読んでも読まなくても楽しめる的な説明回(5章)
5章読破ありがとうございます。忘れた頃に説明回のお時間です。
作中に登場する専門用語や細かい設定を書きとめるこの企画も5回目……!
今回も、本筋に関わらない部分の小話など詰め込めたらなと思います。よろしくおねがいします。
あてんしょん。
※1~5章までのネタバレを含みます。248枚目、メルデルの逐語録④まで読了済が望ましいです。
<世界設定・専門用語編>
①白魔術隊:魔導王国にある白魔術士の部隊のこと。今回の編成は魔族中心だが、あくまでも実力主義の人選の為、薬学専攻の獣人や回復術が使えない白き者なども隊員に含まれている。
②世界法:魔導戦争後に再発足された四種族共通の約束事。破ると、その土地の裁量方法にのっとって罪量分の処罰をうけることになる。
③裁量と罪量:一般的に捕縛された罪人はその土地の独自法と世界法の両方で裁かれ、罪重を算出される。第三大陸、第五大陸には死刑制度がないが懲役は長く、禁固刑罰よりは奉仕刑罰が主である。
④骨守:イシクブールに始まり、第三大陸南部に古くからある竜骨信仰の信者のこと。竜骨信仰とは、竜骨伝説から派生した竜の尾骨という山脈に対する信仰が「骨についた肉を食べてくれる蟲」を対象にすり替わったものなのだという。
⑤セット家:スカルペッロ家が自治するようになる以前にイシクブールの管理を任されていた一族。詳しい事情は本編で語っている為に割愛するが、第一大陸から追い出された彼らはイシクブールの為に石切りを始め、続けていた。バクハイムに居を移した今も、セット家はイシクブールの為に麦を育てている。
⑥バクハイム:イシクブールの北東に位置する林に囲まれ、結界により外部から干渉を受けないように管理されている農村。村で栽培している麦は年中収穫があり、村で消費しない分はイシクブールに卸している。その実態は骨守の本村へ食料や物資を捧げる補給地点。本村に住む本家の骨守と「関わりを持ってはいけない」という教えを守り、これまで過ごしてきた。
⑦尻尾取り:白魔術士ツァツリーがラエルに出した課題。前髪をまとめ、耳を隠す為に使用している細長いヘアバンド用の黒布を軽く結び直し、これを解くことをクリア条件とした練習である。
⑧魔力糸:魔術師の基礎技術。魔導戦争の時代には回復術と合わせた研究がなされ縫合や魔力導線の治療に使用されていたが、現在は治療に使用することを禁じられている。ラエルは過去に父親からこれを使用した治療を受けているらしい。詳細不明。
⑨高魔力地帯化:白木聖樹に限らず、何かしらの原因で一定範囲の土地に「魔力だまり」ができる現象を言う。高魔力地帯では魔力子の濃度が他元素や成分を圧倒するので殆ど全ての生物が「魔力放射」の影響を受ける。
器以上の魔力が注ぎ込まれた生物は類を問わず変質し、晶化により絶命する。晶化直前までは異常に健康、もしくは狂気に支配されることが多く、特に後者のような影響を受けた生物は「変質個体」として植物類や獣類とは別のカテゴリに分類され、討伐対象として扱われる。これは、人間が変質した場合も同様である。
<作中魔術編>
①【黒】依然と不易を愛したまえ:上級土系統、認識阻害術式 (認知干渉)。
他者からの認知を「術者以外の無害な誰かとすり替える」魔術。やりすぎると誰からも認識されなくなる。被術者の「お願い」に術者が応じられない場合、途端に魔術が通用しなくなるというデメリットがある。
②【-】擬態暗示:中級土系統、認識阻害術式 (錯覚)。
生物由来の迷彩技術。基本は色をなじませるだけだが、形状変化による錯視現象を起こすことも可能。ただし後者は立体形成の技術が別途必要となる。
