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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep3破談Act14帰還(前編)

挿絵(By みてみん)


マジカに救われたユーリ皇女。

彼女の知る秘密兵器(極大魔鋼弾)。

その在処を尋ねるマジカ達。

さあ!友を助ける為、行くのだ!

魂を助けに。

大切な人を救う為に!

帰還 前編

「マジカさん?ユーリ姉様?」


ミコトの横で、突然聖王女が叫ぶ。


「おっ、リインの継承者か。驚かせるな。」


ミコトは微笑んでリーンに言った。



「う、うーん。マジカ・・・マジカ?」


立ったままの姿で、ユーリの口が開いた。


「ユーリ姉様!気付かれたのですね。良かった。」


リーンが思わず抱き付くと、


「ん?リーンではないか。

 どうして私を抱いているんだ?それに此処は何処だ?」


ユーリが重い頭を振ってリーンに訊く。


「何を言っているの姉様。今やっと闇から解放されたのですよ。マジカさんのおかげで!」


リーンがユーリに叫ぶ。


「うん?マジカ・・・そう言えばマジカの声が聴こえていた気がするって、マジカ?」


ユーリが大きく眼を見開き、


「マジカが戻って来たのか?

 だとしたら身体を取り戻せたのか!?」

・・・・・。

「ユーリ姉様?もしかして何も憶えていないの?」

「リーン。何の事を言っているんだ?

