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13 初めてのギルド

 ギルド。冒険者が集いし場所。


 本来の言葉は中世で「組合」みたいな意味らしい。ゲームの世界ではすっかり「冒険者が仕事をもらう場所」となっている。


 ギルドの場所が現実では「ハローワーク小豆島」というのは、アレンジしたAIに拍手したい。たしかに内容が似てるわ。


 何年前に来たのか忘れたが、道は覚えていた。


 ここも銀行と同じで、外観の形は同じ。ただし石造りに変わっている。まわりの建物が小さめなので、石造りで大きな二階建てのギルドは目立っていた。


 入り口はガラスの自動ドアではなく、重厚な木の扉になっていた。


 産まれて初めてのギルド。ちょっと緊張して扉を開けた。


 ロマンあふれる場所かと思ったら、さきほどの銀行と同じような雰囲気にがっかり!


 大きな部屋になっていて、真ん中をカウンターで区切られている。その向こうは机が並び、熱心に仕事をしている人たちがいる。ギルドの職員だろう。


 がっかりしたが、間違いなくギルドだ。窓口で話している男、壁際の集団、いるのは冒険者ばかりだ。剣、槍、弓など、それぞれ武器を装備している。


 それに、ただよう雰囲気が荒くれっぽい。不潔っぽいのも特徴かな。


 室内と見まわすと、壁に羊皮紙がびっしり貼られていた。



 これが依頼だな。依頼人の名前や内容、それに報酬額が書かれている。


 星のマークがあるのに気づいた。これは難易度か。一つから三つまである。


 上限が三つなのか? いやいや、ここは田舎だ。大きな街に行けば、もっと上の難易度があるかもしれない。


 依頼書が多すぎて、これは探すのが大変だ。窓口に行って聞いてみる。


「あのう、すいません」


 カウンターに並ぶ職員の内、空いていたおばちゃんに声をかけた。


「冒険者証を」

「はっ?」


 冒険者証? 初めて聞く単語だ。


「持ってないのなら、オリーブン城で冒険者申請して下さい。それがないと、ギルドは使えません」


 にこりともしない窓口のおばちゃん。本物の小豆島ハローワークは、もっとほがらかだ。


 まあしょうがない。オリーブン城とやらの場所を聞いた。


 なんだ、役場かよ。島の反対側だ。面倒くせー。


 島の反対側まで歩くことを考えると億劫になったが、仕事をもらわないとカネが無い。


 ギルドを出てトボトボ歩いていると、道の脇に並んでいる人を見つけた。先頭には、木の立て札がある。


 近づいてわかった。路線バス、いや、路線馬車と言うべきか。料金は安い1G。これなら乗る。


 立て札はあちこちにあった。なるほど、ここはバスターミナルならぬ、馬車ターミナルなのか。


 城の方向へ行く馬車停を見つけ、待っていると馬車が来た。二頭立ての馬車で、荷台の両側に座るための木の板が設置してある。屋根はなく、ボロさは行きがけのロバと変わらないが、十人は座れそうだ。


 んじゃ、オリーブン城とやらに行ってみますかね。名前は大層だが、どうせ役場だろ。


 人生初の「リアルな城」に行くわけだが、なんともテンションが上がらない。


 おれは面倒臭さに腹を立てながら、馬車に乗り込んだ。


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