③【-】塗り立てた実像:中級水系統、認識阻害術式 (幻影)。
空気中の水分とその反射を利用して姿をくらましたり物を隠したり、無いものをあるように見せる技術。
④【-】引き出しの召喚鍵:上級空間系統、条件起動召喚式。
ラエルが所持している駆動収納や、ツァツリーが所持している武具収納といった装身具に搭載されることが多い召喚式。魔法具を制作した際に登録した者のみ術式を起動できる。引き出しの箱との違いは、ひとつの召喚式に対して登録できるものがひとつに限られるということ。
⑤【-】水玉拾い:下級水系統、物質構築式 (水)。
空気中の水分を集めて球体状の水塊を生成する魔術。
<魔法具編>
①黒革靴:黒革のハーフブーツ。ストレンからラエルに贈られた再就職祝いの品。靴裏などに耐久を始めとする生活魔術が術式付与されている。
②青き螺鈿:ミスリルと読む。導魔性、帯魔性に優れた金属で、他の物質よりも魔力子への抵抗率が著しく低いことが特徴。魔法具や駆動に使用される重要な素材の一つ。主な産地は第四大陸にある。
③白の装身具:白の許し。イシクブールの管理者から託された晶砂岩製の装身具を指す。結界通過時に非敵対意志を示したり、本村にアプローチする際に必要になる通過証になった。洞窟の仕掛けは装身具そのものの価値に固執せず、削り出した晶砂岩を山へ返すことで通過できるらしい。ただし、通過時に初見殺しがあった。
現在は通過者全員が紛失しているため、詳細は不明。
④鍵棒:イシクブールで一般的な鍵の様式。削った木材に凹凸をつけ魔法具として加工したもので、所持者が必要量の魔力を流し込むことで成立する鍵。回す為に作られていないので、差し込んだ後は上下に動かしたり押し込んだり独特な動かし方をする。
⑤謎の石板:灰色の石の板。竜の尾骨麓の地面に突き刺さっている。謎のくぼみには修復した円板が収まるが、それだけでは起動しなかった。
⑥謎の竜像 (バクハイム):やけに精巧な造りをした肉つきの竜像。バクハイムの宿の隣の空き地の隅っこに鎮座しているが、誰も何も言わないし突っ込まないので殆ど言及はされなかった。
⑦自動書記駆動:インクを詰めたカードリッジを差し込むことで使用する筆記用具。魔力を流し込むことで動くので、内在魔力が多い魔族や白き者が重宝する。セットになる紙にも種類があるので、ひとまとめに自動書記駆動といっても巻物型、書籍型、押印型など様々な種類がある。ツァツリーが持っていたのは巻物型。
⑧松明:油や魔力を染み込ませた布を先に巻きつけて使う木の棒。魔力由来の発火燃料を使用すると、油単体より長持ちする。
<生物編>
①ダシ貝:スープの出汁として使われる海産物。沖合で養殖されているので割と第三大陸ではポピュラーな食材。貝類だが海獣に分類される。
②麦:魔力を栄養に伸びる特性を持つ植物類。茎と葉は麦藁として、穂は麦粉や麦酒の原料になる。バクハイムでは第三大陸に流通している麦の内三割ほどを生産しているが、その殆どは地産地消でイシクブールの外へ出回ることは殆ど無い。
③鮮華粘菌:色鮮やかに脈打つ獣類。高魔力地帯化の兆候の指標として挙げられる生物で、高魔力高多湿の土地に発生する。岩に貼り付くように生息し、分裂もしくは子実体を介した胞子散布により生息域を広げる。魔性的な美しさを持つが、その生息域は生物にとっての毒地に等しいので、第二大陸では度々「見つけても見つづけてはいけないもの」の一つとして恐れられている。
