6/23昼ごろ
今日は車に乗せられて残念男の病院にいくらしい。
「にー」
今日もバッグの中から、たぬきの声がする。
「お見合いだってー」
いずるが楽しそうに笑う。
「ケイドロに行きたかったんじゃないですか?」
ボスがいずるを気遣う。
「時間があったら様子見にいくけどさー。おもちゃ屋のおじちゃんトコにカード引きに行ってお肉屋さんでコロッケ買うの。さなえ姐さんもコロッケいる?」
「なーーー」
コロッケ食うーーー
「時雨さんはコロッケダメです。ペット屋さんで後でおやつ買ってあげますからね」
「ほんと時雨って食い意地張ってるよなー」
「なーーーー」
食べることは生きる基本だー。
そんなやり取りの末、気がつけば檻の中、体格的には同等だろうチビと向かい合っていた。
「がぅううう」
チビがビビリながら威嚇してくる。
「んなあ?」
なまいきだぞおお?
「んにゃあーーー」
お前何ーーー?
たぬきが仔犬に飛びついた。
好奇心だけで飛びついたらしい。
「がぅ!」
よるなっ
当然、威嚇され吠え声にびびったたぬきが一旦下がる。
しかし目が輝いている。
本気でこのたぬき。馬鹿だな。と思う。
「ん、みゃあああ」
あーそーぼーーー
数回繰り返した後、仔犬はたぬきに敗北した。
なにせ首根っこに噛み付くふりをしても、たぬきは動じなかった。
まぁ、どんな状況か理解できてないようだったけどなー。
遊びだと思って喜んでた。
もしかして大物なのか?
「ふなぁああ」
「大あくびだなー。時雨」
残念男が撫でてきたので引っかいておいた。




