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辺境貴族とメイドさんの平和な日常  作者: ディアズ・R
第三章・領地改革というなの魔改造計画♪
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パンツがそこにあるなら全力で手に入れる、それが男の子さ(キリッ

高速思考の無駄使い。

パンツを手に入れる話である。

エッチな話ではない。

視点・アリア(逆さ吊り中)


朝自室で、アメリアさんの未洗濯シミ無しパンツの匂いを嗅ぎながら興奮していたら、一瞬で視界が暗転し、目が覚めると世界樹の隣にある小さめの木に逆さ吊りにされていた。

まさに一瞬の出来事だぜ。

最近、俺の幸せタイムが短い気がするぜ。

こうなったら―――


「パンツを手に入れるんだ!」

「……」

「なんか言えよサファイア!」

「……」

「サファイア?」

「……ごめんなさい。何を言っているのかわかりません」


あれ?ツッコミが無い。

俺としては、普通に止めに来ると思ってたんだけど。

むしろ止めて欲しかったんだけど。

じゃないと本気でパンツを集め始めるぞ、俺。


「サファイアなんか元気ないな、どうした?」

「……え?何か言いました?」

「……大丈夫か?」

「はい……大丈夫じゃないですかね……」


目が虚ろなんですけど。

よくよく観察してみると、目の下に隈があって、髪にはハリツヤが無く、肌も若干カサカサ気味だ。

この感じ……寝不足か?

あぁ!第二形態で夜も活動してたのか!

性格は違っても身体は同じだからな。

俺は懐を漁って試験管に入った薬品を取り出す。


「一気一気!」

「むぐ!?」


薬を無理やり飲ませ、数秒後。

サファイアはガクッと力を失ったように俺の方に倒れる。

俺は咄嗟に受け止めようと、せずに避けた。

ビタンッ!という音が聞こえてきそうな勢いで倒れたサファイアは、身動き一つしない。

飲ませた薬は【これ一本で竜種すら眠らせる超強力睡眠薬!~用法容量は正しくお使いください~注・普通に人には使わないでね♪】である。

……普通じゃないから、セーフじゃね?


「さて……今日は、ツッコミ不在か」


そう、サファイアがいないということは、邪魔者がいないということに他ならない!

サファイアを考える像に膝枕させて、適当に毛布を掛けて放置しておく。

そのうち誰かが回収するでしょ。

これからどうするか……………うん、パンツを手に入れよう。



◇◇◇



「……こちらコードネームG、潜入に成功した」


昼過ぎの自宅たる屋敷のアメリアさんの部屋の天井裏で、気配を消しながら様子を窺う。

ちなみに、蛇だと某伝説の傭兵と被るので、侵入のプロであるGの名を使っている。

ついでに黒いスウェットスーツを着てる。

黒でG、なにかわかるよね?


「……ッ!?警戒対象が、入室した」


黒い物体を思い浮かべていたら、アメリアさんが部屋に入って来た。

小さい穴を天井裏に開けているわけではなく、気配で探っている状態だ。

凄いと思うだろ?でも全然役に立たいないんだぜ。

ウチの領地の住民、全員気配消せるから。

一流の傭兵とか暗殺者が気配を消して来たら、気配を見つけることすらできないと思う。

その程度でしかない。

今回は、アメリアさんに気配を消す意味が無かったから、気配を探ることが出来ている状況だ。


「……警戒対象、が何かを取って、退室……どうやら、館の掃除をするもよう……これより、ミッションを開始する」


音を立てない様に天井の一部を外す。

しっかりと目視で警戒。

アメリアさんの部屋だ……どんなトラップがあるかわからんぞ。

天井裏からロープを垂らして、ゆっくりと降りる。

そして、床に足をつけると脳内でアラートが鳴る。

迷うことなく首を右に傾けると、先ほどまで右目のあった場所に一本の矢が通る。

冷や汗が止まらない。

今のは間違いなく、テリー用のトラップだ。

位置的にもテリーだったら股間の上辺りだ。

振り返って矢の確認をしてみると、矢は魔法だったようでなくなっていた。

多分、解除するまで身体が痺れるとか、そんな感じだろう。

喉を一度慣らし、意を決してアメリアさんのパンツの入っているタンスへ走る!

と思って一歩を踏み出したらみごとに踏み抜いた。

つまり、ガコンッと開いた落とし穴である。

俺も、道具屋でやったな……

俺の体が床下に消える前に、身体を反転して天井に向かってフック付きロープを投げる。

侵入するために開けた天井にフックが引っ掛かり、自分が床になるような状態で停止する。

そっと後ろを振り返って床下を見て見ると、赤黒い魔方陣がうっすらと輝いていた。

はっきり言わせてもらうと、すっげー怖い。

テリー、どんだけ嫌われてんのかな?

