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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act4抗う訳

挿絵(By みてみん)


敵輸送部隊に殴り込みをかけるMMT-8。

ミハル達の闘いが始まる。

「リーン大尉!敵の無線が混乱し始めました!」


ルマが叫ぶ。


「始まったのね!ミハルからの情報を注意して!

 全車に射撃用意を命じて!


リーンが指示を飛ばす。


「リーン大尉っ、発砲の許可を!」


マモルが射撃態勢で指示を仰いだ。


「よしっ、攻撃開始っ。

 ミハルの目標に対して発砲の許可をします。」

「大尉、今少し前進させて下さい。

 ここからでは距離が有り過ぎますっ!」


ラミルが前進の許可を求める。


「解ったわ、敵の砲撃の死角まで、あの丘まで前進っ。

 後に続く車両にも命令っ。全車横陣を作り、一斉射撃の準備っ!」

「了解っ!」


リーンの命令に全員が答える。


ーミハルっ無茶だけはやめて。必ず無事に還ってくるのよ。-


リーンは作戦の事より、ミハルの身を案じていた。

死地へ赴いた、最愛の人を想って。



___________

「突入っ!ルーン攻撃始めっ目標ガソリンローリー車っ!

 榴弾っ、火災を起こさせてっ!」


「榴弾装填完了っ。射撃準備よしっ!」

「目標捕捉!撃ちますっ!」


今、ミハル達MMT-8は、目前に迫る車列へと攻撃を開始せんとしていた。


ーリーン。私の闘いを見ていて。あなたを守る私の闘いを。-


ミハルは一瞬だけ、リーンの事を想ったが、


「戦闘!対敵車両っ攻撃始め。撃てっ!」


ルーンに射撃命令を下した。


<グオオオッン>


75ミリ砲が火を噴いた。


これが後の世に語り継がれる事となる伝説の闘いの幕開けとなる。

たった一両の中戦車が成し遂げる事となる伝説の戦い。


<ドゴォオーンッ>


一台のタンクローリーが、爆発炎上する。

慌てて対戦車砲を用意する者。

逃げる車両。

逃げる兵士達。


奇襲を喰らったロッソアの軍は、まさか単騎での攻撃とは思わず、

ミハル達MMT-8以外の車両を怯え、応戦もせず逃げ惑う。


「よしっ、次は弾薬運搬車らしきトラックを狙う。

 ルーンっ続いて炎上中のローリー車の奥に居るトラックを撃て!」


ミハルの命令に空かさずルーンが狙いをつける。


「目標確認っ射撃用意よしっ!」

「よしっ、撃てっ!」


間髪を入れずミハルが命じる。


<ドグオンッ>

<バガーンッ>


命中。

トラックは命中弾を喰らうと消し跳んだ。


「アルムっ!リーン大尉に指示して。目標は燃料運搬車っ。

 目標地点を正確に知らせてあげて!」

「車長っ、了解!」


リーンへの連絡を命じ、ミハルは辺りを見回す。


ー敵が突入して来た車両が私達だけって気付けば反撃してくるのは間違いない。何処から来る?-


延々と続く補給車両の列を見回しながら気付いた。

逃げる車両の奥から砂煙が、此方へ向って来ているのを。


ー来たわね。さて、相手は何?