 それに私はどうなったのだ。確か・・・。」


ユーリはリーンの顔を見てから周りを見回し、


「うわあっ、リーン。何だこの惨状は。誰が部屋をこんなに・・・あ。マジカ・・・。」


漸く気付いた。

懐かしい6輪装甲車が目の前に居るのを。


「マジカ。お前・・・身体は?」


<スウッ>


音を発ててキューポラから伸びた足の先に、マジカの姿が形どられていく。


「マジカ!戻れたの?」


ユーリが喜びに溢れた顔で友を見るが。


「ううん。今は未だ。実体化が出来る様になっただけなの。」


首を振りユーリに教えるマジカが、少しだけ悲しそうにしてから。


「ユーリ、魂を失っていたんだよ。

 邪な者に堕とされて。多分その間の記憶がないんだね。」

「えっ?何の事だ・・・マジカ?」


ユーリが小首を振って友に訊く。


「ううん。いいの、いいんだよユーリ。

 それより大変なの。ユーリが操られている内に、大切な人が危機に瀕しているの。」

「大切な人?危機?」


更にユーリが解らないと首を傾げた。


「あーっ、もう。ユーリ!じれったいわね。

 ミハルさんが絶体絶命なのっ!急がないと手遅れになっちゃうからっ!」


マジカがユーリを掴んでガクガク揺らす。


「えっ!?どうしてそれを?マジカさん!?」


リーンがミハルの事を口走るマジカに訊く。

ちらっとリーンを見たマジカが構わず、


「ユーリ。ユーリが知らない内に大変な事になっているのっ。

 あの兵器は何処にあるの?何処で整備されてるのっ?」

「あの兵器って、もしかして・・・マジカ?」


ユーリが秘密兵器を何故マジカが知っているのか不思議に思って口篭もると、


「くあーっ、じれったいいぃっ。こうなれば強行手段よ。

 ユーリ!ちゃっちゃっと来なさいっ!!」

「えっ、マジカ。何を?って・・・きゃああっ!」


ユーリを掴んだマジカが、車内へ引き込む。


「うわっ!ユーリ姉様っ!?」


リーンが慌てて止めようとするが、


「そこの2人。横で眠っている娘を連れて着いて来る事。解ったわね!」


本気モードのマジカが、リーン達に命じる。


「お、おいっ?ミサト、どうなっている?」


ミコトが車内へ入ろうとするミサトを呼び止めると、


「ミコト姉巫女様、善くは解りませんが、救出せねばならない魂があるみたいですね。

 お先に行きますので言われた通り着いて来てください。その子を連れて。」


そう言うとミサトは車内へ入ってしまった。


「まっ待て!それなら私達も乗せてゆけ!」


道理を言うが、ミコトの意見は無視された。


<グゥロロロロッ>


派手にエンジン音を響かせ、6輪装甲車が走り出した。


「うわっ!糞っ。何てヤツラだ。」


流石の聖巫女も、お手上げだった。


<ギュララララッ>


重いキャタピラ音を発てて重戦車が現れた。


「ホント・・・何て都合の良い・・・。」


リーンがその車体を見て呟いた。


「これが・・・所謂いわゆる話の都合ってやつだな。」


ミコトも現れたMHT-6に、瞳を向けて苦笑いを浮かべた。



________________


「いえ、6輪装甲車が制止を受け付けず突入して行きましたので・・・

 ラミルさんの判断のおかげです。」


ミリアが幼女を抱いて報告する。


「うん。ラミル助かったわ、ありがとう。」

「いえいえ。」


リーンの礼にラミルは手を振った。


「兎に角、あの車両を追って。きっとミハルの元へ連れて行ってくれる筈だから。」

「はいっ!」


リーンの指示にラミルはアクセルを一杯まで踏み込んだ。



「ふふふっ。皆行っちゃったわね。あれだけの魔法使いが居るなんて・・・・。

 これならロッソアになんて負けはしないでしょう。」


空間の歪みから、銀髪の少女アンネが姿を現す。


「さてと。主に報告しに行くか。

 悪魔は消え、聖魔女達が勝利したと。」


瓦礫の散乱する部屋からアンネが出て行こうとすると、


「む?」


ある物に気付く。

足元に転がるそれは・・・。


「・・・闇の魔法石・・・。」


黒く澱んだ輝きを放つその石は。


「ユーリ皇女からあの光の矢で撃ち抜かれた時に出た物・・・。」


アンネは、その石に術を放つ。


<ピキン>


だが、石は音をたてただけで、形を崩さなかった。


「・・・まだ・・・闇は・・・悪魔は存在する。」


その闇の魔法石を睨んで、ポツリと呟いた。




___________________


「最終調整にかかれっ!魔鋼弾頭の圧力上昇。レベルを最大に合わせろ。」


技術士官が、部下に命じる。


「圧力臨界点に到達。魔鋼力の注入を始めます。」

「よし、圧力最大まで、魔法力を装填しろ。」


技術士官が極大魔鋼弾に充填を開始させた。


「ふふふ。これでロッソアも解るだろう。戦争は技術力の差だと言う事を。

 幾ら人が戦力があったとしても、科学の前では何の役にも起たんと言う事を。」


ヘスラー参謀長は笑った。

その兵器が持つ自らの野望を果す力を信じて。


「ふっふっふっ。さあ、その力を世界へ示せ。

 これからの世界はこれをどれだけ持てるかが力の差だと言う事を示してやれ。」


高笑いするヘスラー。

だが、ヘスラー自体も、その兵器の意味する処が解ってはいなかった。


ーくっくっくっ。馬鹿な人間共だ。

 この兵器が何故開発した日の本で使われないのかも考えていない。

 その弾頭に入れられる者がどんな魂なのかも考えておらん。

 いいぞ、いいぞ。いよいよその時が来るのだ。

 余が復活する時が来るのだ。このルシファーが・・・な。-


闇の中で数百数千の魂を喰らった<無>が、笑う。

ルシファーと名乗るそれは暗黒の中で、その時が来るのを待っている。

一度に大量の魂が喰らえるのを。

闇の魂が撒き散らす、闇の連鎖を・・・。



__________________



「融ける・・・私の身体が、融けてゆく。」


闇の中で少女の悲しみが拡がる。


「私は融けて・・・何に変わるの?

 融けて、無くなってしまうの?

