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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep3破談 Act4守りし魂

出撃を前にして、整備に忙しい小隊。

その中で一人だけ暇な者がはしゃいでいた。


幼女を観る弟の心は?


挿絵(By みてみん)


「加純」様よりありがたいFAを頂きました。マモル君です!



「ひゃっはーぁっ、こーれは、こまっちゃうんんんっ だねっ。」


幼女ミハルが走りまわっている。


「おいっ、保護者。何とかしろっ。」


ラミルがうんざりした顔で、マモルに命じた。


「あ・・・はい。ラミル兵長。」


操縦席ハッチから半身を出しているラミルに答えて、

マモルは車体の周りを走りまわる幼女ミハルを追いかける。


「ミハル姉、待ってよ。皆の邪魔をしちゃあ駄目だよ。」


追いかけるマモルが呼び止めるのを、何を勘違いしたのか・・・。


「わーいっ、鬼ごっこだ。マモルお兄ちゃんに捕まっちゃうんんっ。」


更に逃げる幼女。


<ぐにゅっ>


その幼女の首根っこを掴んだリーンが、


「はい、つーかまえた。ほら、マモル君、これ。」


幼女ミハルを摘み上げて、マモルに渡す。


「ふにゃぁっ、リーンお姉ちゃんもオニだったにょかぁ。

 ずるいんでないにょ。そんなのこまっちゃうんんん。」


リーンに摘み上げられた幼女ミハルがぶうぶう言うのをマモルが受け取り、


「ミハル姉、大人しくしててくれよ。皆忙しいんだからさ。」


マモルが注意すると、


「だってあたし、する事ないんだもん。

 みんな忙しくって構ってくれないんだもん。」


瞳をパチクリさせてマモルに文句を垂れる幼女の顔を見て、

マモルが困った様に、


「しょうがないだろ。出撃しなくちゃいけないんだから。大人しくしててよ。」


そう言って地面に下ろすと、


「やーだぁ。ほっとくとまた走り回っちゃうんんんだーかーらぁ。」


ぷうっと頬を膨らませて拗ねる。

そんな幼女の顔を見て、マモルが諦めたように、


「昔のミハル姉は、こんなじゃなかったと、覚えてるんだけどな。

 もっと大人しかったし、人見知りしてたし・・・。

 よし、じゃあ僕と一緒に居れば走り回らないかい。」


幼女ミハルの顔を覗き込んで、マモルが手を差し出す。


「うん、うん。マモル兄ちゃんが一緒なら走らない。

 こまちゃわないんだもんんんっ。」


マモルの手を握って笑うその顔は、確かに幼き日のミハルそのものだった。



第97小隊は、出撃を控えていた。

目的は撤退する味方部隊の援護。

側面から敵部隊を攻撃し、味方の後退の支援を行う事。

・・・つまり、時間稼ぎ。

最早、フェアリア軍は勢いを盛り返すだけの戦力を持ってはいないと言う事。

小隊の誰もが暗い表情で任務をこなしている。


「皆、出撃時間よ。乗車しなさい。」


リーンが車上から命令を下す。


「あ、はい。」


マモルが幼女ミハルの手を離して答えると、


「マモル兄ちゃん。・・・肩車してよ。」


幼女が突然お願いしてくる。


「えっ、もう搭乗しなくちゃ。」


拒絶するマモルに、


「あー。マモル兄ちゃんが嫌がったぁ。泣いちゃうぞ。

  こまらせちゃうんんんんだからぁ。」


駄々を捏ねてせがんで来る。

しょうがないとマモルはため息を吐いてから、

車上のリーン中尉を見上げる。

リーンは黙って手を振り、マモルに任せると告げていた。


「もう・・・。早く終らせてくれよ、ミハル姉。」

「にゃはは。高い高ーい、マモル兄ちゃんそれ歩け。」


マモルが幼女を肩に載せ歩く。


「ひゃはは。気持ちいい。

  癖になりそうで、こまっちゃうんんんっ。」


マモルの肩に乗ってはしゃぐ幼女。


挿絵(By みてみん)


「はあ、ミハル姉・・・もういいだろ。」


マモルがため息を吐いて降ろそうと立ち止まって幼女の顔を見上げると、


「えっ!?」


マモルの眼に写った幼女の瞳が金色に輝いていた。


「マ・・・モ・・・ル・・・。」


その眼は、何かを訴えかける様に。

その顔は、何かを心配している様に。


「ミ・・・ハ・・・ル・・・姉さん?」


幼女の口が震える声を出す。


「マモル、戦闘になったら自分を信じて闘うのよ。

 自分を信じて・・・皆を守って・・・リーンを護って・・・ね。」


マモルの眼が見開く。


「マモル・・・お願いよ。皆を護ってあげてね。」


優しい金色の瞳がマモルに教える。


「うっ!  ぐううぅっ。」


その顔が一瞬の内に苦悶の表情となり、首を掻き毟った。


「ミハル姉さんっ!?」


その苦悶の表情に慌てて声を掛けるマモル。



「ほぇ?どーかしたの?マモル兄ちゃん。そんな大きな声出されたら、こまっちゃうんんん。」


黒い瞳に戻っている幼女を見上げて、マモルの方こそ困ってしまう。


「ミハル姉・・・苦しめられているんだ・・・。」


無邪気に笑う幼女を見上げてマモルはその魂を救いたくなる。

本当の姉を救い出したいと願う。


_______________


「よーし、戦車前へ!」


リーンが各車に合図を送り、出発を命じた。


「にゃははっ、パンツ・あほー。」


装填手ハッチで、幼女ミハルも指を立てて叫ぶ。

その姿をリーンは微笑んで見ていた。


ーマモル君も言った。やはりこの娘はミハルなのだと。

 金色の瞳となり、私達を守ろうと闇と闘っているのだと。

 そうまでして私達を守ろうとしてくれているんだねミハル。

 そんなに苦しんでまで闘っているんだね。

 早く救い出してあげるから待っててミハル。

 必ず闇から助け出してあげるからね。-


微笑を絶やす事無く、

それでも決意を秘めて、

手は強く握り締められていた。

闇の中にあっても、どんなに苦しめられても、

ミハルは、ミハルの魂はみんなを護ろうと、

弟を守ろうとしていた。

自分の姉を救い出したいとマモルは想い続けた。

次回 妖女

君は幼き姿に巣食う者に怒りを覚える

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