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辺境貴族とメイドさんの平和な日常  作者: ディアズ・R
第二章・王都で事件らしいです!!
61/135

何かが可笑しい帰り支度……白い貴族は黒かった。

予想以上に長引いたので、もう一話あります。

領地に帰れない……


そして、後書きが長くなってきてる気がする。

視点・アリア(白い部分しか見えてません)


「サファイア!この場は俺が残る!」

「いいえ、ここは私が!先に行ってください!」

「いや、ここは俺が!」

「いやいや、ここは私が!」

「いやいやいや、ここは俺が」

「いやいやいやいや、ここは私が」

「「……いやいやいやいやいや」」


俺とサファイアが言い合っている理由は、領地に帰る為の馬車の準備をするか、それとも馬車まで荷物を運ぶかである。

そして、昨日のパーティーの所為か異常な量の贈り物が届けられた。

つまり、そんな異常な量の荷物が出来てしまったということだ。

俺もサファイアも、そんな大量の荷物運びたくないのだ。


「領主様、あの荷物は領主様のですよね?なら、領主様が如何にかするのが筋ではありませんか?」

「僕ちんは貴族でちゅよ!僕ちんの為に働くでちゅ!」

「気持ち悪い」

「奇遇だな、俺もだ」

「御二人とも、馬車はファリエナにやらせますので、荷物の方をやりますよ」

「「……はい」」


というわけで、スフィアさんを混ぜた四人で荷物運びである。

まったく、貴族にやらせんなよな。

なら貴族らしくしろってこったな(笑)


◇◇◇


そして荷物運び中。

その際、貴族に会うこと49回。

現在50回目。

四十代のジェントルメンだ。


「メルノ卿、そちらの荷物は一体なんですかな?」

「自領に戻る為に荷物を馬車へ運んでいるのですよ。辺境過ぎて侍女が一人しかいなかったので、こういうことは自分でやるのが癖になってしまいましてね」


この説明も何回目だ?

ん?いやいやじゃないのかって?

フッ……何事も言い方次第だよ!!(ゲス顔


「ほぉ、そうなのですか。私は、そういうことは部下に任せっきりで、若いというのは羨ましい物ですな。ハッハッハ」

「何をおっしゃいますか。貴殿も十分お若いですよ」

「嬉しいことを言ってくれるではないか。おぉ、引き止めてしまって悪かったね。では、私はこれで」

「えぇ、御元気で」


朝からこんな感じで、貴族様方が凄いフレンドリーなんだよね。

これがこの国なのだろうか。

貴族ってさ、もっと、こう、ドロドロしてるっていうか、黒いのイメージしてたんだよね。

むしろメイドさん達の方が黒い気がする。

再教育中の兵士全員の一日の行動を一分刻みで丸暗記してるからな。

ヤンデレになったら、恐ろしいメイドさん達になりそうだ。

ん?なんか聞こえた様な……気のせいか!


◇◇◇


~とある会話~


「メルノ卿が帰ってしまうとは……」

「娘の相手にと思っていたのだが……」

「せめてもう数日残って貰えれば……」

「既成事実を作りさえすればきっと逃げはしないだろう」

「しかしどうやって?」

「メルノ卿と一緒にいる侍女、城にいる全兵士を相手にして無傷だったらしいぞ?そんな化物じみた者が守っているのに、どうやって……」

「人質、などとっても意味は無いし、むしろ王族からの心情が悪くなるな」

「王は良くわからんが、王妃はかなり親しい間柄との噂があるようだ」

「あぁ、私の父が王妃の私室に入っていくメルノ卿を見たらしいから、その噂は事実だ」

「もういっそ、あの侍女の方をどうにかした方が……」

「だがどうやって?力押しでは不可能。脅したりもできない」

「……馬車をどうにかするべきか?」

「いや、やめた方が良い。馬車には王妃のお気に入りになっている、メルノ卿の付き人がいる。あの者は息をするように土系統の魔法を使用するらしい。その場面を見たことがある者はいないようだが、あのゴーレム、いや、ロボのことを考えると、ただの噂と切り捨てることはできない」

