魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep3破談 Act1幼女?妖女?
第97小隊は戦線から離脱し、エンカウンターの基地まで帰還していた。
ミハルを失い緊急の課題はその砲手をどう補うのかであった。
これから戦争はどうなるのか?
これからどう闘うのか?
事態はミハルを失い急変する。
「うっわー。ホントに可愛いっ。」
ミリアが少女を掴みあげる。
「ねぇ、マモル。これってホントにミハル姉の成れの果て・・・なの?」
ルマが幼馴染に訊く。
「う、うん。多分・・・間違いない・・・と、思う。」
ロッソア兵服を脱ぎ、フェアリアの上着に着替えたマモルが答える。
ダブダブの軍服を着たままの少女を見て、困った様に頬を掻いているマモルに、
「でも信じられない。ミハル先輩が突然幼女化するなんて・・・。
しかも、記憶を失ってしまっているなんて。」
首を振ってミリアが悲しむ。
「うん、そうですよね。僕が目を開けたらこうなってしまっていて・・・。」
訳が解らないと、マモルも首を振り答えた。
「それにしてもミリアさん。
リーン小隊長はこの2人をどうなさるおつもりなのでしょう。
まさか、隊員として配属させる気なのでしょうか?」
ルマがマモルを見て、その姿に少し頬を赤らめた。
「うん、確かに・・・。でも私達の隊には普通の陸戦騎が無い状態だから。
ミハル先輩の変わりってそうそう手に入る訳ないし・・・。」
ミリアもマモルをちらっと見て答えた。
「えっ?僕が何か?」
2人の視線に気付いたマモルが冷や汗を垂らして訊く。
「まあ、ミハル先輩とまではいかなくても、砲手は居るけどね。」
ミリアがマモルを砲手として、ミハルの代用とする案を言う。
「えっ?僕が?どうして?」
「マモルー。あなたロッソアでは砲手だったんでしょ?
記憶が無くても身体は覚えている筈だよ。」
ルマも、その案に同意した。
「いや、その、あの・・・。」
ルマに薦められてもどう答えていいのか判らず、マモルは口篭もった。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん達。あたしこの服のままなの?ふぅにゃあん、こまっちゃうんんんっ。」
ちっちゃなミハルがルマの服を引っ張って着替えたいと駄々を捏ねる。
「う、うーん。その姿に見合う服があるのかなぁ。」
ルマが困っていると、
「おいっ、ルマ、ミリア。小隊長がお呼びだ。
その2人と共に、指揮官室へ来てくれとさ。」
ラミルが4人を呼びにやって来た。
「はい。・・・じゃあ行こうか。」
ミリアが3人を促して、指揮官室へと向った。
「皆、揃ったわね。大切な話しがあるの。」
暗い表情のまま、リーンが話し始める。
「はい。」
リーンの表情に、其処に居る者全てが硬い返事を返した。
「我が軍は敗走を繰り返している今、
新たな車両を手にする事が出来たのは何よりだったけど。
ミハルが居ない今、砲手が必要なの。」
そこで一度話を打ち切ったリーンがマモルを見て、
「マモル君、君はロッソアの軽戦車で砲手を務めていたらしいけど・・・。
我々の砲手を務めてくれないかしら。」
「そら・・・きた。」
ポツリとルマが呟き、マモルをこつく。
「え?僕がですか?軍人でもない僕が?」
戸惑うマモルがリーンを見ると、
「君はミハルの換わりをするの。
あなたは私のミハルを身替りに闇から解放されたと聞いたわ。
あなたには砲手を務めて貰いたいの。」
強い口調で命令し、その瞳がマモルを睨んでいた。
「中尉・・・誰から聴いたのです?
僕が闇から解放された理由を。
ミハル姉さんが僕を救ってくれた事を。」
マモルがリーンの瞳を見詰め返して訊いた。
だが、その返事は返ってこず、
「マモル君、今よりあなたは我々の砲手を務めて頂く。解りましたね。」
有無を言わさぬ口調でリーンが命じた。
そして、
「では、諸君。明日より砲撃訓練を行うわ。
明朝800、訓練開始。いいわね・・・終わり。」
そう皆に告げると、解散を命じた。
ラミル、ミリア、ルマが敬礼し、退出しようとすると、
「そこの娘を此処へ残して行って。着替えさせるから。」
事務的にリーンが言った。
「あ、そうですか。お願いします。」
ミリアが小さなミハルをリーンの前まで連れて来て、
「良かったね。着替えさせてくださるって。
ちゃんとお礼を言うんだよ、ミハルちゃん。」
「うん。」
ぺこりと頷く少女ミハルの頭に手を置いてから、
「では、小隊長。宜しく願います。」
ドアを閉めて退出して行った。
指揮官室にはリーンとちっちゃなミハルだけが残された。
「ねぇ、リーンお姉ちゃん。これ脱いでいい?」
幼女ミハルが笑いかけて脱ぎだした。
「ええ、いいわ。ミハル・・・ちゃん。」
そう名を呼んだリーンの瞳が曇る。
自隊の基地へ漸く辿り着いてまだ半日も経っていないというのに、
もう数日も経ったような居た堪れない気になっていたリーン。
ーあの闘いの後、軽戦車から出て来たマモル君とこの幼女を見て、信じられなかった。
でも、その顛末を聖巫女に教えられて。
ミコトさんに別れの言葉を告げられて。
私のミハルはこの姿となってしまった。
私との記憶も失って・・・。-
服を脱いでいる黒髪の少女を見詰めながらリーンは想う。
ーどうしてミハルはこんな姿になる事を望んだのだろう。
どうして自分からこんな幼い姿へとなったのだろう。-
幼い少女の姿を見詰め、リーンは悲しむ。
「あの、リーンお姉ちゃん?着替えは?
あたし、裸んぼさんでこまっちゃうんんんっ。」
ボウッと考え込んでいたら、幼女ミハルに尋ねられて我に返る。
「あ、ごめんね。これを着なさい。」
リーンが衣装ケースからピンクのドレスを出して少女に着させる。
「わあっ、綺麗なドレス。」
ちょっと大きくはあるが、それが幼女ミハルには似合って見えた。
「うん、よし。これはこれで・・・いいかも。」
その姿に、リーンは目を細めて見入った。
そして、ケースからリボンを取り出し、
「これを着けると、もっと可愛く見えるか・・・ら?」
振り返りながら渡そうと姿勢を低くした時。
「ぐっ!」
リーンの首に幼女ミハルの手が。
ー何をするの?-
首を絞める幼女ミハルの顔を見て気付いた。
ーミハルの瞳が・・・赤く?-
リーンの首を締め付けるミハルの瞳が闇の色に染まっているのに気付いた。
妖しく輝くその瞳は、闇に堕ちた者の色に染まっていたのだ。
幼き姿に妖しい瞳の色。
その姿は・・・正に妖女。
突如リーンに襲い掛かる幼女ミハル。
その瞳は何を物語り赤く妖しい輝きを魅せているのか。
闇に呑み込まれた本当のミハルを求める闘いの幕が今開く。
次回 悲しき宿命
君は妖しき瞳の色に何を想うのか・・・





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