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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep3破談Act10聖教会

ミハルの魂が消えた・・・。

あの笑顔は二度と見れないのか・・・・。

悲しみは拡がる。

その微笑を知る者達に・・・・。

ー私もミハルの元へ行きたい・・・。-


魂が愛しき者の魂を求める。


ーもう、この世界で逢う事が叶わないというのなら、

 私も闇に喰われてしまいたい・・・。-


魂が悲しみに耐え切れず、自我を失いかける。


ー逢いたい・・・ミハルに逢いたい・・・。-


悲しみに打ち砕かれた魂が、求めるのは唯一つ。



ーミハルに・・・逢いたい・・・・。-



<ガタンッ>


車体が揺れる。

それは今、乗っている車体が走行している証。


「小隊長。間も無く皇都が視界に入りますよ。」


ミリアが教えてもリーンは何も答えなかった。


「リイン、お前の継承者は大丈夫・・・なのかい?」


マモルの声で、ミコトが訊いてきた。


「ええ、多分大丈夫。今はそっとしておいてあげて。ミコト・・・。」


聖王女がリーンを引っ込めてネックレスから現れていた。


「そうかい?なら、いいんだけど。」


心配そうな声でミコトが答えた。


「2人の継承者がこの様子じゃ、困るものね。

 この娘は気付く筈よ。あのが願った事を。

 闇に喰らわれても守ろうとした事を。

 だから、今はそっとしておいてあげましょうよ。・・・ミコト。」


リインがキューポラからマモルの姿をしたミコトに言った。


「ああ。奴との決戦までに正気に戻って欲しいものだ。」

マモルの口でミコトがしょうがないなと、諦めたように告げた。


ーミハル・・・どうして・・・どうして諦めてしまったの?

 どうして闇になんかに負けてしまったの?

 そんなに辛かったの?

 そんなに苦しかったの?

