魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep3破談Act14帰還(後編)
突入する6輪装甲車!続くMHT-7!
ミハルを救う為、マジカがリンが制止を振り切り射撃を開始する。
急げ!極大魔鋼弾は発射の時を迎えているぞ!
「ひゃっほーぅっ、邪魔する奴は怪我するぞー!」
建物を6輪装甲車が打ち破る。
<ズドムッ>
20ミリ砲が穴を開ける。
「リン!此方には皇女様が居るんだ。我は<官軍>だ!」
マジカが叫ぶ。
「了解!<我に敵するは、皆、賊軍なり!>ですね!!」
・・・。
「あああっ、2人供滅茶苦茶よぉっ!」
車内で3人が叫びあう。
「ユーリ!目標は何処?何処にあの娘は居るのっ?」
マジカが全周囲モニターを睨んで聞く。
「ええ!あの奥に兵器があるわ!」
ユーリが指差す建物を確認して、
「よしっ、リン!何としても止めるわよ!全速前進!突っ込めぇ!」
早、どちらが賊かは、言わずもがな。
「何だと!ゲリラの襲撃?」
発射指揮官が叫ぶ。
「此処を狙ってくるとは!参謀長に命令を下すように伝えろ。
もう、待ってはおられんと、知らせろっ!」
目前に迫る装甲車を前にして、慌てふためいていた。
「急げ、ラミルっ!時間が無いぞっ!」
ミコトが突っ込ませる。
「ミコト!2時の方行に4号!」
リーンが守備隊の中戦車を見つけて叫び知らせる。
「マモルっ!お前が撃てっ!」
堪らず砲撃を継承者へ託す。
「はいっ!ミリアさん、徹甲弾をっ!」
「もう、込めてあるっ。撃て!マモル君!」
ミリアが即答する。
「撃てぇっ!」
<ズッドーームッ>
88ミリ砲弾が4号に飛ぶ。
<バガッ>
鈍い音と共に、4号の砲身がへし折れた。
「よしっ、これでもう闘えないっ!」
マモルは何と、砲身を狙って当てたのだ。
「いいぞ、マモル君。その調子で邪魔する奴は叩きのめせ!」
ラミルが突撃を再開する。
「オラ、オラオラ!邪魔すんな!」
<ドドドドッドドッ>
前方機銃を乱射して、ルマも叫んだ。
「はははっ。これじゃあ、どちらが正義か解らんな。・・・リイン。」
マモルの口からミコトが話すが、リインは返事を返さなかった。
「ミハル・・・もう直ぐ。もう直ぐだからね。」
救うべき人の名を呼んでいた。
いつの間にかリーンが身体を支配しているようだ。
______________
「馬鹿な。ユーリ皇女が発射に反対しているだと?」
「そうです、認めないと仰られています。」
電話口で射撃指揮官が参謀長に判断を仰いだ。
「ふん。今更遅い。
射撃指揮官、設定は終っているのか?」
ヘスラーが口を歪めて訊く。
「は。魔鋼力の注入以外は全て。」
「何パーセント位、入れられたのだ?」
射撃指揮官はゲージを見て。
「約半分。50パーセント位です。」
「うむ。それだけあれば善いだろう。
目標はゲルドルバに合わせてあるな。」
「照準完了。」
射撃指揮官の報告にヘスラーはニヤリと笑った。
「射撃指揮官に命ずる。攻撃せよ。第1弾・・・発射!」
ヘスラーの命令に答えて、射撃指揮官が、ボタンを押し、
「極大魔鋼弾、発射!」
超特大の砲弾を撃った。
「止めなさいっ、これは皇女フェアリアルの命よ。
直ちに装填を中止、射撃システムを停止させなさいっ!」
ユーリが車上から怒鳴った。
「お待ち下さい。私が此処の指揮官を連れてきますから。暫くお待ちを。」
技術士官が、ユーリを止める。
「待てるものか!マジカ!構わないから打ち壊して!」
車内の2人に、ユーリが命じた。
「うわっ、お待ち下さい。そんな事をすれば、2度と撃てなくなります。」
技術士官の声に、ユーリが叫ぶ。
「ならば、二度と使う事が出来なくしてやろう。
構わんっ!マジカっ撃てっ!」
砲塔が旋回して魔鋼システムに狙いをつけた。
「撃てリン!早く撃てっ!」
<ズドムッ>
<ズドッグオオオームッ>
それは同時に鳴り響いた。
「・・・ハ・・・ル・・・」
ー音が・・・何かの音?-
暗闇の中に、何かの音が流れ込む。
一条の光が暗闇の中へ伸び、黒い魂に光を刺す。
「誰か・・・・誰かが?」
光が貫いた闇に何かが入ろうと、穴を拡げ出した。
「誰?私は此処だよ。」
黒い魂が救いを求める。
「ル・・・ミ・・・ハ・・・ル・・・ミ・・・。」
穴を拡げる者が、呼びかけている。
「誰なの?その声は誰の事を呼んでるの?」
黒い魂は光が差し込み続ける穴を見続ける。
「出て来て。出て来て。」
拡がった穴から、沢山の手が入ってくる。
「出よう。出よう。」
