11/30 目指すはゆきちゃんち。え? 緊急しれい?
『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』
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11月30日 花嫁奪還大作戦その13 ビューンと到着!案内人は•••、ホントに大丈夫!?
の案内人話
「時雨さん」
はっ!
ボスがかがみこんで俺を見ていた。緊急しれい? めいでー?
ゆきちゃんに会いに行くだけど、とりあえず、
「んなっ」
なに? ボス!
「ちゃんと、予定の時間に間に合うように無理なく安全に清水先生を雪姫さんのアトリエにお連れしてくださいね」
え?
ハードル高くね?
清水?
誰それ?
予定の時間?
なにそれ?
ボスは無言で変な頭飾りを俺につける。
「似合ってますよ。雪姫さんに見せるのが楽しみですね。これも落としちゃダメですよ」
「んなっ!?」
ハードル上がった!?
そりゃかっこいい俺を見てもらってゆきちゃんに惚れ直してもらうのは決まりごととしてな。
案内しながらぁ?
「清水先生は梅雨ちゃんのお父さんですからね。よくしてあげないといけません」
「んな〜ぁ?」
梅雨の父親〜
「な!」
さっきソウに板のむこうでいじめられてた奴!!
「んにゃっ」
しょーがないから優しくしてやるか。
「いつもたぬきさんがご迷惑かけてますからね」
しみじみというボス。
「なー」
確かに。
お転婆にもほどがあるだろっていうのがたぬきだ。
「上手に出来たら今日は尾頭付きですよ」
!!!
「んなっ!!」
任せろ!
今からか!?
「すみません。この子の定位置はどの辺りなら迷惑にならないでしょうか?」
定位置?
まだ待機?
「それではこちらに」
よく見かけるおんなじ服を着た雄がボスの言葉に応じて案内に立つ。
雌がいいぞー。
雌なら触ってもいいぞー。
雄はイヤー。
ボスがここにいなさいと撫でてくる。
「失敗したら、外出禁止と、暫くのごはんはカリカリですからね?」
「んな!?」
リスク高くね!?
しかたないから頑張ろうと思う。
求めるはゆきちゃんの称賛と尾頭付き!
早く来い!
梅雨の父親!
ーーーーー
「尾頭付きですかー」
「ええ。ししゃもとちりめんじゃこが良いかと。一応、見送った後、買いに行きます。あ、清水先生がいらしたようですね」
そんなボスと駅員の会話はゆきちゃんと尾頭付きで満タンな俺の心には入ってこなかったのだ。
ヒラメかな?
少し大振りの鯵もいいな。
尾頭付きー。
ゆきちゃんにそばにいてもらえたらしあわせーん。
「んなーーーん」
『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』より清水先生と梅雨ちゃんを
『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』より雪姫ちゃん
『うろな駅係員の先の見えない日常』より
うろな沢駅の駅員さんをお借りしましたー




