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中年聖騎士は、気付かぬうちに武を極める  作者: 陽山純樹
第二章

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魔法使い

 ナナン山への報告を行った数日後、ノークの下に指令書が届いた。結果から言うと山を調べ、討伐すべき魔物かを確認せよとのことだった。


「魔獣討伐によって、国も色々と動き出している……その中で、北部開拓を阻む残る強敵……それに備え、魔物を倒しておこうという考えのようだ」


 ノークの部屋でエリアスは報告を聞く。そして内容を聞き、


「その目的は、後顧の憂いをなくしておくためですか?」

「それもあるが、話によると北部開拓を阻む二体の難敵……その内の一体は、配下だけでなく周辺にいる魔物を操ることができるらしい」

「それは危険な能力ですね」


 ――現在、従者のフレンは二体の強敵に関する情報と、北部の政治的な情勢について調べている。まだ報告は届いていないが、彼女の情報集めが終われば、その辺りの詳細も聞けるだろう、とエリアスは思った。


「場合によってはナナン山にいる魔物が、そうした敵に操られて攻撃をしてくる可能性があると?」

「……魔獣は、それこそ広い範囲に影響を及ぼす存在だ。人によっては自然災害と変わらぬ恐ろしさがあると語っている」

「ええ、それには同意します」

「特に魔物を操る能力……発動されれば、被害が拡大するだろう。よってナナン山という遠い場所でも、調べて場合によっては対処しておく必要がある、と考えたようだ」


(……北部において、開拓した場所の魔物が少ないのはその強敵の存在があるのかもしれないな)


 最前線以外、魔物が少ない現状を振り返りエリアスはそう感じた。


「わかりました……問題はここに指令書が来たということは、この砦の人員で?」

「うむ、後方支援の砦であるため、そう戦力は多くないが……調査であれば問題ないだろうと」

「索敵をするにしても、ある程度距離を置いて行う場合はそれなりに設備も必要です。しかも魔法は相応に規模が大きくなる。場合によっては魔物を刺激するかもしれません」

「うむ、細心の注意を払う必要性がある……とはいえ、多少なりとも援助はあるらしい」

「援助?」

「そうだ、北部の最前線に人が持って行かれているという状況は王都も承知している。よって、状況に応じて人を雇い入れて対処をする、と指示がされている」


(つまり戦力を自前で雇えと)


 エリアスは理解しつつも、ナナン山周辺における人気のなさを思い返し、


「……しかし、単なる魔物調査に付き合ってくれる人間がいるでしょうか?」

「そこは懸念しているが……エリアス殿、調査において必要な人員とは何だ?」

「もし魔物が出現して対処する必要に迫られる……といった場合はこの砦から人を用意しておけば大丈夫かと思います。さすがに魔物の巣といっても、洞窟は閉鎖空間ですし、瘴気が濃いとは言えないので危険度が高い可能性は低いですし」

「うむ、白兵戦を行う場合の戦力は問題ないと」

「しかし索敵を行う人員が少ない……この砦で魔法を扱える人間はどの程度いますか?」

「五人程度だが、設備を伴った魔法を扱う経験を持つ者はおそらく皆無だ」

「ならば、魔法使いが必要になりますね。索敵魔法を形成し、維持するための人員がいります」

「もし人を雇うなら魔法使いだな……ナナン山周辺には人が少ない。よって、最寄りの町で魔法使いを雇うしかあるまいな」


 と、ここでノークはエリアスの目を見た。


「人を見極める目は持っているか?」

「……能力が高い低いはある程度わかります。問題は、こちらの指示をちゃんと聞いてくれるかどうかですね」

「聖騎士という君の称号を用いれば、ある程度指示は聞いてくれるように思えるが……ともあれ、指令書は来た。ここは私達だけで調査をしよう」


 エリアスはその言葉に頷き、一つ尋ねる。


「人選はこちらでやっても?」

「ああ、構わない。ただ、あまり多くの人を引っ張っていかれては砦の仕事に差し障る」

「わかっています。人員は……そうですね、先日自分の調査に同行したルークとレイナの二人、そこからさらに二、三人とフレンがいればおそらく可能かと」

「そのくらいならば問題ない。本人が承諾するのであれば、連れて行ってくれ」

「わかりました」


 エリアスは返事をして部屋を出る。そこで、廊下を歩くフレンの姿が見えた。


「あ、エリアスさん。ノーク様に呼ばれたんですか?」

「フレン、進捗はどうだ?」

「報告はまだ先です。情報のとりまとめも必要ですし」

「わかった。とりあえず作業は中断してくれ。調査任務ができた」

「調査……ですか?」


 エリアスはそこで事情を説明する。彼女は内容を聞いて幾度か頷きつつ、


「では物資の準備などは私にお任せを」

「俺は人を集めてくる……フレンの方でこの人物がいい、という候補はいるか?」

「そこはエリアスさんにお任せします」

「そうか。では、早速動いてくれ。俺は最寄りの町へ向かい、ギルドへ話を通してくる」

「調査に協力してくれそうな人員はいるでしょうか?」

「こればかりは町へ行かないとわからない。場合によっては人が見つからず調査が遅れる可能性もあるが……ま、スムーズに調査できるように祈っていてくれ――」


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