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時雨  作者: とにあ
18/31

6/24 堂島家のおやつ時間

「ばさしでいいと思うの」

「チャイロは?」

「天音ちゃん、柊子さん。それはちょっとどうかと思うんだけど?」


堂島家の居間。お茶菓子のおせんべいをぱくつきつつあまねが「ばさし」という名前を提案し、お嬢が「チャイロ」という名前を提案。

ソウが再考を促している。

昨日、会った小生意気な犬の名前候補である。

「雷撃号とかは?」

いずるがミルク色のカルピスを飲みながら候補を挙げる。

「堂島本家に雷撃号一号と二号がいるのでかぶりますね。ちなみにバスターと、クロとソライロはすでに使用済みですから」

ボスがダメだしをする。

「オルトロスでトロ」

みはるが机にガラスの器を置く。

プルプルの透明な物体に黄色い粉がかかっている。

砂糖の甘いにおい。

「わらびもちー。鈴音のはくろみつがいいのー」

すずねは名づけに興味がないらしい。

「今日は全部きなこにした。また作った時に覚えてたらな」


「さなえさん、わらびもち取り皿に取りましょうか?」

ソウがボスに伺いを立てる。

「自分で取れます。大体大げさなんですよ。ああ、お嬢様、本当にたいしたことなかったんですからね?」

お嬢が泣きそうになりながらボスのためにわらびもちを取り皿に取る。

「だって、怪我をしていたのに気がつかなかったなんて。ずっと側にいてくれているのに」

ボスが一瞬浮かべて隠した表情は「気がつかれてたまるか」な感じ。


「じゃあ、名前の候補は「ばさし」「ちゃいろ」「とろ」「わらびもち」に「くろみつ」だね」

あまねが二枚目のおせんべいに手を伸ばしながら言う。

わらびもちとくろみつは名前候補として発言されたわけではないと思う。

「公志郎様にメールします?」

ボスがそそっと話をふる。

怪我の話題から離れたいのだろう。


しかし、ちゃいろ以外が食品系ばかりだなー

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