④白木聖樹:白木聖樹信仰――ノット教の信仰対象であり、彼らが管理している植物類。遊色の木肌に竜血の冠とが主な特徴の白い巨樹。その葉は万病に効き人の魂の返る場所とされ、その幹は遥か太古の祖先のもので切り捨てることは許されず、その枝は天へと伸ばされる腕であり「剪定士」が切り落とすべきものである。魔力を栄養に成樹まで急成長した後は、周囲を高魔力地帯化させて生態系を破壊し、後々反転現象により胞子を散布する。ノット教で香木を焚くのは「剪定士」が切り落とした聖樹の枝をどうにか処理しなければならないからである。
⑤締縊蔦:高魔力地帯の中心でも自生する、非常に環境適応力が高い蔦植物の類。魔力を栄養に伸びる特性を持ち、白木聖樹信仰が推奨する「剪定」と「成長阻害」に欠かせないので、度々信仰の意匠などにこれを元にした蔦柄が用いられる。
⑥フタクチ:魔獣。二口蝙蝠とも呼ばれる。その名の通り口が二つになった目なしの蝙蝠で、非常によく群れる。遭遇しても特に攻撃してくることはないが、群生すると洞窟の中が糞尿の海になるので他生物が住める環境ではなくなってしまう。これが原因で滅びた地域があるので、各地で増えすぎないように定期的に個体数を管理する活動が行われている。
⑦カラコール:獣。腕で抱えられるくらいのでかい蛞蝓。今回岸壁を這っていたのは「宿なし」だった。大きな振動に対し腹足を縮めた防御姿勢をとるので、洞窟内で大声を出すと天井から降って来ることが多い。いじめると有害物質を撒き散らすこともあり、見かけても放置するのが普通。一方で怖れ知らずに撫でまわす者もいる。
⑧大蛇斑:魔獣。蛇斑の変質個体で、巨大化、凶暴化したものを指す。
キーナとグリッタが洞窟内で遭遇した大きな蛇は「蛇斑」の大物であり、「大蛇斑」ではなかった。「蛇斑」も「大蛇斑」も毒を持たないので、捌いて骨を抜けばしっかり食べられる。洞窟内で倒された蛇は、野営のメインディッシュになった。
⑨沼蛇擬:獣。第二大陸のとある沼地に生息する固有種。沼蛇という無害な蛇が別に居るが、こちらはモドキなので毒がある。見分ける方法は舌と血の色。第二大陸では災いの身代わりを意味するお守りのモチーフによく使われているらしい。
<食べ物編>
①薬草酒:カフス売りが針鼠のお見舞いに持ち込んだ酒。フェルネ、ともいう。第二大陸では「禍避け」という厄除けの意味合いで贈られることが多い。滅茶苦茶苦い。
②果実水 (蔦囲いの宿):ラクスを中心にベリ系果実の酸味を加えたすっきりな飲みごこち。
③聖樹の枝と四色パテ (蔦囲いの宿):豆パテ、肉パテ、バターパテ、ジャムパテの四種類がついて来るモーニングセット。
④牙魚とコールスローのパン包み (蔦囲いの宿):油で煮た牙魚を解してバターと練り混ぜたものをパテにして、根菜や葉野菜のコールスローと共にパンに包んだもの。すっきりした後味だが腹持ちは良い。
⑤油びたし肉詰めパン包み (東市場):主役は肉と油。しかしパンが美味しくないと成立しない。
⑥ノハナ草入りのミルクティ (バクハイム・村長宅):ノハナ草入りの苦いお茶。どういう仕組みかは定かではないが、白の許しを身に着けた人には苦味が感じられない。
⑦麦粥 (バクハイム・宿屋):麦にカムメ肉と香草、チーズという乳製品を加えて煮込み作る。隠し味は発泡酒。
⑧牙魚の骨揚げ (バクハイム・宿屋):魚の骨を素揚げしたもの。パリパリと美味しい。
⑨茹で豆 (バクハイム・宿屋):茹でた豆。塩をふると無限にいける。
⑩根菜の酢漬け (バクハイム・宿屋):ピクルス。歯ごたえのある美味しい漬物。
⑪麦酒 (バクハイム・宿屋):麦などを原料に作られる発泡酒。お酒は適正年齢になってから。
⑫干し肉:針鼠が常備している保存食。黒髪の少女はこの食べ物が苦手らしい。
第二大陸、第四大陸、白き者や白き者に関しては、またの機会に。
次回更新は登場人物紹介となります。




