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和製ファンタジーにおける”属性魔術”の体系化について  作者: 囘囘靑
第三章:魔術集合論(または、素朴魔術論)
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3.4.オーラの集合と「万華鏡の比喩」

 前回は「属性魔術を構成する個々の要素の集合よりも、個々の要素により構成された属性魔術の集合のほうが濃度が大きい」、つまり{X(n)}<{M(n)}であるという結論を、集合論における対角線論法で説明いたしました。


 今回は「オーラの集合」についても考えてみたいと思います。その際に利用するのもやはり対角線論法です。

 前回と同じ手順で、今度はオーラの無限数列{A(n)}をもう一度表記してみましょう。


{A(n)}=A(0),A(1),A(2),A(3),……(nは自然数)


 オーラはこのように表記することができました。属性魔術{M(n)}の際に述べた説明と同じく、たとえばA(0)には「火のオーラ」、A(1)には「水のオーラ」などが該当するわけです。この数列は、ただ思いつく限りのオーラを適当に並べているだけです。なので、nの大小に意味はないのも属性魔術{M(n)}と同じです。


 ここでもう一度、読み手の皆様にはこれまでのテキストの中身をもう一度思い出していただきたく思います。特に第一章と第二章で論じた二つの魔術についてです。「火の魔術」と「水の魔術」の共通点は、いずれもオーラにより発現しているということだけではありません。


「いずれのオーラも、可視的であること」


 これがオーラに与える示唆には重大なものがあります。


 ここで一旦本文から離れて、読み手の皆様は万華鏡を想像してみてください。万華鏡の中に詰まっているのは、それ自体は見栄えのしない色とりどりのフィルムです。ですが、それが三角の鏡身の中で組み合わさることにより、万華鏡は私たちの目の前で鮮やかな文様を作り出すのです。


 「個々の断片では意味を有さなかったフィルムが、形を帯びることで一つの意味(=文様)をなす」という万華鏡の構造は、オーラにも通じるものがあるはずです。


 例をあげて考えてみましょう。「火のオーラ」というものがあったとします。このオーラもまた「形を帯びた一つの意味」と捉えることが可能です。そして、オーラを構成する役割として、「フィルム」としての要素が最小単位として存在するはずです(以下、オーラを構成する最小単位をYとします)。


 オーラもまた最小単位Yによる構成物だとするならば、最小単位Yもまた無数に存在することが担保されていなくてはなりません。今、ここで最小単位Yを無限数列だとすると、


 {Y(n)}=Y(0),Y(1),Y(2),Y(3)……(nは自然数)


 となります。すなわち{Y(n)}はありとあらゆる魔術オーラを規定するすべての最小単位を示した数列であると考えることができるのです。


 ここで、オーラ{A(n)}の各要素(A(0),A(1),A(2),A(3),……)と、最小単位{Y(n)}の各要素(Y(0),Y(1),Y(2),Y(3),……)をマトリックスで図式化してみましょう。当然個々の属性魔術に当てはまる特徴にはグラデーションがあるので、ある属性魔術Mがある特徴Xを持っている際には、そのクロスする箇所に「1」を、そうでない場合には「0」を記します。


 こうして作成されたのが図①挿絵(By みてみん)です。


 ……前回の話を読んでくださった方は、「おや?」と思うかもしれません。実はこの図で述べていることは、前回の結論を述べるときに使った手法と同じだからです。A(0)のラインにおいて「1」と書いてある箇所は、Y(1)とY(3)にあたります。これはA(0)というオーラが、そのオーラを構成する最小単位としてY(1)とY(3)を有しているということを表しています。この表はn=3までで終わっていますが、実際には無限にまで続くマトリックスが構成されており、そこにすべてのオーラとすべてのオーラを構成する最小単位とが書き出されていると考えてください。


 すでに確認したとおり、{Y(n)}はオーラを構成する最小単位です。したがって個々の要素にはデジタル的な番号を振ることが可能であり、{Y(n)}は自然数Nと同等の役割であるということが分かります。


 後に控えている作業は、前回と同じです。 図②挿絵(By みてみん)を見てください。先ほどの図①のところで対角線に位置する数字が赤く示されています。この赤い数字を「0」ならば「1」、「1」ならば「0」に換え、数列{A’(n)}として並べてみましょう。


  {A’(n)}=1・Y(0),0・Y(1),1・Y(2),0・Y(3),……


 対角線上の数値を反転させて横に並べたオーラ数列{A’(n)}は、{A(n)}内におけるすべてのオーラと異なる新しいオーラです。まずA’(n)は、A(0)と、最小単位Y(0)において異なっています。次にA’(n)は、A(1)と、最小単位Y(1)において異なっています。このようにA’(n)は、A(k)と、最小単位Y(k)において異なることになり、したがってすべてのオーラとk番目の最小単位で異なるオーラであるということが分かります。


 このことから、私たちは次のことを結論付けることができます。


 結論①「オーラを構成する個々の最小単位Yの集合よりも、個々の最小単位Yにより構成されたオーラの集合のほうが濃度が大きい」、つまり{Y(n)}<{A(n)}である。

 結論②「また{Y(n)}を自然数の集合とみたとき、自然数の冪集合にあたる{A(n)}の濃度は実数と同じになる」


 ――後半のアプローチ手法と、この結論は、前回とほとんど同様です。ただ「属性魔術」に当たる箇所が「オーラ」に代わり、「最小単位X」が「最小単位Y」に置き換わっただけです。


 ここでもやはり結論②が重要になってきます。この結論と前回の結論②こそ、「オーラでない属性魔術が存在する」という前提を打ち砕く処方箋となるからです。


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