「たしかに……あの技術、かなり高度なモノだ。それこそ、ドワーフ達ですら腰を抜かすであろうな」

「あれほどの技術を持っている者を、国内とはいえ辺境に帰すわけにはいかんからな……」

「とにかく、メルノ卿が出発するのを先延ばしにす為に、話しかけ続けるんだ。なるべく不自然に思われない様に、自然にな」

『了解』

「……あれほどの逸材、そう簡単には帰さんぞ」


◇◇◇


なんか、凄い寒気が。

ん?あぁ~またかよ。

51回目。


「奇遇ですなメルノ卿。おや、その荷物は?」

「あぁ、この荷物は―――」


なんかもう、しつこいな。

誰かに仕組まれてるかのような……気のせいか。

この国の貴族達は、みんな優しいからな!


◇◇◇


「あ~眩暈が……」


そう言って通路の陰から出て来た少女が、俺の前に倒れる。

凄い芝居っぽな。

でも、これが貴族って感じがする。

とりあえず持っていた荷物を置いて、抱き起してみる。


「大丈夫ですか?」

「あぁ、アリア様……わたくし、身体が弱いんですの。ですので、このまま部屋に連れて行ってくださいませんか?」


……ハニートラップか?

匂う……匂うぞ……罠の匂いが……数多くの即死トラップを掻い潜ってきた俺には分かる……こいつはクセェ!危ない罠の匂いがプンプンしやがる!

というわけで、俺は罠解除の為に全力を出します。


「そうなのですか?でしたら、何故このような所に御一人で?」

「え!?あ、その……少し、散歩を……」

「ふむ……それでしたら、庭の涼しい処にでも行きましょう。きっと体調も回復するでしょう。私にも予定がありますので、ずっと傍にいることはできませんが、行く途中で兵士の方に付いて来てもらいましょうか」

「え、あ、その、えっと……」

「お顔が青いですよ?少し失礼しますね」


デコとデコをくっつける。

その瞬間、真っ赤に染まる少女。

フッフッフ……所詮小娘よ。


「ふぁ!?」

「熱は無さそうですね。それでは移動しましょうか」

「ひゃ、ひゃい……」


さて、兵士がいる方向は~あっちか。

集中すれば、気配ぐらい余裕で見つけられますわ。

じゃないと、あの領地では外には出れないからな!

少女を御姫様抱っこし、荷物を無理やり背負って歩き出した。


◇◇◇


少女を庭に置いて馬車に荷物を積んでいる最中、兵士がやってきた。


「申し訳ありませんが、メルノ様の馬車に不審な物があると報告がありまして、拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」


なん、だと?

どういうことだってばよ?

