王子は、王子だった。
王子は、普通にしたかった。
視点・アリア(仕込みはばっちり)
もうすぐ、スフィアさんが王子を連れてくる。
チャンスは一回、必ず成功させる。
俺は、王子を笑わせて見せる!!
……笑わせる必要あったっけ?
細かいことは気にすんな!!
ハッ!人の気配だ!!
これは、スフィアさんともう一人いるな……全員戦闘準備!!
「アリア様、失礼いたします。クライン第二王子をお連れいたしました」
「失礼させてもらうよ」
「はい!二名様ごあんなーい!!」
「「え?」」
俺の唐突な発言に、部屋に入って来た二人は呆然とする。
そして、部屋はアメリアさんの光魔法でキラキラ輝いている。
さらに、俺達は全員コスプレしている。
俺は裸エプロン、アメリアさんはデフォルメされた黄色い熊の着ぐるみ、ファリエナはバニー、サファイアはドラ○エビキニアーマーである。
ちなみに、俺の裸エプロンは大事な所をモザイクで隠してくれる特殊仕様だ。
「我等!メルノ領四天王!裸族!!」
「クマのプ○さん」
「ミッ○ィー、です」
「私のアメリア様と逆じゃありません!?」
「四人揃って、ディズ○ーラ○ド!!」
「「です」」
「というか、アノ命令って領主様の限定じゃないんですか!?」
決まったぜ。
完璧だ。
これはもう、笑うしかないだろ?
王子の反応は……な!?唖然としているだと!?
「バカな……これで、笑わせられない、だと!?」
「諦めたらそこで試合終了ですよ、アリア様」
「ねばーぎぶあっぷ、です」
「うぐぐぐ……サファイアを犠牲に、俺復活!!サファイア!!」
「なんですか!?……そ、そのスイッチは!?やめ―――」
「変身だ!!」
「イヤァァァァァァァァァァ!!!!!」
初見のスフィアさんと王子はその変身シーンをポカーンと眺めていた。
なかなか臨んだ反応が返ってこないな。
変身が終了して、強制の新しい決め言葉!
「皆に愛の祝福を♪ちょっぴり冷たい愛情を♪氷の純愛魔法少女、ラブリージュエルサファイア!ひんやりクールに、ただいま参☆上♪キャハ♪」
良い感じに痛いな。
特に、最後の「キャハ♪」部分が痛い。
ニッコリ笑顔(強制)が徐々に引き攣ってるよ。
「もう、殺して……」
「サファイア……30代になっても、お前は魔法少女を名乗るんだよ」
「うわぁぁぁぁぁん!!」
「ハハハハハ!お前が解放される日は一生来ないんだよ!!諦めて、ハッ!?」
スフィアさんの視線が、突き刺さるぞ。
なんだ、あの目は……身体が、動かん!?
ま、まさか!?
「別に時を止めているなんてことはないと思いますよ、アリア様」
「ですよね~」
「あの、アリア様?これはどういうことでしょうか?」
「一発ギャグです♪」
「これもう私メインじゃないですか!?」
だってサファイアだし。
今度第二形態になれるようにしてやるか。
「い、今寒気が……」
怯えるんじゃない、サファイアよ。
大丈夫、悪いようにはしないからさ(ゲス顔
あ、王子忘れてた。
俺は裸エプロンのまま王子の前に仁王立ちをして言い放つ!
「自分、アリア・メルノと言いますです。ふざけたことは謝るんでどうか打ち首だけは堪忍してください」
「態度の割に凄い弱腰!?」
「あ、ああ、気にしなくていいよ。初めての体験をさせてもらったよ。私はクライン・ルーメリア・ポルネ・アミュティーラだ。クラインと気軽に呼んでくれ」
「あ、そう?じゃあこれからよろしくな、クライン!」
「軽い!何様ですか!!」
「貴族様及び領主様」
「あ!う、いや、でも、ハッ!相手は王子様ですよ!?」
「黙れ魔法少女」
「はぅ!?」
王子が良いって言ってるんだからいいんだよ!
まあ、個人的に会ってる時だけのつもりだけど。
そして、個人的に聞きたいことがあるんだ。
「クライン」
「ん?なんだい?」
「好きな、女性のパンツの色は?」
「ちょ!?王子様に何聞いてるんですか!?」
「え!?じょ、女性の下着のことかな?えっと、白とか、かな?」
「王子様も答えない!!」
「なるほど、クラインは彼女を自分好みに染め上げたいタイプか」
「そ、そうだったのか!?」
「白ならいじめたい、黒ならいじめられたい、赤なら激しく、青ならゆっくり、と言うように大体のことがわかる」
「なるほど……」
「王子様に変な知識を与えないで!!スフィア様もアメリア様も止めてください!!」
「王子があんなに楽しそうなのを邪魔することなどできません」
「仲が良いことは、良いことではありませんか」
「誰か助けて!!」
「……人間諦めが肝心、です」
あ、サファイアが不貞寝始めた。
いやー王子は話が分かる。
というか、教えがいがあるな。
へへへ、このままオタク文化も広げちまうか!
下着の近代化とオタク文化、広げちまうか!?
「ファリエナ、アレを」
「馬鹿ばっか、です」
よし、まずは王子を染め上げるか。
この王子は、真面目で、優しく、順応能力が高いというありきたりな王子です。
訂正、ありきたりだった王子です。
この意味、分かりますよね?
次回は、一方その頃の領地では!
お楽しみに~