黒い魂は、その手に囲まれ包まれる。
ーあ、温かい。優しい手だ。-
「おいで。おいで。」
ーうん、行こう。連れ出して。-
光の差し込む穴から手に包まれ、黒い魂が連れ出される。
ーああ、温かい。明るい・・・。-
黒い魂の周りには、光り輝く魂達が居た。
「危なかったね。善く留まってくれたね。」
「ホントにもう。あの時止めたのに聴いてくれなかったから・・・。」
「本気で心配したんだぞ。」
周りの魂が口々に話し掛けてくる。
「あ、あの。あなた達は?」
黒い魂が戸惑う。
どこかで聞いた事がある気はするのだが・・・。
「あっそうか。もう少しで<無>になる所だったんだもんね。
今は、記憶が無くなっているんだね。」
「そうだなアルミーア。でも、元へ戻れば大丈夫だろうさ。」
「そうですよね、タームさん。バスクッチ少尉。」
光の魂が黒い魂を囲んで笑いあった。
「あの・・・元へ戻るって・・・私は一体何処の誰なのでしょう。
知っているのなら教えて頂けませんか?」
黒い魂の周りに集う光の魂が拒んだ。
「ああ。それは駄目だ。君が望んだから、教えられない。」
「そうそう。それだから今、あなたの名を呼べないんだから。」
「でも、ちょっと悔しいかな。あなたが最も欲しい人が私じゃないのが。ねぇ、アルミーアさん。」
「うんうん。ずっと守っているのにねぇ。」
「えっ、あの・・・ごめんなさい。」
黒い魂が謝った。
「はははっ、お前らしくて良いよ。
さて、そろそろお迎えが来るぞ。
お前が一番望んだ人が助けに来てるぞ。」
「助けに?私が一番望んだ人が?」
「そう、その闇の衣を脱がせてくれる。
闇の戒めを解いてくれる。
さあ、心を開いて感じなさい。魂で受け取りなさい。」
光の魂が、黒い魂から離れた。
<ビシュッ>
「あっ!」
何かが飛んできて、黒い魂を貫いた。
「うわああああぁぁっ!」
それは、魂の絶叫。魂の歓喜。
<パキンッ>
光の矢が、魂を貫き闇を破る。
次の瞬間、黒く染められた魂が光を取り戻した。
「ああっ、私は・・・私は!」
魂を覆っていた黒い霧が光の矢によって打ち砕かれ、更には周りまでもが光に満たされる。
「邪な魂に堕ちた者よ。
今、破魔矢によって闇を解いた。
さあ、今こそ解放の時。」
光の彼方から、矢を放った者の声が聴こえて来る。
「解放?私は此処から出られるの?」
「そなたが願うのならば。」
「出たい・・・此処から出て逢いたい人がいるの・・・。」
「では。出て来るが善い。」
光の彼方から矢を放った者が言う。
「・・・でも・・・。駄目なのです。還るべき所が、まだ解らないのです。」
「そうか・・・では諦めるのだな。あなたは・・・軍曹。」
「軍曹?諦める?・・・嫌・・・嫌。諦めたくない・・・諦めるなんて嫌。」
光の彼方で矢を放った者の姿が霞んで見える。
「私は諦めたら駄目、駄目なのです。
誰かが待っていてくれていると感じるから。
その人に逢わなければいけないから・・・。
そう、そうだ。約束したんだ、再び逢うって。」
「ふっ。そこまで思い出したのなら、求めよ。
己の願いを。
求めよ、帰還を。」
「帰還・・・そう・・・帰りたい・・・帰りたい。
あの人の元に。あの優しい人の元へ。」
魂は帰還を願う。
魂はあるべき姿を求める。
そして・・・。
「お願い、私を呼んで。私を求めて!」
魂が救いを求めた。
「帰って来なさい。私の元へ!」
声が届いた。
「その声は・・・・。」
「何をグズグズしているのっ!
こんなに私を待たせて。
こんなに心配させて!
帰るのよ私の元へ!
還って来るのよっ、 ミ ハ ル !!」
<ピシャアアッ>
願いは今、果された。
両足の戒めが、両手の戒めが。
そして首を締め付けていた首輪が外れる。
「ああ・・・やっと帰れるんだ。」
外れた首輪に着けられていた赤黒い石が、身体に沈む様に溶けて無くなった。
ミハルは声のする方に走る。
還るべき人の元へ。
「ミハル、ミハルっ、ミハルっ!」
幾人もの声が呼んでいる。
「ああ、帰れる。逢える、話せる。嬉しい・・・嬉しいっ!」
光の出口に向って、両手を差し伸ばしてミハルは走る。
やがて迎える歓喜の瞬間へと・・・。
魂の導きでミハルは駆け出す。
大切な想いを胸に抱いて。
やがて迎える歓喜の瞬間へと。
次回 歓喜
君はその人の声に呼び覚まされ走り続ける。
諦めずに自分を待っていてくれた大切な人の元へと。





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