 ・・・そう。

 ・・・そうなんだ。

 ・・・それが闇の意思。

 ・・・私が堕ちた闇の望み。」


黒い魂は抗う事もせず、只融けて無くなって行くのを見ていた。


挿絵(By みてみん)


「どうしてこうなったのかな。

 思い出せない。確か私は望んではいなかった・・・筈。

 ・・・でも。

 ・・・もう、どうでもいい。

 私は融けて<無>になるの。

 そうしたら何も悩まなくていい。

 そうしたら迷わなくて済む。

 ・・・やっと解放されるんだ・・・・。」


黒い魂は<無>に帰す事を望む。

それは悪魔の意思。悪魔との同化。


「ああ・・・どんどん融けて無くなる。

 ・・・本当にそれでいいのかな。

 ・・・何か残さなくてもいいのかな。

 私が居たという証を・・・。」


存在自体の消滅。

それは自分に関わった人達からも、記憶からも消える。

それは闇の拡散、死の連鎖。

そう、完全なる<無>。


「残したい・・・残しておきたい。せめて私が居たという事を。」


融け行く魂が願った。

己の存在を残したいと。

己が居たという証拠を残しておきたいと。


「誰かの心にだけでも・・・。

 誰かの記憶の中でだけでも、私が居た事を忘れないで欲しい。」


融け行く魂が・・・願いを持った。

それは、<無>に帰す事とは正反対。


「誰かに憶えていて欲しい。誰かに・・・。」


<ビシッ>


闇に亀裂が入る。


「ああ、私は<無>になれない。まだ想い迷う事があったから。望みがあったから。」


<ビシッ ビシッ>


何かが闇と闘っているのか。

それとも少女の魂が抗うのか。


魂が再び形を取り戻そうとする。


「ああ。融けるのが止まり元に戻って行く。

 元に・・・戻る・・・戻る?」


<ビシッ バシッ ビシッ>


亀裂が走る度に、徐々に何かが戻って行く。

今迄只の暗闇だった空間に、闇が裂ける音が響きだす。


<ビシッ ビシッ バリンッ>


「あっ、聴こえる・・・音がする。

 何かが音をたてている。」


黒い魂がよりはっきりと考えられる様になっていく。


「私は残したい。せめて記憶の中ででも。せめて名前だけでも・・・。」


<ビシッ バシッ バキバキ>


名前・・・それは個体の名称。

名前・・・それはその者の存在を示す物。

名前・・・それは愛すべき者が呼ぶ物。


「名前?私の名前?・・・名前・・・。」


魂が求める<無>からの帰還を。


「私の名は?誰に呼ばれていた?じゃあ、その人の名は?

 その人に何て呼ばれたいの?その人にどうしたいの?」


ー会いたい・・・逢いたい・・・。-


魂に心が戻る。


「誰に?誰と逢いたいの?その人は私とどんな関係なの?」


戻った心がトキメク。


「逢いたい・・・その人に。

 逢わなければいけないの、その人に。

 そして呼んで欲しい。・・・私の名を。」


魂が求める。

逢いたい人の元へ還る事を。


「ああ・・・呼んで欲しい私の名を。

 その人の声で私を・・・愛しているって・・・。」


黒い魂が求めるのは唯一つ。


「逢いたい・・・声が聴きたい。

 その人が求めてくれるのなら、此処から出たい。」


魂が震える。

光を求めて。


魂が指し伸ばす、暗闇の中で。


「お願い。

 呼んで。

 私を。

 私の名を。」


<ビキイィィンッ>


罅割ひびわれた闇を、光が貫いた。


ミハルの魂を救う為、仲間達が集う。

間に合うのか!?

撃て!マモル。打ち砕け闇を。

そして、戦巫女ミサトよ、その力で闇からミハルを救い出せ!

次回 帰還 後編

君は救えるか?大切な友を。大切な想いを届けられるのか!?

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