魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep2姉弟Act48宿命の終わりと新たな始まり
擦り抜けようと試みる軽戦車を逃がさない為、
ミハルは発砲する。
その結果は・・・
ホント・・・ドジっ子だね。君は!
「うーん、残弾3発の内一発で決めようと思ってたんだけど・・・
逃げられても困るから撃っちゃった。 てへっ!」
ミハルが舌を出して誤魔化した。
「・・・」
他の4人全員の痛い目がミハルを睨む。
「てへっ・・・じゃないっでしょう!?ミハルっ!!」
リーンが大きなタンコブを撫でながら怒る。
「死に掛けたからっ!もうちょっとでみんな死に掛けたんだからっ!」
ルマも涙目で怒る。
「センパーイ。滅茶苦茶ですぅ」
ミリアが目を回してひっくり返ったまま言った。
「私は知らん。何も知らんからな!」
ラミルだけが無事そうだが、ちょっと恐いジェットコースターに乗った後の様な呆けた顔をしていた。
車内は斜めに傾き、部品が周り一面に飛び散り、立つ事も難しい状況となっている。
「で・・・ミハル。これが<カメさんつーかまえた作戦>だったの?」
リーンが頭を摩りつつジト目で訊いてくる。
「う・・・えっと。つまり・・・そうです」
ミハルが言葉を詰まらせて答えた。
「思いっきり行き当たりばったり、計画性無し子じゃんか、ミハル姉!」
ルマが大声で皮肉った。
「ご・・・ごめんなさい」
ルマにも怒られ、ミハルは身体を小さくして謝った。
「に、しても。下の人達は何と思っているかしらね。
こんな作戦で捕まっちゃって・・・」
リーンが本当に気の毒そうに言うと、
「ほんとに何だか哀れですよねぇ」
ミリアもしみじみと答えた。
「で、でもっ。これで私達の勝ちなのですから。
これで戦闘不能確定なのですからっ!」
ミハルは自分の考えた作戦が巧くいった事を認めてもらおうと皆を見ると。
「ちなみに・・・こっちも戦闘不能ですからね?」
ミリアが身体をなんとか水平に保とうと側面に立った。
そう。
マヘトは軽戦車の上で横倒しになっていたのだ。
ミハルが軽戦車を逃がすまいと射撃を加えた結果。
その発射パワーがもろに圧力となって車体を元に戻す事となったのはいいが、
下に居た軽戦車もスピードを上げて擦り抜けようとしていた為、
相互の力によって、斜めに力が加わりその顛末は。
軽戦車の車体上に横倒しのマヘトが乗っかるという、
世にも奇妙な光景となり果てていた。
ー 予定ではずっしりとマヘトのキャタピラが軽戦車を押さえ込む筈だったのになぁ
砲手席側の側面に座り込んだミハルが考えた。
「で・・・これで勝った事になるのかしらね。
これじゃあ、また引き分けって事になるんじゃないかしら?」
リーンは何とかキューポラの天蓋をあけようとしながら呟いた。
「い・・・一応。上に乗って押さえ込んでますから。勝ったと言う事で・・・」
ルマが壊れた無線機をコツきながらミハルを援護した。
「あは・・・あはは。は・・・は」
苦笑いをして両手の指をツンツンしながらミハルは宙に目を向けて誤魔化す。
何とかキューポラの天蓋を開けたリーンが下の軽戦車を見て、
「下の人は無事かしら。弟君も怪我していないといいけど?」
心配そうにミハルに言った。
「はっ!そうだマモルは!?」
「・・・いつまで呆けてたんだミハル姉」
ルマが呆れて肩を窄める。
「リーン!私が外に出るから。私が話をするからっ!」
大慌てのミハルが横倒しの砲塔からリーンの足を掴んで言う。
「うん、解ったわ。先に出なさい!」
リーンが中へ戻りミハルに場所を譲る。
「ありがとうリーン!」
礼もそこそこにミハルはキューポラから出て、軽戦車の砲塔ハッチを叩いた。
((ドン ドン ドン))
叩きながら中に居る者に呼び掛ける。
「マモルっ!マモル大丈夫っ?返事してっ!」
ミハルの声に、砲塔ハッチが開く。
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[ふふふっ全く・・・とんでもない奴だな、あんたの継承者は!]
マリーが苦笑いしながらミコトに言った。
[いや・・・なんと言うか・・・面目ない]
マモルの身体を護ったミコトが心底申し訳なさそうにマリーとロナに謝った。
[いえいえ。聖巫女さんの継承者は大した策師ですよ。
ちょっと詰めが甘いですけど・・・ねぇ]
ロナは謝るミコトに笑い掛け、転覆した重戦車を見上げた。
[確かにロナの言った通り詰めは甘いかもしれないけど。
こんな結末を迎えるとは想いもしなかった。完敗だよ!]
マリーの魂は何故か満足そうだった。
[本当に・・・マリーベルの言う通り完敗です。
私の修復魔法も何の意味もありませんからね!]
重戦車に押さえ込まれた状況では手も足も出せないと笑う。
[すまんな2人供。後できつく叱っておくから・・・勘弁してくれ]
ミコトは2人に詫び、頭を下げる。
[ははは、聖巫女。いや、これでいい。
これこそ私の望んだ結末なのだ。
誰も傷付ける事も無く、憎しみも恨みも残らない。
完璧な決着だったと恐れ入っているのだ!]
剣士マリーの魂も晴れやかな声でミコトに答えた。
[そう言って貰えると助かる。剣士マリー、ありがとう]
ミコトの礼に、マリーとその継承者マリーベルそしてロナとロナウトの従者が微笑み、
[我々の心は晴れ渡った。最早何の悔いも残ってはいない。
こちらこそ礼を言うぞ聖巫女。そしてお前の継承者にもな!]
[漸く魂の行き場を得られた。次に会う所は天国だよ聖巫女!]
マリーとマリーベルが宿命から解き放たれ、魂の安息を求める。
[そうか・・・もう行くのか?4人共・・・]
ミコトが安息の地へと向かう4人の魂に訊く。
[ああ、古き友達が待っているのでな。それに継承者の弟も]
[剣士マリーよ、私は一つだけ気懸かりがある。この少年・・・マモルの事だ]
マリーベルがロナと共にマモルを見て尋ねる。
[ああ、私の槍か・・・それは私に任せてくれないか?
何とか闇から抜け出せる様に試みる]
ミコトが心配はいらぬとマリーベルに言う。
[どうする気なのだ聖巫女。どうやって闇から救うというのだ?]
剣士マリーの魂がミコトに方法を訊く。
[前にも訊いた事がある。マモルを救うには身替りが必要だと。
同じ力を持つ者の魂が必要なのだと。
・・・それが私の答えだ。解る・・・な?]
ミコトの瞳が妖しく輝く。
[ま、まさか!?聖巫女っ、お前は彼女を身替りにするというのか?]
マリーベルが驚く。
[その・・・まさか・・・だ]
4人の魂にミコトが断言した。
[それが私の継承者が受けた宿命。
自らの力と引き換えに、大切な者を救う。
それがミハルの宿命なのだ]
4人に告げたミコトの瞳は、何かを秘めて妖しく輝いていた。
ミハルの前に大切な者の姿が・・・
やっと逢えたその人に、心が躍る。
しかし、闇の呪いは消えてはいなかった。
次回 闇の呪い
君は大切な人との約束を守ってきた、辛い想いを耐え抜いて。
それは何処まで続くというのか・・・何時まで続けなければいけないというのか?





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