魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep3破談Act2悲しき宿命(さだめ)
今回のエピソードはあたしが主役なんだからっ!
みんな覚えてくれなきゃ「こまっちゃうんんんっ。だよっ!」
・・・。
で、幼女ミハルさん。それが「こまっちゃうんんんっ」ポーズっすか?
妖しい瞳の幼女がリーンに襲い掛かる。
その姿に戸惑うリーンに赤い瞳の妖女が言った・・・。
「あーはははっ、リーンお姉ちゃん。苦しい?」
赤い瞳をした妖女ミハルが笑う。
その瞳を見詰めたリーンが黙って首を締め付ける手を握る。
「苦しい?ねぇ、苦しいの?」
「・・・・。」
妖女ミハルに何も答えずリーンが、その顔を見返して言った。
「今、解った。どうしてミハルがその姿になる事を選んだのか。
どうして私の前にその姿で現れたのかが・・・。」
そう言ったリーンの眼から涙が溢れる。
「何を言っている、聖王女。」
妖女ミハルが眉を吊り上げて訊き返す。
「ミハル・・・闇の中で聴こえているのなら・・・。
まだ闇に屈していないのなら、この手を外して。
私の声が届くのなら、この手をどけて。」
リーンが優しい声で妖女に話す。
<ビクンッ>
妖女の身体が突然反り返る。
「うっ あっ !」
苦悶の声を妖女があげる。
「ミハル、闇に呑み込まれては駄目。この手を外しなさい。」
強い口調でリーンが命じた。
「ぎゃあああっ!」
叫んだ妖女ミハルの手がリーンから離れ、自分の首へと伸びる。
「うあっあっ、ぎゃあああっ!」
苦しみ悶える妖女の手は何も無い筈の自分の首元を掻き毟る。
それはまるで首輪を付けられた者が、
必死に外そうともがいている様な惨たらしい光景だった。
「くっ、苦しいよ。痛いよ。た・・・たす・・け・・・て。」
か細い声となった妖女の叫びが絶えてゆく。
「ミっ、ミハルっ!?」
見開かれた妖女ミハルの瞳が、再び黒く澄んでいった。
「う・・・あ・・・・。リーン・・・。」
手を差し出した幼女ミハルは、愛しい人の名を呼んでから力なく垂れ下がり、
「ミハルゥっ!!」
気を失い倒れるミハルを抱き止めたリーンが、あるべき者の名を叫んだ。
自分の腕の中で気を失っている幼女を見てリーンが涙ぐむ。
「ミハル、ごめんね。
辛いでしょう苦しいでしょうに。
解ってあげられなくてごめんなさい。」
抱締めた幼女に叫ぶリーン。
ーどうしてミハルがこんな幼い姿になったのか。
私に危害を加えようとしても力が足りなくする為・・・。
いや違う。私から遠のく為なんだ。
私の邪魔にならない為に、こんな姿と成り果てたんだ。-
リーンはミハルの最期が、どんなに辛く悲しかったかが解り、その想いを涙で受け取る。
「ミハル・・・私のミハル。
どうか負けないで。諦めないで。
必ず私の元へ帰って来て。」
幼女ミハルを抱締め、リーンはその耳元へ呟いた。
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ーリーンよ。そなたはどうしても離さぬと言うのか?-
碧き魔法玉の中でリインが問う。
「はい、聖王女。誰が止めようと私は一時も離したりしません。」
リーンはスヤスヤ眠る幼女を見て言った。
ー命を狙われてでも・・・それでも一緒に居ると言うのだな。-
「はい。」
ネックレスのリインに頷き答えたリーンは、
幼女の黒髪にそっと触れて言う。
「必ずミハルは元の姿へ戻ります。
その時迄、私は離れません。離れてはいけないのです。
約束したのですから・・・。」
ー約束?そんな約束をしていたのか?-
「はい。ずっとずっと前に。
2人でこの国を守ろうと誓った時に。
きっときっと2人は一緒に居ようって。
・・・そう、約束したのです。」
ー・・・・。-
リーンの言葉にリインが己がミコトと交わした約束を想い出す。
ーそうか。2人はそんな約束を交わしていたのか。
ならば、もう何も言わない。そなたはその約束を信じ、守るが良い。-
リインが言った。信じ、守れと。
その意味は遠く引き継がれた想いと同じ。
「はい。私はミハルを信じています。守って・・・守り抜いてみせます。全ての約束を。」
リーンが力強く言う。
青く澄んだ瞳のままで。
ーそうか。それがそなたの宿命か。
これが新たな宿命となったのか。-
碧き魔法玉の中でリインが頷いた。
「ミハル・・・。私はあなたを信じているから。
闇に堕ちず私の元へ還ってくる事を。」
幼き姿となったミハルの髪を撫でて、その想いを強く心に秘めた。
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<ピイイイィッ>
総員訓練用意を告げるホイッスルが鳴る。
「戦車前へ!」
リーンの命令が車内に響く。
「了解!」
ラミルがギアを入れ、前進させる。
「ねぇ、ミリアさん・・・。」
ボソリとルマが後ろに居るミリアに声をかけた。
「う、うん。これは小隊長の命令だから。」
ミリアもその姿に眼を向けて答えた。
「そこっ!訓練中に無駄口をきかないっ!」
2人の私語にすぐさま、リーンが注意をする。
「はい、すみません。」
ルマとミリアが肩を窄ませて任務に戻る。
2人が言っていたのは。
キューポラで前方を向くリーンの隣で、装填手ハッチから上半身をだしている者の事。
その者は、碧い皇族訓練士官服を着た少女。
風に黒髪を靡かせて笑っている幼女の事を話していたのだ。
マモルを砲手に抜擢したリーンが、訓練に連れてきたのは。
幼女ミハル。
リーンは一時もミハルから離れたくなかった。
それが新たな展開に導く。
次回 幼女ミハルとマモル
君は妖かしの姿に大切な人の面影を追う





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