?」
「来ては駄目・・・嬉しいけど。
私が還るまで、そこで待っていて。」
「姉さんっ!」
マモルの声にもうミハルは答えず、敵の位置だけを知らせてくる。
マモルは必死に助けに行きたい心を抑え、耐え忍び砲撃を続けた。
ーうあっ・・・もう、眼が霞んできた。
これじゃあ近寄らないと当てられないかも・・・。-
砲塔を旋回させ狙いを付けるが、照準器がぼやけて見え狙いが定まらなくなってきていた。
<ガギインッ>
また一弾がミハルの服を引き裂く。
「漏れている燃料に引火すれば、いっかんの終わり・・・ね。」
車体を捻らせ、射撃を回避させつつ敵に少しでも近付こうと走らせる。
その時。
「ミ ハ ルっ 左 だ !」
敵の弾を喰らい、動きが鈍くなる中、
ミハルはそれでも闘った・・・約束を果たす為。
次回 心の微笑み 前編
君は最期瞬間まで闘い、諦めなかった。
その結末がどうであろうと・・・





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