拝見ってことは……出すのか……やっと詰め込んだのに。

まあ、疑いが晴れるならやるしかないわな。


「えぇ、いいですよ」

「では失礼します」


一人が荷物を出していき、二人が荷物を点検していく。

これでも貴族からの贈り物は全部チェック済みなんだけどな。

白ワインが多かった。

バルバロイ公爵から聞いたんだろうね~


「こちらには特に異状ありません」

「こちらも同じく異常無しです」

「そうか……メルノ様、馬車の中も拝見しても?」

「どうぞ」


荷物点検が終わったようで、次は馬車内。

こういうのって時間がかかるからめんどいな。

……なんだろう、時間稼ぎされてるような違和感が。


「あれ?領主様、何かあったんですか?」


あ、サファイアが来た。

かくかくしかじかしかくいむーぶ。


「妖しい物、ですか……」

「どんなんだと思う?」

「拷問器具」

「あると思ってんの?なぁ、あると思ってんの?」

「じ、じゃあ、領主様はなんだと思うんですか!」

「盗撮ど……キャメラ」

「何撮った?ねぇ、何撮った?」

「そんなことより!可笑しいと思わないか!?」

「誤魔化しましたね……何が可笑しいんですか?」

「異常なほど沢山の貴族達が偶然俺と出会ったり、妖しい物なんてない筈なのに怪しまれてたり……これは誰かの陰謀だ!!」

「……私は誰とも会ってませんけど、まあ、妖しいと言えば怪しいですね。でも、一体誰の……あ」

「わかったか。そう!こんなことができるのは、貴族に命令でき、兵士に命令でき、俺達の行動がある程度分かっている―――」

「「王様!」」


~完全な勘違いである~


「あの国王、いい加減に氷漬けにしてやりましょうか……」

「それはいろいろと拙い。なので、この飲むと禿げる薬をネッピーに渡してだな……」

「おぉ!それはいいですね!でも、どうせなら禿げるだけじゃなくて不能にも……」

「だったらこの下剤で……」

「それじゃあ涙が止まらなくなるようにして……」

「くくく……お主も、悪よのぉ~」

「いえいえ、領主様ほどでは……」


~国王陛下のピンチである~


「何をしていらっしゃるのですか、御二人とも」

「あらあら、サボりですか?いけませんね~悪い子供には、お仕置きが必要だと思いますよ♪」

「「ごめんなさいっした!!」」


~国王陛下が安堵したとかしなかったとか~


「―――というわけで、サボっていたわけではないのです」

「そうでしたか」

「噓ではなさそうですね」


納得してもらえたようで何より。

ん?なんか、ここを誰かに使われていたような……気のせいか?

まあ、そんな細かいことはどうでもいいとして、まだ終わらないみたいだしどうしようか。


「よし!ネッピーの所に行こう!」

「かしこまりました」

「了解で~す」

「では、私は残りますのでファリエナさんは主様達と一緒に行っていいですよ」

「ありがとう、です」


スフィアさんが馬車の方に残るらしいので、領地メンバーで王妃様の私室に向かう。

そして、スフィアさんの見送りの笑顔が、悪人面になったのに気が付いた者はいなかった。

アリア「俺の拳が、光って唸―――」

サファイア「ソイヤァァァァァ!!!」

アリア「グルバッシャ!?」

サファイア「後書きだろうとね……ダメなものはダメ!」

アリア「……ドロップキックの意味は?」

サファイア「……………てへぺろ♪」

アリア「ヤロウブッコロシテヤル!!」

サファイア「キャァァァァァ!!!」

???「待てぇい!!」

アリア「またこのパターンか!しかし、今日の俺は一味違うぜ?今回は正当防衛だ!!断固こちらの正当性を主張する!!」

???「む……たしかに、いきなり蹴ったのはいかんな。だが、あのようなセリフを言うのも如何と思うぞ」

アリア「ぬ……だけど、それを取ったら、俺には、何も残らない……どうしろっていうんだよ!?」

???「……何も残らない、か。しかし、君は他にも多くのモノを持っている。見えていないだけで、たくさんの大切なモノを……今日は帰ろう。しっかりと考えることだ!!」

アリア「待ってくれ!アンタ……名前は?」

???「フッ貴様に名乗る名などない」

アリア「……クソ、カッコ良過ぎんだろ」

サファイア「……え?なにこれ?」

アリア「サファイア、悪かったな。俺が最初に、あんなこと言ったのが原因だもんな。俺、もっと周りのこと見るよ!」

サファイア「待って、ねぇ、ちょっと待って!おかしいですよ!?現実見えてますか!?」

アリア「……サファイアって、よく見ると可愛いよな」

サファイア「落ちつけぇぇぇぇぇ!!!貴方の嫁はメイドだけでしょう!?」

アリア「そうか、俺が見落としていた大切なモノ……それは、お前だったんだな、サファイア」

サファイア「目からハイライト消えてますよ!?種でも割れましたか!?それとも催眠術!?」

アリア「サファイア、結婚を前提に、お付き合いを―――」

サファイア「それはダ―――」

通りすがりのメイド様「……」トン

アリア「はぅ!?」パタリ

サファイア「あ、あわわ……わ、私は違―――」

笑顔なメイド様「……」ニッコリ

サファイア「イヤァァァァァァァァァァ!!!!!」


~しばらくお待ちください~


アリア「なぁ、サファイア」

サファイア「はい、なんですか?」

アリア「数十分ぐらい、記憶が無いんだけど」

サファイア「あ、領主様もですか?私も無いんです」

アリア「そっか……まあいっか!」

サファイア「ですね」

アリ&サファ「「HAHAHAHAHA!!」」

ファリエナ「……怖いデス」

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