結果と、裁き
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──自ら、火を。
その告白は余りにも衝撃的で、聞いていたクリスタリオは自身の手の震えを抑える為に強く拳を握った。嘘だろ、と隣に居たアメジスタンが言葉を零す。
『偶然を装う為に、水魔法の得意な者が近くに居ないであろう日時を調べ、また傷が浅い内に完治されるのを防ぐ為、学院内医務室の治癒師の勤務表から、あまり高位ではなく経験の浅い者が勤務する時間を調査して実行日時を選びました』
様々な調査には、侯爵家が普段使っている闇の者を利用したのだと言う。彼らは口が堅く、確実に仕事をこなしてくれた。
また、古い傷がきちんと新しい火傷にならないと治療しても綺麗に治らない為に、ルチルティアナ達は気を配ったという。
『それがあんな結果を産む事になるとは、……私達は予想していませんでした』
計画は大成功だった。無事ルチルティアナは大火傷を負い、古い火傷痕は誰にも気付かれる事は無かったのだから。
しかし、ここからが誤算だった。
治療院の高位の治療師にかかれば火傷は綺麗に治るものと思っていた。実際には火傷を負った全ての皮膚が剥け爛れ、更なる苦痛を耐えて再生治療を施しても肌が元に戻る事は無かったのだ。
『再生治療を受けたのは私とジェダ様の意思でした。私の家族の説得も、ジェダ様がご両親を説き伏せて協力して頂いた結果だとの事でした。綺麗な身体に戻れればジェダ様との未来も幸せも手に入れられると、私はそう信じていたのです』
信じていたのです、とルチルティアナは再度繰り返した。彼女の瞳から、大粒の涙がはらはらと零れた。
『──以上が、私とジェダ様の、罪の、真相です。これで全てです。ご満足、……頂けました、でしょう、か……!』
声は震え、掠れ、嗚咽が混じり、最後には悲痛さを帯びた叫びのようになっていた。
彼女の視線の先で、ジェダもまた、泣いていた。嗚咽を噛み殺し、肩を振るわせ、涙を零し泣いていた。
アメリアが、パチン、と扇を鳴らした。
その表情は微動だにせず、ただ睫毛だけに憂いを帯びて二人を見詰めている。
『分かりましたわ。お二方の罪の告白、──このアメリアが聞き届けました』
隣では執事が優雅に一礼し、何かをそっとアメリアに差し出した。それは、鈍く重い輝きを持つ、奇妙な形の道具だった。
『どうぞこれを、お嬢様。……さあ、裁きの時間と致しましょう』
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