15 初依頼
島の東にある城から、西の港町に戻った。
ギルドに着くと四つある窓口は、すべて埋まっている。
暇つぶしに壁に貼られた依頼を眺めた。
星三つの依頼は高額な案件が多い。500G以上の依頼もあった。輸送船の守り人、そんなのも見つけた。
海上にもモンスターは出るのだろうか?小さな舟の下に、巨大イカの影が迫る映像が浮かんで身震いした。
やべえ、リアルだと、めっちゃ怖い。島の外に行くのは、かなり経験を積んでからにしよう。
氷屋の依頼は、星三つではないだろう。星一つの依頼が固まった中を探した。
あった! 氷屋の依頼を見つけた。
隣のおっさんが、星二つの依頼を取っていくのを見た。これ、外していいんだな。
窓口が空いたので氷屋の依頼を持っていく。うへぇ、空いていたのは、また無愛想なおばちゃんの窓口だ。
言われる前に冒険者証を出した。おばちゃんは、面倒くさそうに依頼書にハンコを押した。ハンコは冒険者証と同じ、オリーブの紋章。
用が済んだら、さっさと帰る。おそらく、このおばちゃんといくら話しても親密度はゼロのままだろう。
乗り合い馬車に揺られ、人生初の依頼を解決しに行く。
氷屋の近くで馬車を降り、のんびり歩いていると、向こうで手を振っているのが見えた。
「こんちわー!」なんて気軽に挨拶をしたが、氷屋のオヤジは焦っていた。早くしないと、畑の作物を全部食い尽くされてしまうそうだ。それはまずい! 畑に急いだ。
数をざっと確認する。フナッシーが十匹、デフナッシーが十匹というところだ。
棍棒を取りだして、さっそく駆除にかかる。まず手始めに、一番近いデフナッシー。
棍棒を振り下ろした。ぐしゃっと潰れた音がして、デフナッシーは死んだ。水晶のカケラを取りバックに入れる。
「痛っ!」
右足に激痛が走った。下を見ると、革のサンダルから出た親指、デフナッシーが尻尾を刺している。
こいつ、尻尾が針なのか!
ぶっ潰そうと棍棒を振り下ろして、足の指に当てた。激痛に思わず倒れる。立ち上がろうとして左手をついた。その手を別のデフナッシーが刺す。
「痛ってえ!」
腹が立って近くの石を掴んで叩いた。一撃じゃ死なない。二度三度叩く。
「痛ってえ、くそっ!」
また右足を刺された。反対側に身をよじり、石で連打。
とりあえず距離を取ろう。あわてて立ち上がろうとしたが、右足が動かない。じんじんと痛みもする。
「毒か!」