パッと見殺す気満々のトラップだよね。


「どうするG……これ以上は本当に命の危険が待っているぞ……今ならまだやめられるぞ……どうするんだ……」


……今の俺は、辺境領主で貧乏貴族のアリア・メルノじゃないんだ。

今の俺は、俺は!狙った獲物(パンツ)は逃がさない!パンツハンターG!

俺は、パンツの為に、人間をやめるぞ!サファイアァァァァァ!!!

落とし穴から抜け出し、床を這う様にカサカサ移動。

その見た目は、まさしくG!

ギロチンが落ちてきたり、剣山が床から飛び出したり、明らかに毒っぽい液体が飛んで来たりした。

そして!いろいろなトラップを掻い潜り、ついに辿り着いたパンツ収納場所。

タンスを開け、俺は、理想郷に辿り着いた。

そこで室外に気配を感じる。


「マズイ!?」


パンツを手にして、逃げる。

それが出来ればよかった。

今着ている服にポケットが無いのだ。

この部屋から脱出するためには、人間辞めた動きをしないといけない。

そのためには、両手が自由じゃないといけない。

なので、手に持っておくのは無し。

てか、アメリアさんのパンツを地面につけるなんて絶対嫌だ。

なら服の隙間に入れればいい?

それをするには、時間がない。

パンツを仕舞うのに2秒、ロープまで7秒、天井裏まで3秒、天井を閉めるのに1秒……手間取った時ように1秒、合計14秒。

アメリアさんが部屋を開けるまで約12秒。

この俺が、パンツを目の前にして、諦める?

ありえない……ありえない!!

一番取りやすいところにあったピンクのフリルパンツをサッと取って、その場でジャンプ。

開けたタンスを足裏で蹴って閉め、空中を跳ぶ。

空中にいる間にパンツを頭に、装着!

床に両手両足で着地し、ダッシュ!

着地までのタイム、4秒。

このまま最速で駆け抜け、ロープの下に着くまで約4秒。

ロープを掴み、天井裏まで約4秒。

天井が閉められない……このままじゃ間に合わない!?

アメリアさんなら部屋に入った瞬間、天井の一部が開いているのに気が付くだろう。

そして、俺は次の瞬間気絶している。


「ここまでか!?」


俺は、ここで諦めるのか?

このパンツを、手放すのか?

本当に、ここまでなのか?

……ここで、ここで諦めるのは逃げだ。

逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ!!

ロープを掴み、引っ張ると同時に床を蹴って跳ぶ。

天井の開いている所へ跳び込み、天井裏に入ると同時に体を回転させて天井の蓋を閉める!

音も無く天井裏に立ち、気配を消して様子を窺う。

ここまでのタイム、12秒。

もし、天井を閉めるところを見られていたら、アウトだ。

アメリアさんの気配が部屋の中に入る。

何故か立ち止まる。

ばれ、たのか?

あのトラップは再利用できるようで、発動後はしっかりと元に戻っている。

部屋に傷がついたりはしていない。

……どうなんだ。

アメリアさんの気配が部屋をウロチョロしだす。

間違いない、確認してやがる。

テリーと勘違いしてくれ!頼む!

アメリアさんの気配は……持ち出した道具を仕舞い、部屋から出て行った。

それを確認した俺は音を立てない様に、静かに移動。

世界樹の天辺に立ち、戦利品(パンツ)を持った右手を掲げる。


「取ったどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


その日、見える世界が輝いている気がした。


「何を取ったんですか、アリア様」


詰んだ瞬間だった。

汗が止まらないぜ。


「……ナゼ、ココニ」

「ファリエナが教えてくれました」


……なん、だと!?

振り返るとアメリアさんとファリエナがいた。


「その服かっこいいデス」


最近出番が無かったからって、そんな……こんなの絶対おかしいよ!

この日、誰にも聞かれることの無い悲鳴が空の上に響いたのだった。

アリア「パンツ食いて~」

サファイア「……食べるの?」

アリア「間違えた。パンツの匂い嗅ぎて~」

サファイア「えぇ……」

アリア「あ、次回の日記と次々回で三章ラストね!」

サファイア「それマジで!?」

アリア「旅に出ます!俺も合わせて10人ぐらいで!」

サファイア「多い!?それ私も入ってますよね!?」

アリア「あと、今回の話は……ただのネタ回です!」

サファイア「知ってるよ!」

ファリエナ「深く考えたら負けデス」

アリス「まけ~」

サファイア「ところで、今日のゲストは?」

スフィア「……出番が、欲しいです」

サファイア「……」

アリア「ごめん、次章あんまり出番ない」

ファリエナ「無理デス」

アリス「はいしゃ!」

スフィア「……ぐ、ぐれてやるぅぅぅ!!」

サファイア「真顔で言われても」

スフィア「会話文だけでしたから、こうすれば人気出るかと思って」

サファイア「あざとい!そしてなぜ言っちゃったし!?」

スフィア「出番がないと、ねぇ?」

サファイア「同意を求められても、困ります!」

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