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中年聖騎士は、気付かぬうちに武を極める  作者: 陽山純樹
第二章

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討伐へ

「討伐についてはノーク殿が仰るとおり、慌てる必要はないでしょう……しかし、これはこの砦の戦力を高める絶好の機会でもある」

「確かにそうだが、リスクはもちろんある」

「はい、討伐は慎重に行う必要があるでしょう……幸いながら、今回の魔物は観測している限り、活動するにしても魔物全てが一斉に外へ出ることもない……少しずつ魔物の数を減らしながら戦えば、被害を出さずに討伐できるかと」


 エリアスの主張にノークは「うむ」と納得の表情を見せる。

「不測の事態に備えて色々と態勢を整える必要はありますが……ノーク殿、人選はこちらで行いたいと思うのですが」

「調査に帯同する人員を踏まえると、君は既に誰を最初に鍛えるべきかは決めているようだな」

「はい」


 ノークの指摘にエリアスは同意。すると、


「わかった、ならば君の判断に任せよう……最終的に人数はどれほどになる?」

「不測の事態に備えて、ということを考えると合計で十人程度ですね」

「私としてはむしろ少ないくらいなのだが、それで構わないのかね?」

「はい、問題ありません」

「うむ、では頼んだ」


 その返答にノークは告げる。人選については一つとして文句を言うことはない――ここは魔物を観測した歴戦の騎士であるエリアスの判断を信じるという様子だ。

 エリアスはすぐさま部屋を出て人の選定を始める。その道中でジェミーと顔を合わせ、


「この砦の戦力で討伐を行うことになる。もしよければ、君も参戦してもらえないだろうか?」

「それは、魔物と戦うということでいいのよね?」

「ああ」

「わかったわ」


 あっさりと承諾。北部の開拓に参戦しようというのであれば、戦うことは覚悟しているというわけだ。


「よし、それじゃあフレンを呼んで準備に取りかかろう」

「どのくらいで出発するのかしら?」

「数日以内にはどうにか」

「それなら問題はなさそうね」


 引っ掛かるようなジェミーの発言。それにエリアスは眉をひそめ、


「何かあるのか?」

「魔物の動きは巣を守ろうとしている……さらに言えば、外の様子を確認しているくらいのものでしょう。ただ、問題は魔物の数。調査した洞窟は閉鎖的にどこかと繋がっているというわけではないのでしょう? であれば、数が増えれば必然的にいずれはあふれかえってしまう」

「まあ、そうだな」

「それがいつになるのかはわからないけれど……洞窟内のスペースは余裕があるとしても、それは魔物が判断すること。自分達の住処が手狭になったと判断すれば、巣の外へ這い出てくるかもしれない」

「今までは洞窟内にこもっていても問題ない数だったが、それがそう遠くない内に崩れ、魔物が外に出るかもしれないということか」

「ええ、それがいつなのかは不明だけれど……」


 と、ここでジェミーは口元に手を当てた。


「それに、私が魔力で捕捉した個体……外に出て何をしようとしていたのか……あの魔物を見つけたのはあの時が初めてだったのだから、わからないことも多いけれど……あれこそ、外に住処を求めるため様子を見に来たのかもしれない」

「……最悪を想定するなら、可能な限り早く討伐を行った方がよさそうだな」


 エリアスはジェミーの発言を受け、そう決断する。


「ひとまず、そちらも準備を。何か必要な物があれば俺かフレンに頼んでくれ」

「ええ、よろしく」

「ああ、こちらこそよろしく頼む」


 応じたエリアスは、速やかに行動を開始した。






 準備ができたのは二日後、エリアスは自身を含め総勢十名ほどの人員と共に、砦を出立した。

 戦闘要員としてはエリアスに加えジェミーと、調査に帯同したルーク、レイナの二人。そこに後方支援役のフレンによって五名。残る五名の内、二名は荷物を持つ兵士であり、残る二名は騎士として称号を持つ者。ただし新米騎士であり、騎士としての技術はあるがまだまだ駆け出しといった面子。そして残る一人は、魔法使い。以前、索敵魔法について指導を行った女性魔術師である。


「この隊について、基本的な動きを今から説明する」


 道すがら、エリアスは話し始める。


「前衛として動き回るのは、俺とジェミー、ルークとレイナの四名だ。兵士二人はナナン山付近に辿り着いたら、フレンと共に天幕を張ってくれ。長期戦の可能性もあるし、近くに拠点は必要だ」

「長丁場になるのは避けたいですけどね」


 フレンが言う。エリアスはそれに首肯しつつ、


「ルークとレイナ以外の者は、天幕周辺の守備を頼む。魔物と交戦した場合、何が起こるかわからないため、細心の注意を払うように」

「攻撃は四人で問題ないの?」


 と、ジェミーが尋ねるとエリアスは、


「洞窟の規模感から考えると、あまり大人数でも動きにくくなる……もし危険であると判断したらおとなしく退却して、改めて戦力を整える」

「……少し、不安ですね」


 今度はレイナが発言。魔物との戦闘経験がない――加え、魔物の数が多いとなったら不安を抱くのも無理はない。

 しかしエリアスの考えは違っていた。


「大丈夫、確かに強い個体はいるかもしれないがルークとレイナならいける」

「……本当ですか?」

「ああ……その理由については、戦いが始まればわかるさ――」


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