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2.2.4.ワープを利用せず、水の魔法使いは水を引き寄せることができるか?

 前回私は、水の魔法使いが水源のありかを知らない場合には、ワープを利用して水を運搬することができない、ということを説明しました。

 今回は、では、他の理由を何とかしてこじつけることによって、水を引き寄せることが可能か否かについて考えてみましょう。


 こじつけとしてもっとも単純なものは「水の魔法使いは、魔力を用いて、水分そのものを引っ張ってくる」として表現することができるでしょう。水の魔法使いが発揮する「魔力」とは、磁力の強いマグネットのようなものだと考えてください。砂場にマグネットを投げ込めば砂鉄や鉄くずがこびり付くように、水の魔法使いが魔力を発揮すれば、水が引き寄せられてくるようになる、このように考えることができるはずです。


 この「引き寄せる」という考え方は、真新しさには乏しい反面、格別な理由付けを必要としないため取り扱いには楽です。しかしながら、この単純さという最大の特徴こそ、水の魔法にとっては諸刃の剣となってしまいます。


 今、水の魔法使いが魔力を解き放って水を引き寄せる場面を考えてみましょう。これが湿地や熱帯雨林といった環境ならば、空気中からでも容易に水分は引き出されることでしょう。では、砂漠ではどうでしょうか? 強烈な魔力の持ち主であるならば、それこそ海からでも水を引っ張ってくることは可能になるでしょう。しかしながら、海から水を引っ張ってくるより前に、まずもっとも身近な場所にある水――すなわち、魔力を発揮している水の魔法使い当人の身体の水分――を引き寄せることになってしまうのではないでしょうか。


 「人間の体液は純粋な水じゃない」といって回避するのも一つの試みですが、そもそも「純粋な水」とは何なのでしょう。海の水はもちろんのこと、川の水や雨の水などは皆何かしら地域差(あるいは気候差)を有しているはずです。「純粋な水」というイマジナリーを信じることは、世界中のあらゆる事物をイデアからの演繹と見るくらい無謀なことです。


 そうである以上、水の魔法使いが利用する魔力が、「身体の水」と「そのほかの水」を区別できる可能性はかなり曖昧なものになります。このままでは、砂漠でミイラのゾンビと戦っていたはずの水の魔法使いが、いつの間にかミイラになってしまうでしょう。

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