 出来れば重戦車は願い下げなんだけど。-


気付いたミハルが、その方行に注視していると。


「ミハル少尉!奇襲は成功しましたね。

 後はどんな奴等が応戦してくるか・・・ですね。」


ミリアがミハルの気が解っているかの様に、訊いて来た。


「ええ。そうね、もうこちらへ向ってきている。後少しで会敵するでしょう。」


ミハルの瞳が紅く染まり出す。


「そうですか。では私達も寄せ来る者共を撃ち払って留まらねばなりませんね。

 リーン大尉が目的を遂げるまで。」


ミリアが左手のグローブを填め直す。


「うん、ミリア。ここからが本当の戦い。

 私達の未来を賭けた本当の闘いなのだから。」


ミハルの言葉に黙ってミリアは頷いた。


「ミリア・・・魔鋼機械始動っ!魔鋼騎戦用意!」


ミハルの号令でミリアが発動ボタンを叩き込む。


<ブオンッ>


車体が揺れる。

車体が変わる。


砲身が88ミリに太く、そして長くなる。

車体装甲が厚くなる。

車重が増える。

エンジンが強力になる。

サスペンションが耐圧に耐えられる位太くなる。


<シュオオオオンッ>


魔鋼機械が高速回転を続ける。


「ルシちゃん。闘うよ私・・・いいよね。」


ミハルが力を求めて願う。


<ポウッ>


胸の紋章が浮き出て赤い毛玉となる。


「ミハル・・・今はもう余も覚悟を決めておる。

 そなたが思う通りに闘え。敵に抗え。

 そして約束を果せ。友を護る事を。

 余は、そなたと共にある。」


大きな目玉をギョロつかせ、ミハルを見詰めた。


「うん。ルシちゃん・・・絶対約束を果そうね。」


ミハルは紅い毛玉を手に載せ、そっと握る。


<パアッ>


力の奔流が、ミハルを包む。

ミハルは瞳を閉じ、力を感じる。


ー絶対・・・約束を守る。絶対諦めない。-


<光と闇を抱く者>としての力。

その力を解放するかの様に、力強く目を見開く。

ミハルの瞳が澄んだ紅に変わっていた。


「ミハル少尉っ!敵がっ車列の向こうから現れました!

 見える限りの大部隊ですっ!」


タルトがペリスコープを最大望遠にして叫ぶ。


「タルト!叫ばなくても解っている。

 私と車長には全て解っていたから。」


先任軍曹のミリアが怒鳴る。


「ミハル少尉と共に闘える事を誇りと思いなさい。

 私達が少尉と一緒に居られる事を神に感謝しなさい。」


そこまで一気に話すとミリアはキューポラのミハルを見て微笑んだ。


「さあ先輩。我々の闘いを始めましょう。

 友を護り、友を救う我々の闘いを!」


ミリアは永く共に闘い続けて来たミハルを慕い、

そして愛してまない心で、手を指し伸ばす。


「ミリア・・・・。」


差し出された手をしっかりと握り、ミハルが微笑む。


「そうよ。私達は闘うの。

 約束を守る為、友と一緒に生き続ける願いの為に。

 絶対に諦めない強い心で!」


ミハルの言葉を全員が心に焼き付ける。


「了解っ!」


心を一つに、全員が応えた。


「さあ!行こう。永遠に語り継がれる伝説へと。私達の伝説へと。」


ミハルが命じる。


「戦車前へ!戦闘っ対戦車戦!

 魔鋼弾装填っ、群がる敵へ突撃っ!」


ミハルは砂煙を上げて突撃して来る敵戦車部隊へ向けて突入を図った。



<グオオーンッ>

<ドオーンッ>


10センチ砲と、75ミリ砲が射撃を繰り返す。


「どう?今迄でどの位の戦果があがったの?」


リーンが双眼鏡を離してルマに訊く。


「2号車からの連絡ではまだ30台位しか撃破出来ていない模様です。

 約十分の一位ですかね。」


ルマの声がヘッドフォンから流れる。


「ふむ、マモル君が当ててくれているから何とか戦果を上げられているけど。

 他の車両には荷が重いのかしらね。」

「リーン大尉?どうします、もっと近寄りますか?」


ラミルが前進するか伺うが、


「駄目よ。この丘を越えてしまえば敵の射程に入る。

 そんな事をすれば、折角ミハルが身を挺して私達を守ってくれたのを裏切る事になる。」


そう言ったリーンは辛そうに俯いてしまった。


「ミハル・・・アイツ・・・闘っているんだな。ミリア達と共に。

    たった・・・一両で・・・。」


<ビクンッ>


ラミルが呟いた言葉にリーンは身体を震わせる。


ーミハル・・・。どうか無事に還って来て。-


リーンは唯一つの願いを神に祈る。


「ミハル姉さん。どうか・・・無事でいて。」


マモルの声に、自分一人が願っている訳では無い事を悟る。


「みんな・・・。」


敵陣を見詰める全員が想うは唯一つ。


ー生きて・・・還って来て。-



リーン達の前方で、爆発煙と発砲光がひっきりなしに続いていた。


それは敵に抗う者が、未だ居る証。


その光の一つが間違いなくミハル達の乗る車両からの物と皆が信じていた。



なぜ・・・抗う?

なぜ・・・闘い続ける?


その理由は唯一つ。


友を護り、約束を果たす為・・・。

闘いの中、群がる敵に弾を放ち続けるMMT-8。

たった一両で闘うのには限界があった。

その理由は一つ。

無敵の装甲を持ってはいても、

弾が足りなくなれば闘う事は出来ない。

ミハルは決断を迫られる・・・。

次回 非情の選択

君は最後の最期まで闘うのか?弾が尽きたとしても・・・

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