表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
209/632

魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep2姉弟Act12最初の邂逅

挿絵(By みてみん)



マリーの元に命令が届いた。

その命令に従い前進するKG-1重戦車。

マリーはその命令が己の運命をも変えるものだとも知らずに突き進む。

「車長!大隊長から命令です!

 中戦車部隊に続き、進撃セヨ・・・です!」


カラムがヘッドフォンを押さえて叫んだ。


停止している重戦車中隊を追い越して、M3中戦車隊が前進していく。


「続いて中隊長から命令!本車だけで中戦車隊を援護セヨって言って来ました」


カラムの報告に、


「くそっ、ヨハン大尉め。私達だけに貧乏くじを引かせる気か?!」


マリーが毒づいて中隊長車の方に目を向ける。


「仕方がないな。ほっておく訳にもいかん。

 ダリマ、M3隊を追え。ゆっくりでいいぞ」



一つの命令が自分たちの運命を変えるとも知らず4人は前進する。

その先に何が待っているのかも解らずに。


((キュラキュラキュラ))


キャタピラが不整地を噛み、車体が小刻みに揺れる。


「マリー少尉。先程の話なら、私達の戦車は無敵なのですね。車長が居る限り?」


ダリマが操縦しながら訊いて来る。


「ん?無敵かどうか解るものか。

 重砲の直撃を喰らってしまえば、どうなるか解らんぞ。

 だからあまり前に出るなよ」


マリーが注意を与える。


「そりゃ、そうだ!」


カラムは含み笑いをして納得する。


「マリー少尉・・・紋章を受け継ぐ者・・・」


ロナがずっとマリーを見て呟いているのに気付いたカラムが、


「おいロナ、さっきから何をブツブツ言っているんだ?」


無線手に呼ばれたロナが我に返り、


「あっ、すみません。

 私も大切な事を思い出していたものですから・・・」


謝るロナにマリーが、


「ん?何だ?その大切な事って・・・」


「あ・・・はい。この戦闘が終ったら、マリー少尉にお知らせします。

 とても大切な事ですので・・・」


ロナはマリーの顔を見てそう答えた。


「ふむ。私に関係がある事なのか?

 解った、ロナ。この戦闘終了後に話してくれよ?」


「はい。紋章の剣士様」


ロナがマリーの事を継承者の名で呼んだ。

その事に少し違和感を抱いたが、マリーは戦闘に集中する為に命じた。


「よし、早くこんな戦場から還れる様に、敵を撃滅するぞ!」


マリーはそう3人に命じ照準鏡に目を当てて、

目前に展開するM3隊に注意を払った。



「味方M3隊、苦戦中!」


カラムの叫びで車内に緊張が走る。

稜線の向こうで何が起きているのか。

味方中戦車が次々と撃破されていくのが、その立ち昇る煙の多さで解る。


「どう言う事なんだ、カラム!敵は何両居るのだ?

 それにこうも簡単に撃破されると言う事は敵の砲力も侮れないと言う事だぞ!」


これまで闘ったフェアリアの戦車ではこうも容易くM3を撃破出来るとは考えられなかった。


「マリー少尉!間も無く稜線を越えます。

 ・・・このまま突っ込みますか?」


ダリマが命令を求めて叫ぶ。


「相手が解らんのは危険だが、見てみない事には始まらない。

 かまわん、ダリマ。

 視界が開けるまで、突っ込め!」


マリーの命令に応えて、ダリマがアクセルを踏み込む。


黒煙が棚引く戦場に、マリー達の乗るKG-1が突入した。


「あっ!味方M3火災っ!撃破されました」


カラムが叫ぶ。


「何だ・・・と!?」


丘を越えて、視界が拡がる。


そこには煙を上げた味方中戦車が斯座している。


そして・・・気付いた。

敵がたったの一両である事に。

その敵が見たことも無い車両である事に。


「何だアイツは?あの車両は・・・重戦車なのか!?」


マリーの照準鏡に入ったフェアリアの戦車は、

 青く輝く紋章を浮かび上がらせて行く手を阻んでいた。


「車長!あれはフェアリアの魔鋼騎です!

 青い魔法マークを着けてやがりますっ!」


ダリマが叫び振り返る。


「何てこった!奴一両でM3隊を相手に闘っていたのか!」


カラムも驚き目を見張る。


ー  奴は・・・あの紋章は・・・


マリーの目に飛び込んで来たのは車体よりも、その青く輝く紋章だった。


ー  見つけた。あの紋章は・・・あの紋章こそ!


マリーの瞳が赤黒く澱む。


ー  フェアリアの魔女!<双璧の魔女>だ!


妖しく光る瞳に写るフェアリアの戦車に、

身体の奥から叫び声が聴こえた。


ー  奴を倒せ。千年の宿敵を討つのだ!


その声は、マリーの頭に響き渡る。


「いいか!奴を撃滅するぞっ。攻撃開始!」


声に支配された様にマリーが戦闘命令を下す。


「敵に気付かれる前に倒すぞ!ロナっ<硬芯徹甲弾(APCR)>を装填しろっ!」


マリーの命令でロナが硬芯徹甲弾を装填する。


「今だっ、撃てっ!」


マリーが照準鏡で捉えた敵に発砲する。


((ガオォムッ))


75ミリAPCR弾が高初速で飛ぶ。


照準鏡の中で赤く輝く弾が、目標に突き当たる。


ー  よし、命中だ!


マリーには命中箇所が目標にした所から僅かに逸れていたのが気になったが、

砲塔の側面に火花が散ったのが見えた。


走行射撃の為か、狙いが僅かに逸れたのが痛かった。


「くそっ! 弾かれたっ!」


マリーが悔しがる。


砲塔側面に当った弾が、その装甲を破れず弾かれてしまった。


「敵が気付きました!

 こちらに向って来ますっ!」


運命に導かれた戦いの第1幕が開く・・・


近付く敵魔鋼騎。

紋章を青く輝かせ砲塔をこちらに向けるその姿に決戦を挑む。

一瞬の判断が、その命をも奪う事にマリーは気付いていたのか?

次回 直撃

君はその闘いを記憶する。生き残れれば・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