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51 ティアとレベルアップ

 ギルドに着いた。二階へ上がろうと思ったが、おれの姿を見た交渉官グレンギースが駆け寄ってくる。


「お元気になられて、なによりです」

「グレンギース殿、この間の依頼ですが」

「事情は聞いております。調査中ですが、早目に決着をつけます!」


 交渉官は怒っているようだ。ありがたい。


「調査が済むまで、しばらく死霊退治を中断してよろしいですか?」


 おれはうなずいた。死霊ならいいが、また怨霊が出たら倒せる自信はない。一礼して戻ろうとした交渉官を呼び止めた。


「星一つの案件で火急があれば、連絡下さい。じいさんばあさん限定で」

「それは助かります! ぜひ連絡させていただきます」


 交渉官は深々と礼をして去っていった。


 ティアとレベル上げの部屋に入る。人間二人と一匹入れば、なかなか狭い。


 おれが先に水晶をさわる。おれとチックのパラメータが書き換えられた。


 この前の爆発時にレベル3に上がったが、今回はしばらくぶり。おれのレベルは6になった。チックは3だ。


 チックの魔法を確認する。


「ニードル・ブリーズ」というのが追加されていた。やはり、攻撃魔法が進化している。しかし一方で魔力は「1」のまま。イタチの最後っ屁みたいだな。


 自分たちのパラメータを閉じて、ティアに向き合った。


「これは、知ってるよね?」


 ティアがうなずいて水晶に触った。ティアの身体が鈍く光る。


「特殊スキルを確認してみて」


 おれも確認できるが、若い娘のパラメータをのぞくのは失礼だ。ティアに読ませる。


「クリティカル・ストライク?」


 うわお! 強そうな名前。


「じゃあ、出よう」


 ティアを連れてギルドを出た。街路樹の下にあるベンチに腰を下ろす。


「自分の特技に、思い当たるものがある?」

「ぜんぜん!」

「おそらく、いや、間違いなく、会心の一撃だ」

「カイシンノイチゲキ?」


 この世界でドラクエのキーワードは、メジャーな言葉ではないみたいだ。


「何回かに一回、攻撃力の1.5倍から2倍のダメージを与えられる。かわされる事もまずない」

「あたしの特技が?」


 ティアは自分の両手を見て、閉じたり開いたりした。


「殴って出るのか剣でも出るのか? それは試してみないとわからない。蹴りで出るのだけは、たしかだ」

「あの気持ち悪いカラスね」

「そう。あの時、何をした?」

「とっさに身体が動いたの」

「なるほど。それでだいたい、この手のスキルがあるタイプは、武闘家だ」


 ティアがぽかんと口を開けている。


「武闘家? あたしが?」

「冒険者申請する時、職業を書いたと思うけど、何にした?」

「あたしはまだ学生だから、書かなくていいよ」


 おお、なるほど。


「武闘家にならなくてもいいけど、素質があるのは武闘家だ。ただ、その前に、どう思う?」

「どうって?」

「冒険者について」


 ティアは両足をぶらぶらさせて、遠くを見つめた。考えているようだ。


「この前がすごすぎて、何も考えれない」


 そりゃそうだな。


「まあ、おれは、お勧めしない。とだけ伝えておくよ」


 ティアは考え深げにうなずいた。わかってくれたかな。


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