 どうして私が助けに行くまで耐えてくれなかったの?-


魂が闇の中で待ってくれていた筈の魂に問い掛ける。


ー悲しいよミハル。悔しいよミハル。

 ・・・私のミハルは・・・何処へ行ってしまったの?-


<ギギイイィッ>


突然リーンの身体が前へツンのめる。


ーはっ!-


リーンはその衝撃で我に返った。


「小隊長・・・皇都です。」


ヘッドフォンから、ラミルの声が聴こえる。

リーンは静かに前を見詰める。

そこには懐かしい皇都の姿があった。


「着いた・・・。」


リーンがじっと見詰めるのは、皇都。

その奥に佇むフェアリアの宮殿。

そう、そこは決戦の場。

聖王女と、聖巫女が千年前に闇と闘った因縁の場所。

<双璧の魔女>が、ルキフェルと闘った決戦の宮殿。



________________


<カッ カッ カッ>


石畳を踏みしめる音が響く。


<カツ カツ カツ>


音は一人の足音ではない。

何人かの靴音が続いている。

靴音は大きな扉の前で停まった。


「どうぞ、お入りなさい。」


扉の中から、外に来た者を迎え入れる声がした。

男性の声が・・・。


<ギイイイイッ>


扉が開かれ、中の灯かりが漏れる。


「良くぞ参られた、同志。そして・・・。」


扉の中に招き入れられた者達に背を向けた、白髪の男が言った。


「政務官カスター。お待ち申しておりました。」


背を向けた者に近寄ったのは皇室付政務官カスター。

そのカスターが白髪の男に答えた。


「あなたが聖教会のあるじだったのですか・・・司教。」


カスターが背を向けている男に問う。


「皇都にある教会の司教が、裏では聖教会という秘密結社の主人だったとは。

 そうなのですね、クワイガン司教。」

「そうです、カスター卿。この方が我らが主、聖教会の主なのです。」


カスターと共に来た少女が答える。


「アンネ。私から挨拶せねば失礼にあたる。控えなさい。」


白髪の司教が、カスターに振り返って言った。


「カスター政務官、私がフェアリアの主宰。クワイガンと申す者。」


静かに自己紹介をする男は鋭い瞳で、カスターを見る。


ーこの男の目は、何かの力を持っている。-


見据えられたカスターは、その眼力に戸惑った。


「カスター卿、お話を伺いましょうか。」


司教が静かに尋ねて来る。


「あなたが聞きたいのはあの娘の事ですね。

 昔、邪な者に襲われ命を狙われた・・・今の第1皇女ユーリ姫の事を。」


カスターは驚いた。

話すも何も、この男は既に自分が此処を訪れた訳も知っているのかと。


「そうです司教。僕が求めるのはユーリ姉姫の事。そして・・・。」

「ルキフェル・・・古来の魔王。いにしえの悪魔。」


カスターを遮って司教が教える。

初めて会ったこの男に、尋ねる事を全て言われたカスターは、驚きよりも恐怖を覚える。


「あなたは・・・一体?」


何を知って、何をしようとこの秘密結社の主を務めているのかと、考える。


「私ですか?カスター卿。

 私も継承したのですよ。古来の術を。古来からの因果を。」

「古来からの?それは?」


カスターの質問に司教は教える。

自分が何者であるかを。


「私の術はこの眼力。

 この瞳が教えてくれるのですよ、カスター卿。

 会った者の心を知り、会った者の見た事が解るのです。

 そう、私の術は闇と闘って来た者から受け継いだのです。」

「闇と?闘って来た者?それは魔法使いと言う事ですか?」


カスターが魔法使いは、魔法使いは女性がなるものだとばかり思っていたので、思わず聞き返した。

だが、司教は首を振り答えた。


「いいえ、政務官。私の受け継いだ力は、魔法ではないのです。

 何故なら私には聖なる力は受け継げないから。

 そう、私は聖なる者ではありません。

 むしろその逆。

 私の受け継いだのは、闇の力。

 ・・・邪な力なのですよ。」


「や、闇の力ですって!ではあなたはあの絵の中に居る者と同類なのですか?

 ユーリ姫を呪う者の味方なのですか?」


カスターは司教の前で身構える。

しかし、司教はそんなカスターに対し手を挙げて、


「政務官、慌てられては困ります。

 我々は人知を超えた力を持つ者。

 そしてこの国を守る、守りし者なのです。

 決して邪な者と化してはいないのです。お判り下さい。」


手を挙げて止める司教に対して、腰の銃に手を添えたカスターが、今一度訊く。


「では司教、あなた方は何を目的に活動しているのです。

 あなた方は何の為に暗躍すると言うのです。」

「その答えは簡単です。

 このフェアリアの為に・・・です。

 この国の為に我々は動いているのです。」


司教は答えた。

しかし、カスターは納得しなかった。


「この国の為?では訊きますが。

 あなた達はこの国の為にどんな活動をされているのです。

 ユーリ姫を救うでもなく、闇を野放しにしている。

 邪な者と闘うでもなく一体何を目指しているのですか?」


カスターの問いに司教は少し笑みを浮かべてから答えた。


「言ったでしょうカスター政務官。

 私は聖なる者ではなく、守りし者だと。

 この国を守る者だと。

 それは時として必要と思えるならば闇の力を利用してでもなさねばならないのです。

 数多の命を犠牲にしても、なさねばならないのです。

 この国を護る為には。」


それは確かに聖なる者の答えとは思えなかった。


「司教、この国を護る為には犠牲が必要だと言われたが、

 それはユーリ姫の事を言われたのか?

 それとも民の事なのか・・・どちらですか?」

「そのどちらもです、カスター卿。」


即座に司教が答え、


「我々聖教会が成すべき事は、如何なる手段を持ってしても、この国を護る事。

 それ以外は求めていない・・・のですよ。」

「悪魔に魂を売り渡してでも・・・ですか?」


カスターが司教を睨んで言った。


「それが必要とあらば。」


司教もカスターをその目で見詰めて答える。


「カスター卿、あなたが皇女を闇から救いたいのは解ります。

 その為に此処へ訪れた事も。

 ですが少しお待ち願いたい。

 我々が目的を成し遂げた後、必ずユーリ皇女を闇からお救い致しましょう。」

「目的?それは何の事を言っておられるのです司教。

 あなた方は闇の力をどう利用すると言うのですか?」


思わずカスターが訊いてしまう。

闇の力を利用して何を成そうとしているのかを。


「闇に堕ちたユーリ皇女が認めたあの兵器を使って、ロッソアを倒す。

 ユーリ皇女が正気なら必ず反対したであろうあの兵器で戦争を終わらせるのが我々の狙い。

 ・・・そして・・・。」


愕然と司教を見るカスターが最後に聴いたのは。


「そして闇の力は、あの娘の魂を奪う事に成功した。

 今、闇を破れば兵器に必要な強力な魂をも手放す事になる。

 我々が闇を破りユーリ皇女を救うのは、その兵器が使われた後。

 そう・・・あの魔法使いシマダ・ミハルの魂が兵器と共にロッソアを打ち砕いた後です。」

時間が無い・・・。

ミハルの魂を救うには時が足りない・・・。

だが、救出を目指す者達は諦めない。

誰もが知っていた。

諦めたら駄目だと。

諦めれば、全てが終わると言う事を。

今、千年の因果は終わりを迎えようとしていた・・・・。

次回 闇の姿

君は大切な友を救う為、闘え!闘うのだ!!

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