103 婦人のパラメータ
ガレンガイルとティアが仲間になった。
残るマクラフ婦人に向く。婦人は首を振った。
「わたしはパーティー組めないの。他のパーティーに入ったままになってるから」
なるほど。パーティーは二重に入れないのか。
「カカカ殿」
ふいに声をかけられて、ガレンガイルを振り返った。
「このアナライザー・スコープというのは、一体」
ガレンガイルが空中に視線を動かしている。そうか、おれのパラメータを見てるのか。
「ああ、それね。スゴイもんでもなくて、敵の能力値がわかるってやつです」
「敵の? それはすごい」
「すごいなんてもんじゃないわ。最強のスキルかも」
「そんな。大げさな」
おれは笑ったが、ガレンガイルとマクラフ婦人は笑ってない。
「ちょっと見せてもらえる? 初めて聞くスキルだわ」
「ええ、まあ、いいですけど」
そうは言っても、まわりにモンスターはいない。
「人間にも使えるの? 使えるなら、わたしを確認しといて。リーダーとして、仲間の能力は知っておいたほうがいいでしょ」
やった! アナライザーチャーンス!
おれは手で丸を作り、交差させて叫んだ。
「アナライザー・スコープ!」
「けっこう、大げさな動作なのね」
婦人、それはおれも思ってるから言わないで。
名前:マクラフ
職業:魔法戦士
レベル:41
「えー! レベル41!」
思わず声を漏らしてしまった。
「ほんとに相手が見えるのね」
婦人が感心している。
体力:250
魔力:290
攻撃力:120
防御力:140
特殊スキル:魔法陣の扉
魔法:マナ マナ・フラー マナ・フロール バインド リポジット ウィンドラス……
マクラフ婦人の魔法も、かなり多い。
追々で確認しよう。
身長:175
体重:53
バスト:92
ウエスト:61
ヒップ:87
親密度:13
イエス! バスト92! グラビアモデル並みのスリーサイズ。
鼻の下を伸ばさないようにしながら見ていると、婦人の仲間の項目で目が止まった。
名前:オーベン
職業:勇者
レベル:41
体力:0
おれはマクラフ婦人のパラメータを閉じた。
「見れた?」
マクラフ婦人が聞いてくる。
「え、ええ。魔法が多いですね」
「他は?」
「おれのスキルは、パラメータの一部分しか見れないので」
適当に嘘をついた。
「あら、そうなの」
婦人は無表情で答えた。おれが色々と見たのを気づいたかもしれないが、それ以上は言わなかった。
体力がゼロというのは、死んでいる。元いたパーティー。レベルは同じだった。切磋琢磨した仲間というより、恋人だったと考えるのが妥当だろう。
見るんじゃなかった。そんな感じの気分だ。





