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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep3破談Act8金色(こんじき)の瞳

挿絵(By みてみん)

2019-3-12 追加しました


補給所を奇襲するロッソアの先遣隊。

マクドナードは闘う事を、諦めない事を誓う。

それは、大切な約束を果たさんが為・・・

今、彼の前に光が現れようとしていた!

「トゥラお兄ちゃん駄目っ!」


幼女の口が叫ぶ。

何かに気付いた様に・・・。


次の瞬間、幼女の声が届いたのかトゥラが振り返った。笑みを浮かべて。


<ドガアアァンッ>


爆煙が炸裂し、周りの空気を震わせた。


「しまった!ロッソアの奇襲部隊がもうこんな所まで!」


眼を見開き動揺するマクドナードの視線の片隅で、

幼女が駆け出すのが解った。


「うわっミハル。待て、そっちに行っては危ないっ!」


慌てて幼女の後を追いかけるマクドナード。

走る幼女が目指すのは榴弾が着弾した場所。

そこには・・・。


「トゥラお兄ちゃん・・・どうしたの?」


幼女が立ち止まった先には、少年が横たわっていた。

・・・息を絶えて。


「ミハル・・・。」


マクドナードがミハルを掴もうと、そっと手を伸ばした時、それは現れた。


「ふふふっ、あーははは。死んだ、死んじゃった。

    この魂も我々の物だ。」


トゥラの亡骸の前で、妖女が笑う。


「何を言っているんだミハル。」


マクドナードが妖女の手を掴んで振り返らせる。


「うっ!その瞳の色は!」


マクドナードの眼に写った顔は醜く歪み、笑う赤く染まった瞳の妖女。


「くっくっくっ。此処に居る者は皆殺される。

 あの戦車達によって・・・。

 我が手を下さなくてもな。」


邪な者の声が、妖女から搾り出される。


「お前が・・・ミハルを乗っ取っている者か!」


マクドナードの声が怒りに震えた。


「ふんっ、お前等に答える必要あるまい。この地で死ぬがいい。」

「なんだと!」


妖女に向ってマクドナードが怒鳴る。


「にゃはははっ、死ねっ、死んで我々のものとなれ。」


赤い瞳を向け続ける妖女に、マクドナードが叫ぶ。


「誰がこんな所で死ぬものか。

 オレ達は生き残ってやる。

 生き続けてミハルが還って来るのを待っていてやるんだ!」

「ほざけ。ザコが。」


妖女が、嘲笑あざわらう。


<グワアアァンッ>


砲撃がどんどん近寄りだした。


「くっくっくっ。間も無くロッソアの戦車が此処へ来るだろう。

 マトモな対戦車兵器を持たぬ補給所へ。

 そして奴等の砲火で、皆死ぬ事になるのだ。我が手を下す事もあるまい。」

「言う事はそれだけか妖女。だったらその身体から出てゆけ。

 ミハルの身体から出てゆけ!」


マクドナードが妖女を掴んで叫んだ。


「小うるさい奴め。よかろう、精々この身体を守って死んでゆくがいい。」


マクドナードに掴まれた妖女の瞳が閉じる。

そして・・・。


「んあ?ありぇ?どうしたのマクドナードのおじちゃん?」


黒い瞳に返った幼女が、驚いた様にマクドナードを見てから、

その後に横たわっているトゥラを見つけた。


「・・・トゥラお兄ちゃん?どうしてそんな処で寝ているの?

 風邪ひいちゃったら、こまっちゃうんんんだよ。」


幼女は小首を傾げて呼びかけたが、

トゥラは身体の周りを血で染めて、

紫色の顔を微笑を浮かべたまま息絶えていた。


「ミハル・・・もう行かないと。

 敵が来る。殺されてしまうぞ・・・オレ達も。」


そう呟いたマクドナードが、幼女を抱かかえて走り出した。

脇目も振らず力作車まで戻ると、


「曹長っ!駄目です。囲まれました!」


力作車で戦闘準備を行っている兵士が、別方向を指で指し示し教えた。


ー生き残るには闘うしかない。-


「戦闘配備。リーン中尉に救援を頼め。

 出来るだけ永く生きろ。生きるんだ!

 決して諦めるんじゃないぞ!」


僅かな兵力で、敵部隊と交戦する事を選んだ。


「しかし、我々にはまともな対戦車兵器もありません。」

「そんな事は解っている。だが、オレ達は約束したんだ必ず還ると。

 約束したんだアイツが帰って来るのを待つと。

 だから諦めるな、絶対に諦めるなっ!」


マクドナードが叫ぶ。

自らに言い聞かせる為にも。



「そう。諦めてはいけない。絶対に・・・。」


マクドナードの横で、妖女が呟く。


「うん?何か言ったか?」


マクドナードは自分の耳に聴こえた妖女の口調が、「ミハル」だったのに気付いた。


「ミ・・・ミハル・・・なのか?」


その声に振り返った先に眼に写った者は。


「マクドナード曹長。曹長の言った通りです。

 諦めてはいけません。リーンだって助けに来てくれますから。」


幼女の口から出たのは、ミハルの言葉。


「ミハルっ、お前!」


そこに居るのは、金色の瞳をした妖女。

しかし、その言葉を聞いたマクドナードには・・・。

下士官服を着たミハルの姿が重なって眼に写っていた。


挿絵(By みてみん)


「曹長、私に武器を渡して下さい。敵を食い止めてみせますから。」


金色の瞳をした妖女から、ミハルの言葉が聞こえる。


「ミハル・・・解った。こいつを使え。」


マクドナードが、対戦車銃を差し出す。


「了解です。」


妖女が重い銃を軽々と受け取ると、


「なっ!何だとっ!?」


妖女の手に渡った11ミリ対戦車銃が、20ミリ対戦車銃へと変わった。


「ミハル・・・お前は・・・。」

「はい・・・私は今、半分闇の力を使っています。

 どれだけ保つかは、解りませんが。

 リーンが来てくれるまで曹長達を守ります。トゥラ君の仇を討ってあげます。」


金色の瞳をした妖女と化したミハルが、銃を片手に力作車から飛び降りた。


「ミハルっ!辞めるんだっ、オレ達の事は守らなくていいんだ。その力を使うんじゃない!」


マクドナード曹長が手を伸ばし止める。

だが、妖女ミハルは金色の瞳で闘う。

その魔力を闇に喰われても。


ーマクドナード曹長。私は約束したよね。皆を護ると。

 その願いはまだ終ってはいないから。-


闇の中でミハルは苦しむ。

魂を徐々に闇へと侵蝕されて。


ーでも、私は負けない。どんなに苦しめられても。

 きっと約束を果せると信じているから・・・。うっ!くっ!-


闇の中でミハルの魂に黒き霧が突き刺さった。


金色の瞳。

幼女に宿る本当のミハル。

魂を拘束されても抗い、約束を果そうと闘いに挑む。

金色の瞳はその輝きを徐々に失いつつも、立ち向かう・・・。


ーさあ!来なさい・・・力尽きるまで・・・私は闘うから・・・。-



妖女ミハルが20ミリ対戦車銃を構える。


近付き砲身を向けてくるロッソアの戦車へ向けて。

闇に削られていく魂。

仲間を護る為、決死の戦いを挑むミハル。

妖女の姿で抗うミハルは、その金色こんじきの瞳を燃え立たせていた。

次回 侵蝕

君は闘った、持てる全てを投げ出して。その魂を失おうとも・・・

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