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【詩集】さいごのはじまり  作者: につき
20/21

「それでも」「それでもの糸」

「それでも」






言えない嘘がある

口に出せない本当がある

それでも

明日は続いていく


叶わない願いがある

捨ててしまった思いがある

それでも

今日は現れる


さよならを言えなかった人がいる

黙って薄れていく面影がある

それでも

昨日は過ぎていく


この世は

どんなに飾っても

嘘と本当の間だけ


それでも

隙間の真実は

それでも

隠れた顔をして

それでも

声は出さないで


それでも

いつも繰り返す

ごまかし合いと勘違い


それでも

いつも繰り返す

騙し騙され瓜二つ


それでも

いつも繰り返す

信じてやがて裏切られ


それでも

いつも繰り返す

歯を食いしばり

耐えながら


あなたの

わたしの

裏側で

素直にじっと目を凝らす


それでもよくなるその時を

それならいいならその時を

そうなればいいその時を


それからの時を待っている











「それでもの糸」






いつか忘れたそれからの

途切れて切れた

向こう側


あなたの

わたしの

それなりの

真っ直ぐ上げた顎の先


それでもの糸

手繰り寄せ


裏路地あたりのどぶ板で

家の裏手のどぶ川で

まったく気づかず溢れてる


夜中に光る夜光虫

明け方に鳴きだすアホウドリ

寒さに負けたオコジョの仔


鼻水垂らした一寸法師

針の刀に金の糸


あなたの糸はこれですか

わたしの糸はどれですか

だれかの糸が邪魔をする





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