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【詩集】さいごのはじまり  作者: につき
13/21

その白き頂き

太い幹を ばりばりと縦に 真っ二つに裂きながらも

たわわに 実を 実らせることを 止めない 巴旦杏の老木


気絶するほどの 過酷な 銀杏の巨木への 打ち込みを繰り返し

果てには 枯らしてしまうほどの 侍


食事もとらず 眠りもせず 唯一枚の キャンバスだけを

塗ることに 全てを 捧げて 死の永遠にも 描くことをやめない

一枚の絵も 売れた事のない 一人きりの 貧しい絵描き


誰でも命ある限り やむにやまれぬ 一つきりが ある


その命果てても 尚 あきらめきれぬ これだけは がある


アルタミラの岩絵


ロゼッタストーン


兵馬俑


神話の神々は 星になりたかったのではない


足掻いて 足掻いて 固い岩盤に 爪は剥がれ


血にぬめる手で 


俺は こうして 生きていたのだ


私は どんなに 生きていたのか


がりがりと 時の 無情な 壁に 齧り付いて


最後の 大きく 見開いた まなこで


今も尚 


歴史に 顧みられることのない 野の花となって


進化に 取り残された 深海の 生物となって


決して 太陽に照らされることのない 月の裏側の岩山となって


我々に 託しているのだ


叶わなかった 思いを


吐き出せなかった 叫びを


辿り着けなかった 白き頂きを


どうにもならない思いを抱えて誰でも生きているのです。先のことなど分からぬままに、己を売り騙しそれでも本当を捨てきれずに、足掻いているのです。

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