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和製ファンタジーにおける”属性魔術”の体系化について  作者: 囘囘靑
第三章:魔術集合論(または、素朴魔術論)
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3.3.属性魔術における「賢者の石」

 前回までにおいて、命題を考えるための前提として、集合論的アプローチを用いることを説明しました。ここではまず「属性魔術の集合」の濃度が、どの程度の大きさであるのかを確かめてみたいと思います。

 属性魔術の無限数列を、ここでもう一度示してみます。


 {M(n)}=M(0),M(1),M(2),M(3),……(nは自然数)


 この数列は、「属性魔術の集合」である{M(n)}には、M(0)(=火の魔術)やM(1)(=水の魔術)といった要素が含まれている、ということを示すものです。

 この数列で見逃してはならないことは、「要素そのもの(=○○の魔術)もまた、特徴の集合により構成されている」という事実です。


 たとえば第一章で扱った「火の魔術」について考えてみましょう。火の魔術が固有に持つ特徴とは何でしょうか? もっとも簡単なものは「物を燃やす」という特徴です。他にもずるい言い方をすれば「物を濡らさない」といった否定的特徴を盛り込むことだって可能でしょう。


 このように、「火の魔術」以外の魔術でも、その魔術を特徴付ける要素を無限にあげつらうことが可能です(「火の魔術」は、「水の魔術」の特徴を持たない、かつ「風の魔術」の特徴を持たない、かつ……etc.のように)。


 では、こうした特徴の存在・不在を式に表すためにはどうすればよいでしょうか? ここで一旦「賢者の石」なるものを想像してみましょう。この「賢者の石」は具体的な事物でもなんでもなく、魔術を特徴付ける要素の一つにすぎません。しかしこの「賢者の石」は、ありとあらゆる属性魔術が有するすべての特徴を発揮することができます。


 今、ここで賢者の石を{X(n)}とすると、その要素を示す無限数列は


 {X(n)}=X(0),X(1),X(2),X(3),……(nは自然数)


 となります。すなわち賢者の石X(n)は他の属性魔術が持つすべての要素(X(0),X(1),X(2),X(3),……)を兼ねそなえた、究極の属性魔術と見なすことができます。


 ここで、属性魔術{M(n)}の各要素(M(0),M(1),M(2),M(3),……)と、賢者の石{X(n)}の各要素(X(0),X(1),X(2),X(3),……)をマトリックスで図式化してみましょう。当然個々の属性魔術に当てはまる特徴にはグラデーションがあるので、ある属性魔術Mがある特徴Xを持っている際には、そのクロスする箇所に「1」を、そうでない場合には「0」を記します。


 こうして作成されたのが図①挿絵(By みてみん)です。たとえばM(0)のラインにおいて「1」と書いてある箇所は、X(1)とX(3)にあたります。これはM(0)という属性魔術が、その特徴としてX(1)とX(3)を有しているということを表しています。この表はn=3までで終わっていますが、実際には無限にまで続くマトリックスが構成されており、そこにすべての魔術とすべての魔術を構成する要素とが書き出されていると考えてください。


 で、話はここから本題に入ります。賢者の石{X(n)}の仮定より、属性魔術における個々の特徴X(n)こそが属性魔術を構成する最小単位であると分かります。すなわち個々の要素にはデジタル的な番号を振ることが可能であり、自然数Nと同等の役割であるということが示されます。


 図②挿絵(By みてみん)を見てください。先ほどの図①のところで対角線に位置する数字が赤く示されています。この赤い数字を「0」ならば「1」、「1」ならば「0」に換え、数列{M’(n)}として並べてみましょう。


 {M’(n)}=1・X(0),0・X(1),1・X(2),0・X(3),……


 この数列{M’(n)}が意味するところは決定的に重要です。対角線上の数値を反転させて横に並べた数列{M’(n)}は、{M(n)}内におけるすべての属性魔術と異なる新しい属性魔術であるためです。まずM’(n)は、M(0)と、要素X(0)において異なっています。次にM’(n)は、M(1)と、要素X(1)において異なっています。このようにM’(n)は、M(k)と、要素X(k)において異なることになりしたがってすべての属性魔術とk番目の要素で異なる属性魔術であるということが分かります。


 このことから、私たちは次のような結論に到達することができます。


 結論①「属性魔術を構成する個々の要素の集合よりも、個々の要素により構成された属性魔術の集合のほうが濃度が大きい」、つまり{X(n)}<{M(n)}である。

 結論②「また{X(n)}を自然数の集合とみたとき、自然数の冪集合にあたる{M(n)}の濃度は実数と同じになる」


 細かな説明は一切省きますが、決定的に重要なのは結論①でなく結論②です。この結論は、後に「オーラの集合」を考える際に重要な役割を果すからです。

 今の段階では、「属性魔術を構成する特徴=自然数」、「属性魔術そのもの=実数」であるということだけを念頭においてください。

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